レジリエンスの未来

2014.3.14 フューチャーセッション「レジリエンスの未来」開催レポート

開催概要

開催日時 2014年3月14日(金) 13:00~17:00
会場 品川 コクヨホール(多目的ホール)
主催 大成建設株式会社
協力 東洋経済新報社
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
株式会社インターリスク総研
株式会社フューチャーセッションズ
ヤフー株式会社
京都造形芸術大学外苑キャンパス
Planetary Design講座(竹村真一教授)
一般社団法人企業間フューチャーセンター
連携
コミュニティ
Future Meeting(日産自動車有志の会)
助けあいジャパン
IT×災害
Community Crossing Japan
iSPP
当日のプログラム
1部 13:00 - 14:00
インスピレーショントーク

有識者ゲストのインスピレーショントークを中心に、スピーカーを囲んで参加者の皆さんとの対話で今回のテーマについて深掘りしていきます。

2部 14:00 - 15:30
知識の集約

少人数のグループに分かれ今回のテーマに関して対話し、参加者全員の持ち合わせる知識を共有します。

3部 15:30 - 17:00
アイデアの可視化

2部で考えた 「レジリエンスの未来」 を実現していくためのアイデアを考え出し合ってカタチにし、共有できるアウトプットを生み出します。

渡辺 研司氏

インスピレーションコメンテーター
渡辺 研司

(工学博士)

名古屋工業大学大学院
工学研究科社会工学専攻教授
リスクマネジメントセンター防災安全部門長

1986年京都大学卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)入行。プライスウォーターハウス・クーパースを経て2003年より長岡技術科学大学助教授、2010年より現職。内閣官房、内閣府、経済産業省の専門委員会委員、ISO/TC223(社会セキュリティ)WG1コンビナー(国際議長)などを務める。著書に『BCMS(事業継続マネジメントシステム)—強靭でしなやかな組織をつくる—』『ISO22301:2012事業継続マネジメントシステム要求事項の解説』 『ITリスク学「情報セキュリティ」を超えて』 など多数。

ファシリテーター
野村 恭彦

(イノベーション・ファシリテーター)

株式会社フューチャーセッションズ
代表取締役社長
K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
国際大学GLOCOM 主幹研究員

博士(工学)。慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻後期博士課程修了。富士ゼロックス株式会社にて同社の「ドキュメントからナレッジへ」の事業変革ビジョンづくりを経て、2000年に新規ナレッジサービス事業KDIを自ら立ち上げ、シニアマネジャーとして12年にわたりリード。2012年6月、企業、行政、NPOを横断する社会イノベーションをけん引するため、株式会社フューチャーセッションズを立ち上げる。著書に『フューチャーセンターをつくろう』 『サラサラの組織』 『裏方ほどおいしい仕事はない!』、監修/監訳書に『シナリオ・プランニング』 『コネクト』 『コミュニティ・オブ・プラクティス』 『ゲームストーミング』などがある。

開催にあたって

常に震災リスクと向き合う国、日本。しかし、私達がこれからも安心・安全な社会生活を営んでいくには、厳しくとも「今そこにあるリスク」を真摯に見つめ直さなくてはなりません。
それには「ダメージを抑え」ながら、「迅速に回復する」という考え方を持つ「レジリエンス」の視点が問われています。そこには危機を契機に「より能力の高い社会に生まれ変わる」という意味も込められていると聞きます。
そこで今回、企業・行政・市民の垣根を越えた交流を目指してフューチャーセッションを企画しました。たくさんの方々の力を集め、日本の地震対策の未来を創り出していければと思います。

今回のセッションには、大きく分けて3つのステップから構成されています。

●第1部:「インスピレーショントーク」レジリエンスについて多様な知識を集める

●第2部:「知識の集約」一人ひとりの求めるレジリエンス・アイデアを共有する

●第3部:「アイデアの可視化」チームで新たなレジリエンス・アイデアを生み出す

フューチャーセッションとは
フューチャーセッションとは
参加者全員による創造的な対話を通して未来に向けた「新たな関係性」と「新たなアイデア」を生み出し、ステークホルダー同士が協力して行動できる状況を生み出すための場です。

【第1部】問いかけとインスピレーショントーク
─セッションの方向性を定める問いと論点─

レジリエンス・アイデアを考えていく上でのインスピレーション・コメンテーターには名古屋工業大学大学院の渡辺研司教授、ファシリテーターには(株)フューチャーセッションズの野村恭彦氏を迎え、企業、NPO、公共団体、学校関係者など約100名の参加者が集まり、レジリエントな社会の実現に向けた対話が行われました。

ファシリテーター:野村 恭彦氏(イノベーション・ファシリテーター)
ファシリテーター:野村 恭彦氏(イノベーション・ファシリテーター)
株式会社フューチャーセッションズ 代表取締役社長 K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授 国際大学GLOCOM 主幹研究員

