耐震診断と耐震補強を考える
ー耐震診断の必要性と耐震補強プロジェクトの進め方ー
建物の地震に対する強さを判定する耐震診断。
このコーナーでは、建物の耐震性とは何か?について解説するとともに、最適な耐震補強プロジェクトのための基礎知識としての「耐震診断」と「耐震補強」について解説します。
耐震クラスと補強タイプ
耐震補強を行うに当り、まず建物の目標設定に応じて必要な耐震性能の耐震クラスを設定します。
通常一般の建物では、建築基準法が定める最低基準として、中小地震に対しては無被害で機能保持し、震度5強から6弱程度の大地震に対しては被害を軽微・小破程度に留め、さらに、震度6強から7の強大地震に対しても建物は倒壊することなく人命を保護することを目標として設定されています。
学校など大地震後に避難施設として使用する建物や、病院、庁舎など大地震後にも機能保持を行う必要がある建物では耐震クラスを上げて補強を行います。
耐震補強の場合では耐震クラスに応じて、それぞれ耐震性能を1.25倍、1.5倍高く設定し補強計画を立てます。また、ランクAに対しては免震補強(免震レトロフィット)、制震補強(制震レトロフィット)も有効な方法です。
耐震補強のタイプ
耐震性能は「耐力」と「変形性能」を乗じたものです。
耐震補強の方法としては、耐震診断の結果に基づき、「耐力」を上げる、「変形性能」を上げる、および、これらを組合せる方法があります。
耐力を上げるには、耐震壁や鉄骨ブレース、クロスウォール等の耐震壁を増設する方法などがあります。変形性能を向上させるには、柱を炭素繊維、鉄板などで補強する方法があり、これらは特に1970年以前の変形性能が乏しい独立柱に有効です。
なお、補強計画は、建物の構造特性や設置可能な場所の制約などにより、これらを組合せて行います。
耐震・制震・免震
ー目標レベルと適用構造についてー
一般に「耐震補強」と呼ばれているものは、技術的に「耐震」「制震」「免震」の3つに分けることができます。
「耐震」による補強は、「建物の粘りや強さ」を補強し、大地震の際に建物が損傷しても人命の安全を確保することを目標にしています。
しかし、公共施設や病院などの重要な建物、公共の建物などは、その重要度や用途に応じてより高い耐震性能を持ち、その機能を維持することが求められます。
「免震」と「制震」は予測される地震に対し、どれくらいその影響を避けることが可能かといった「目標性能」を指標としているため、より高い耐震性能を求める場合に採用される技術といえます。
さらに、業務継続の観点から耐震補強プロジェクトを進める場合では、構造体の丈夫さだけではなく、電気や空調、衛生などの「設備」、つまり建物を使用する上で必要な「機能」や、仕上げ材などの建築2次部材への対策も考慮することが必要となります。
どのような補強対策を行うかは、どれくらいの耐震性能が要求されるのかということになりますが、そのためには現状での建物の耐震性能を把握することが不可欠となります。
事業の継続性を確保するためには、施設設計で何を行わなければならないか、「震災対応設計指針」を中心に解説します。
企業にとって施設は事業を営む上でのための道具であり、スタッフやサプライチェーンの集結する場として、経営を支える需要なリソースの一つであると言えます。大成建設のBCMソリューションを提供する設計本部副本部長の町井さんに、その取り組みについてのお話を伺いました。