レジリエンスの未来

2014.7.31 フューチャーセッション「レジリエンスの未来3」開催レポート

開催概要

開催日時 2014年7月31日(木) 18:30~21:00
会場 新宿センタービル 大成建設小ホール
主催 大成建設株式会社
協力 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
株式会社インターリスク総研
株式会社フューチャーセッションズ
一般社団法人企業間フューチャーセンター
連携
コミュニティ
Future Meeting(日産自動車有志の会)
Community Crossing Japan
当日のプログラム
18:30 - 18:40
問いの共有
18:40 - 19:00
関係性をつくる
19:00 - 20:30
プロアクションカフェ
20:30 - 21:45
未来シナリオの共有

さまざまな立場の参加者が、防災対策や地震後の回復力について対話するフューチャーセッション「レジリエンスの未来」。シリーズ3回目となる今回は、アクションを起こし始めたプロジェクトリーダーが一堂に会し、プロジェクトの課題解決や連携の可能性を探りました。

>これまでのセッションについては、右のリンクからご覧下さい。

「レジリエンスの未来3」について

2014年7月31日(木)に開催された「レジリエンスの未来3」。集まった約30名のうち、およそ半数が初めて参加された 方々でした。

シリーズ3回目となる今回は、3月14日(金)、6月11日(木)に行われたセッションの継承セッションとして、これまでに生み出されたアイデアやプロトタイプの試みをフィードバックしながら、普段はさまざまな場で実践に取り組まれている方々と共に、さらに実践の場へと結びつけていくことを目的として開催されました。

未来の社会で私たちはどのような生活を送りたいのか、そのためには何が必要なのかなど、それぞれの視点や想い、知見を持ち寄って、和気あいあいとした雰囲気ながらも真剣にレジリエンスの未来への想いを語り合いました。

セッションの冒頭に、メインファシリテーターを務めていただいた上井氏(株式会社フューチャーセッションズ)から、今回のセッションの目的とルールの確認がありました。

目的
「レジリエンスの未来」フューチャーセッションで生まれたプロジェクトを参加者全員でシナジーを生み出し成長させていきましょう

グランドルール

  1. 一人ひとりの「想い」を大切にする
  2. お互いの違いや多様性から学び、アイデアを生み出す源泉とする
  3. 参加者全員で発言機会を提供しあい、よい関係性をつくりあげる
  4. いつもの主張をただ話すのではなく、その場で感じたことを大切にする
  5. 今日この場で一緒になった縁を大切に、アクションを支援し合う

フューチャーセッションズ 上井氏
フューチャーセッションズ 上井氏

コールされたプロジェクトは下記の6つです。

避難食レシピコンテスト
防災コン!
レジリエンスマンションのための人材育成プロジェクト
Bohsai BAR(防災バー)
文京いきぬきプラットフォーム
防災チャレンジ運動会

プロジェクトごとにテーブルに別れ、課題解決や目標実現に向かうための具体的なアクションや新しい視点でのアイデアを3つのラウンドで進めていきました。

Round 1:「本当にやりたい大切なことは?」
Round 2:「その実現に必要なことは?」
Round 3:「エレガントな最初の一歩は?」


各ラウンドの終わりに振り返りの時間をとり、プロジェクトオーナーの方はそのラウンドでの気付きを、サポーターの方はプロジェクトへの応援メッセージを書き込んでいきました。

レジリエンスプロジェクト

今回のセッションでは、6つのプロジェクトがコールされました。各テーブルでの対話の後、オーナーの方々から気付きや今後のプロジェクトの進め方、次のステップなどについての発表をいただき、参加者全体でそれを共有しました。

避難食レシピコンテスト

プロジェクトの概要

避難生活中の方々にとって、温もりが感じられる美味しい食事は、震災後のさまざまな課題・障害を克服するためのモチベーションとなる。アレルギーや食事制限がある子供たちへのケアをしながら、創意工夫にあふれた食事・メニューをレシピとしてまとめ、非常時だからこそ食を通してみんながハッピーになれることを見せる。

プロジェクトの課題

全国規模にまでその範囲を広げるか特定の都道府県・市町村内か、公募せず学校教育の一環にとどめるかなど、対象範囲を検討中。

セッションからの気付き

「非日常の状況下でどこまでニーズがあるか疑問でしたが、今回のセッションを通じてさまざまな方から意見をいただき、自分が思っている以上に“食”を大切にしている方々が多いということがわかりました。『避難食レシピを防災バーに持ち込む』など、他のプロジェクトとの連携できる可能性をつかめたのが一番の収穫です」(村上明美さん)

避難食レシピコンテスト

防災コン!