インスピレーショントークの前に、大成建設 耐震推進室の小野眞司部長がこの日のセッションの方向性を示す「問いかけ」を行いました。

問いかけ人:小野眞司
問いかけ人:小野眞司
大成建設 ライフサイクル推進部 耐震推進室 営業部長

「東日本大震災では多くの想定外な事態が発生し、建物を強化するというハードウェア対策だけでは限界があるということを浮き彫りにしました。想定を乗り越えてしまう災害に対応していくには、社会システムのあり方やコミュニティづくりといったソフトウェアの部分までを視野に入れて、リスクを考えていく時代になってきたと感じています。
災害が発生したら生活者全員が当事者となります。
私たちも、企業とお客様、あるいは主体と客体というように別々に物事を考えるのではなく、皆さんと一緒になってどうすれば安心して暮らせる未来を創っていけるのかをこのセッションを通じて考えていきたいと思います」

インスピレーション・コメンテーターとして、リスクマネジメントおよび情報セキュリティーの専門家である名古屋工業大学大学院の渡辺研司教授により、「レジリエンスの未来」について参加者が考えていくためのインスピレーショントークを頂きました。

インスピレーション・コメンテーター:渡辺 研司氏(工学博士)
インスピレーション・コメンテーター:渡辺 研司氏(工学博士)
名古屋工業大学大学院工学研究科社会工学専攻教授 リスクマネジメントセンター防災安全部門長

「レジリエンスという言葉は、しなやかな回復力や強靱力という訳が考えられました。しかし、もともと日本にはない概念ということもあり、なかなかしっくりした日本語での表現ができません。
レジリエントな発想を持つには、これまでの経験を少しストレッチしてみることが出発になると思います。
例えば災害が同時多発的には発生したらどうなるか?
あるいは被災期間が想定よりも長期化したらどうすればいいのか?
といった想定外のダメージに対して様々な視点からシミュレーションし、必要な備えを考えてみることがスタート地点です。
『日々の柔軟性の積み上げる』こそがレジリエンスの原動力であり、それが危機を『変わるチャンス』にすることにも繋がっていきます。自分の非力さを認識し、それでも何とかしようというスタンスから、いかに心のバネを持つかを考えることがレジリエントな人といえるのではないでしょうか。
今日のセッションで、その糸口を皆さんと一緒に見つけていきたいと思っています」

皆さんと一緒に取り組まなければ、本当の意味でのレジリエンスは創っていけない。そしてレジリエンスとは、日々の柔軟性を積み上げることにある――こうした「問いかけ」と「インスピレーショントーク」によるレジリエンスへの関わり方への示唆を受ける間、参加者の間では熱心にノートや持ち込んだパソコンでタイプする姿を見かけるなど、関心の高さがうかがえました。

【第2部】知識の集約
─レジリエンス向上につながる事例紹介とアイデア出し─

第1部での問いかけとインスピレーション・トークを受け、参加者の知識の集約を図るためにレジリエンス向上につながるアイデア出しを行いました。そのヒントとして5つの事例がスライドで発表されました。

5つの事例スライド
レジリエンス向上につながるアイデア出しのヒントとして5つの事例が発表されました。

・災害時の電力供給を考え、動く蓄電池として電気自動車を活用
・震災で家庭内の食料備蓄の重要性に気付き、日常生活の中で食品をストック
・小学校の防災マップづくりを参考にした工場内のリスク把握の取り組み
・大雪の際に生徒が学校周辺の雪かきを行い、近所のお年寄りらから感謝される中学校
・ツイッターを使い、市民から大雪でふさがった道路の情報を集め、効率的に対処した長野県佐久市長

それを受け、渡辺教授が総評を行いました。
「一般的に策定されている防災計画や企業の事業継続計画などは過去に起きた災害を想定した上での計画になっています。しかし、その想定から外れた事象に対してどう対応するのかを検証すること、その工夫をすることが災害時には有効となり、ひいてはレジリエンスに繋がります。例えば流通備蓄なら地下に食料を貯め込んだら終わりではなく、中間在庫をどう確保するのかといったように、これから起こるであろう災害パターンやインパクトへの方法を考え、それでも対応できるのか、できないのならどういう工夫やサービスが必要なのかということまで、ぜひイメージしてみてください」

渡辺教授から事例紹介への総評が行われました。
渡辺教授から事例紹介への総評が行われました。

渡辺教授からのインプットを受けた後は、「これからどんなレジリエンス・アイデアが必要になるのか」というテーマについて、リスクと貢献の視点から各テーブルでダイアログが行われました。そして、対話の中で生まれた「自分のアイデア」を一人ひとりがキーワードとして書き出していきます。

次にレジリエンス・アイデアを書き留めた紙を持って会場内を動き回り、

・自分の書いていることと近い
・書いてあることは違うが一緒になったら面白そう
・自分の考えを捨てて乗り換えてもいい

「これからどんなレジリエンス・アイデアが必要になるのか」をテーマに対話を行いました。
「これからどんなレジリエンス・アイデアが必要になるのか」をテーマに対話を行いました。

