レジリエンスの未来

Vol.03「Community Crossing Japan」その2 「現場にしかない『大震災のリアル』を伝える」

現場にしかない
『大震災のリアル』を
伝える

被災から復興・再建までの一連の日々の流れの中で実際に起きたこと。それを次に伝えることこそが、一人でも多くの命を救うことのできる「よき避難者」に繋がっていく。

Community Crossing Japan 研修ディレクター 吉高 美帆(よしたか・みほ)さん
Community Crossing Japan
研修ディレクター

吉高 美帆(よしたか・みほ)さん

自ら助けあう『よき避難者』になる

CCJの考える「防災・減災研修」は、「よき避難者」というテーマにあるよう、既存の防災研修とはちょっと違った考え方をコンセプトにしています。東日本大震災で避難生活が長引いた際、被災者同士が助け合う「共助」により二次災害が少なくなったということ、そして「大震災のリアル」を知っていれば更に助かる命があったことに気づかされました。
まずは自分の身を自分で守る「自助」、そして次に被災者同士が自ら助け合う「共助」が大切です。もちろんこれまでのように防災リーダーの育成も必要ですが、その方が被災し動けなくなる可能性も十分あります。「誰かが助けてくれるだろう」ではなく、予想外とされる大震災において先読みをし、ひとりでも多くの命を救うために自ら行動できる「よき避難者」を育てていこうとしているんです。


ワークショップの様子(CCJウェブサイトより)

マンションにお住いのみなさんに参加していただくワークショップでは、現在の防災対策と、実際に大震災で起きた事例を見比べてもらいます。すると必ずギャップが出てくるんですね、そこに気づいてもらうことが最初の一歩。「では、みなさんのマンションではどうしますか」というところを住民主体で考えていただくような形で進行するのです。「自助」だけではなく、人間関係が希薄な大都市において一番欠けている「共助」という部分をベースに、避難生活を「自分ごと」にしてもらいます。防災対策というのはこれとこれが準備できていればOKというマニュアル思考ではなく、入居者たちの力で防災・減災のために訓練の企画を立て、実施して、アップデートしていける──そういった状態が何よりのレジリエンスだと思うんです。

現場のリアルから生まれる気付き

研修ツールとして“「よき避難者」の手引き~大震災のリアルとメッセージ~”という、東日本大震災の被災地で収集した事例を集めた冊子を作成しました。
そこには、被災から復興・再建までの一連の日々の流れの中で、「食料」「トイレ」「情報」などカテゴリーごとに何があって何が困ったのかということを時系列でまとめてあります。そしてワークショップでは、まず今みなさんが防災のために準備されていることを確認します。
例えば、乳幼児を含む小さなお子さんがいるご家庭で非常用食料が乾パンと水のみとおっしゃるお母さんも。
「お子さんはそれを食べられますか?」というと、ハッと気づかれるんですね。離乳食や刻み食など、個人に合わせた非常用食料が必要だと。その積み重ねで、本当に備蓄すべきものは何か、自ら考えていただくようにしています。

大震災のリアルは、現場にしかありません。今後もCCJのパートナーでもある宮城県南三陸町の「復興応援団」と連携して現地で得た学びを、都心でどう活用できるかということをみなさんにお伝えして、気づきを得てもらえればと思います。


「よき避難者」の手引き~大震災のリアルとメッセージ~”

Community Crossing Japan

共助のための防災減災研修を行い“よき避難者”を育てる
プロジェクト
http://communitycrossing.net

復興応援団

「地元の人が中心となった東北地域の復興を実現する」
をビジョンに活動する一般社団法人です。
http://www.fukkou-ouendan.com

HITOTOWA Inc.

ネイバーフッドデザインを行い、都市の課題を解決する
http://hitotowa.jp/index.html