プロジェクトの概要

若年層と防災をつなげ、身近なものとしてとらえてもらうために、「防災」と「合コン」を掛け合わせた新しい場所をつくる。防災への意識がけっして高いとは言えない人が、レジリエンスの重要性を実感し、楽しめる場所を提案したい。ゴールイメージは、合コン最後のフリートークで防災の話題を交えながら場が盛り上がっている状態。そういった“日常の楽しいネットワーク”づくりのきっかけになれば。

プロジェクトの課題

ターゲットが“防災関連のワークショップに来ないような人たち”である以上、その人たちにリーチする告知方法を考える必要がある。また、本来の意味でのレジリエンスとは、防災にかぎった話しではなく、危機的な状況をリカバリーするためのもの。そのために求められる、日常のイノベーションを生むようなネットワークの構築方法を模索。

セッションからの気付き

「防災に興味がない人が一堂に会する場所をつくり、防災に関する固定観念をいかに外すかということがこれまでの課題でしたが、今回のセッションで参加者のネットワークを広げる仕掛けづくりが一歩前進した気がします。防災合コンの継続的な開催と平行して、SNSなどを活用して人々が集う場を構築し、一人ひとりのレジリエンスを高め、日常生活を楽しく過ごせるようになったことで、さらなるイノベーションを生み出す──そんな好循環を作っていけるよう、さらに考えていきたいです」(高橋和氣さん)

防災コン!

レジリエンスマンションのための人材育成プロジェクト

プロジェクトの概要

大規模な災害にあっても対応できるレジリエンスなマンションを、ハード・ソフトの両面から考えていく。地域との連携と同時にマンション内でのレジリエンスを高め、自助だけではなく共助の意識付けを行っていくことが狙い。

プロジェクトの課題

前回のセッションでは、「レジリエンスマンションとは?」という根本的なテーマを掘り下げたが、ハード・ソフト両面の強化と共に、そこに暮らす人たちの防災意識や能力の向上が課題として浮かび上がってきた。レジリエンスに関する住民の興味をいかに喚起するか、今回のセッションを入り口として、意識変革の方法を考えたい。

セッションからの気付き

「今回のセッションテーマは『レジリエンスマンションの人材育成』でした。現在マンション理事をされている方などにお話を伺うことができ、<どういった人を、どのように、どこまで育成していけばよいのか>が明確になりました。次のステップでは、理事や管理組合など、住民の安全を守るという意味で立場が近しい方々とフューチャーセッションを開催することを考えています」(荒昌史さん)

レジリエンスマンションのための人材育成プロジェクト

Bohsai BAR(防災バー)

プロジェクトの概要

これまでの既成概念にとらわれない「創造的な防災」のアイデアを導きだす対話の場として、週に1回、「Bohsai BAR」(防災バー)を開催。防災に関わるさまざまな分野の方をゲストに呼び、持続可能な備えの仕組みをクリエイティブに考えるなど、防災活動に関心が薄い20~30代に向けて好奇心がわく防災情報を発信している。

プロジェクトの課題

防災活動について、「負担がかかり、楽しくない」「防災は“特別”なものであり、日常生活に組み込めない」という意識がいまだ根強く、特に若年層の防災意識を高めることは簡単ではない。防災バーにどんなメニューやコンテンツを用意すれば若い人たちを惹きつけられるかなど、バーで展開する具体的なアイデアを相談したい。

セッションからの気付き

「新たな参加者の呼びこみとリピーターを増やすという両面を考えた場合、やはり魅力的なメニューやコンテンツづくりが必要だということがわかりました。納涼祭や浴衣イベントなどのくだけたアクションで人を呼びこみ、来ていただいた方に「ここが参加型のコミュニティ」として捉えてもらえるようなコンテンツにしていく、といったアイデアが生まれました。今後も100年後、200年後の未来を考える多くの仲間を、この場所から生み出すために魅力的な提案を続けていきます」(若松海さん)

Bohsai BAR(防災バー)