この3つの基準に沿って一緒に取り組みたいと思う仲間を探します。

「自分のアイデア」を書いた紙をかざしながら、自分と同じ問題を共有できる仲間を探すマグネットテーブル。互いのアイデアに興味津々で、そこかしこで会話の場が生まれていました。
「自分のアイデア」を書いた紙をかざしながら、自分と同じ問題を共有できる仲間を探すマグネットテーブル。互いのアイデアに興味津々で、そこかしこで会話の場が生まれていました。

参加者からは「よき避難者をつくる(共助の防災)」や「個で繋がる仕組み作り」、「防災サバイバルイベントの実施」といった様々なキーワードが掲げられ、お互いが気になる点や相違点などについて気軽に語らいながら、問題を共有できそうな「仲間探し」を行いました。

こうして、最終的には4人1組となるチームが計19編成されました。

【第3部】アイデアの可視化
─19チームがレジリエンス・アイデアを発表─

第3部では、それぞれで持ち寄ったアイデアをチームの中でさらに話しあって、2017年の実現に向けたプロジェクトを検討していきます。
大きなフォーマットとしては、下記の3つの項目で構成されています。

1.2017年に実現したいレジリエンス・アイデア
2.アイデアの実現に向けた3年間のロードマップ
3.実現するにあたって必要となるパートナー

意見の集約に向かって、各チームに与えられた時間は40分。その間、思いがけないアイデアのやストーリーの展開に、しばしば驚きや笑い声も聞こえてくるなか、真剣にプロジェクトに取り組む姿が印象的でした。

チーム内でコンセプトを共有し、さまざまなアイデアを出し合いながらプロジェクトのプロトタイプを創り上げていきます。
チーム内でコンセプトを共有し、さまざまなアイデアを出し合いながらプロジェクトのプロトタイプを創り上げていきます。

プロジェクトがまとまった後はチーム全員でそれを発表。90秒という短い時間のため、時には与えられた時間を大幅に超過してしまう場面がありながらも、各チームが情熱的にプレゼンテーションを行い、参加者全員でアイデアをシェアしました。

内容としては、災害時に正しく情報を伝え合えるコミュニティネットワークの構築や、防災ならぬ「防育」による地震対策、民間で備蓄を推進するその名も「民備ネット」、有事の際の地域住民が持つ「特技マップづくり」など、19チームからユニークなアウトプットがなされました。

19のレジリエンス・アイデア

レジリエンス・マンションネットワーク
地域をつなぐ関係づくりのイノベーション
災害時に大切な情報を正しく伝えるネットワークの整備
企業と地域がリンクした地震対策
民間主導の備蓄ネットワーク
大学・地域・企業の連携ネットワーク
レジリエンス・ブートキャンプ
おせっかいな人の育成
地域の防災減災運動会
避難訓練を組織単位からエリア単位に
情報ネットワークの強靱化
災害時の意思決定手段
在住外国人が正確な情報を得られる仕組み
防災姉妹都市
街の勇者クエスト
有事のための地域マップ
防災訓練甲子園
災害時の病院等への優先配電
災害時サバイバル教育

全てのプレゼンテーションが終了した後、渡辺教授より「こうした一つひとつの地道なアイデアや取り組みを積み重なっていき、国のやるべきことがなくなる時、はじめてレジリエントな国と地域が生まれます。このうねりを止めないよう、ぜひ今日の体験を自分たちのコミュニティに持ち帰ってほしいと思います」と締めくくると同時に参加者の方々と共にこの取り組みを継続させていきたいという思いを確認し、セッションは終了しました。

これからに向けて

「このセッションは企画段階から沢山の企業の方や、実践されているコミュニティの方々にご協力頂いて実現したものです。そうして、今日ご参加された皆さんと共に、素晴らしいユニークなアイデアが生み出されました。
私たちにできることは限られるかもしれませんが、ぜひその一つひとつをやり遂げていきたいと思っています。
こうしたことは、続けていくことにこそ意味があると思います。
今回の内容やアウトプットについては、耐震ネットを通じてすべて公開情報として皆さんと共有するとともに、実践に向けたコミュニティ形成の場にしていきたいと思います。今回のセッションは未来への一つの新しいスタートです。今後も続けていきましょう」

フューチャーセッションを終え、挨拶を行う大成建設小野部長。
フューチャーセッションを終え、挨拶を行う大成建設小野部長。

開催にあたっては、準備段階から沢山の企業の方や、実際に活動されているコミュニティの方にもご参加いただき、ご協力いただきました。
紙面を借りて、あらためて深く感謝いたします。


OUTPUT REPORT

S

2014.3.14
フューチャーセッション

「レジリエンスの未来」アウトプットレポート

3月のセッションでアウトプットされた19のプロジェクトアイデアのご紹介です。