文京いきぬきプラットフォーム

プロジェクトの概要

大災害が発生したときに「知らない人を助けられる社会」を構築するため、求められる技術と知識とコミュニティを紡ぐことで、大災害を“ふんわり”と乗り越えられることを目指す。現在は文京区内の学校や企業、地域の商店会、マンション自治会など、災害時のステークホルダーのプラットフォーム化をはかっている。産官学民が連携した地域活動を展開することで、平時から楽しみながら助け合える関係性を構築したい。

プロジェクトの課題

異業種のステークホルダーが「災害をのりこえる」ことをテーマに、フラットでゆるやかな関係性を維持したまま語り合える場の作り方が課題。また、企業などの事業者、医師会、建築会、NPOとつながる具体的な方法を模索している。フューチャーセッションを開催したい。

セッションからの気付き

「『知らない人が知らない人を助ける』というテーマを掲げて活動してきましたが、今回のセッションで『その真意が伝わりづらい』という指摘をいただきました。それをさらに追求していくと、『身近な知り合いを増やす』ということをやっていけばよいのではというところにたどり着きました。さらに“ゆるやかでしなやかな取り組み”を意識しつつ、想いを同じにして活動を続けていくメンバーを集っていきます。また、他のプロジェクトオーナーや参加者にも文京区在住の方がいるということがわかり、運命を感じています。今日ご一緒したプロジェクトとも連携を強め、さらなるシナジーを生み出していきたいと考えています」(瀬川智子さん)

文京いきぬきプラットフォーム

防災チャレンジ運動会

プロジェクトの概要

中学・高校の教員を務めた経験から、学校における防災関連の一番の問題は“ありきたりの防災訓練”だと思う。そのイメージを脱却するために、学校の防災訓練と地域コミュニティとを掛け合わせたイベントとして防災チャレンジ運動会を開催したい。人命を守る訓練と楽しく時間を過ごす運動会をいかに結びつけるかがポイントと考えている。

プロジェクトの課題

参加していて「楽しい!」「防災訓練をやりたい!」と生徒たちに思ってもらえるようなコンテンツを創っていきたい。他のプロジェクトとのコラボレーションによって生み出したい。そして、それを導入した運動会を実際に開催するにはどうすればいいのかを考えたい。

セッションからの気付き

「防災チャレンジ運動会を大々的に開催するのではなく、夏祭りなどすでに地域に溶け込んでいるイベントに組み込むことで、地域全員が興味を持ち、身近な存在として受け入れてくれるのではないかという意見をもらいました。そこを“はじめの一歩”として推進していきたいですね。また、開催自体を目的とするのではなく、開催後の振り返りこそが大事であると同時に、そこに多様性への理解や価値観の共有が求められる、という点が気付きとして残りました」(澤内隆さん)

防災チャレンジ運動会

プロジェクトオーナーの気付きの整理とともに、参加者全員で壁に貼ったプロジェクトマップにそれぞれの想いや気付き、連携の提案などを書き込んでいきました。
それぞれの活動が連携し合い、スパイラルアップさせることで、実践的なレジリエンスの未来に取り組んでいける可能性が大きく広がり、これまで以上に多くの気付きや学びが生まれる場となりました。

チェックアウト

すべてのプレゼンテーションの後、問いかけ人である大成建設の小野部長から、全体を通じての振り返りと今後の抱負が語られました。

「プロアクションカフェという形態で行った今回のセッションですが、想いや目標が同じだとやはり通じ合う部分が多々あり、一見違う取り組みに見えても、連携や助け合うことができるということ、そしてそれが大きな未来の可能性を大きくしていくのだということに気付かさせていただきました。ご参加いただいたすべての方にあらためて御礼申し上げます。

小野営業部長(大成建設)
小野営業部長(大成建設)

レジリエンスとは、たとえ大きなダメージを受けても、より良い方向にしなやかに立ち上がってくる能力のことだと言われています。レジリエンスの未来へと向かうには、リスク発生を前提とした上で、その後について1週間後から1カ月後、1年後にはどうなっていたいのかというように、時間や視点をストレッチしていきながら、私たちの暮らし方や社会全体についても考えていく必要があるのではないでしょうか。これまでのセッションを通じて、そんなことを感じています。

そういった意味でも、こうした取り組みは始まったばかりで、輪を広げながら幅広く、深く考え続けなければならないと思います。
もしかすると、こうした対話の場を続け、考え続けていくことが『レジリエンスの未来』に少しでもつながっていくことを願い、これからも続けていきたいと思います」

今回のセッションの開催にあたって、多くの方々にご協力をいただきました。紙面を借りてあらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。