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[issued:2011.09.15]

特集:次に備える

事業継続の視点で見る地震被害と対策へのアプローチ

―工場におけるBCMの重要性とBCP策定のポイント―

企業を取り巻くリスクには、様々なケースが想定されます。
今回は「地震」によるリスクシナリオを取り上げ、「結果事象」からBCMの取り組みに対するポイントを考察します。

関山雄介ポートレイト大成建設(株)
LCC推進部 FM推進室
課長
関山雄介

1. 

建物の被害だけではない生産施設の被災事例


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生産停止に至る被害とは

東日本大震災における被災事例

東日本大震災における被災事例
(出典:日経アーキテクチュア)

日本国内おいて、工場が被災する自然災害として真っ先に思いつくリスク要因は地震です。この地震が発生した際に、建物自体(構造体)が倒壊するといった事象をまず最初に心配されると思います。一方で、「生産を継続させる」という視点で工場の機能を細かくひも解いてみると、様々な経営資源(リソース)を利用していることがわかります。
実際に地震が発生した場合、それらリソースのうち一つが損傷しても生産活動全体が停止してしまう可能性もあるのです。これは構造体に大きな損傷がない場合でも、天井やパーティションといった非構造部材の破損、崩落などが発生する可能性があるということです。

地震動の揺れの長さの比較

地震動の揺れの長さの比較(出典:気象庁)
十勝沖地震や岩手・宮城内陸地震と比較して、震度4以上を観測した時間が非常にかったことがわかります


2011年3月11日に発生した東日本大震災でも、構造体の被害は大きくないものの、その内部で生産活動を停止させてしまった様々な被害が発生しました。

例えば、多くの被害が報告された天井やパーティションの被害は震度6強の強い揺れとなった地域だけでなくそれ以下、震度5弱程度の揺れの地域でも生じており、それにより従業員が負傷したり生産活動の停止が発生しています。

なかでも今回の震災の特徴として、天井の被害が多かったことが挙げられます。その原因の1つとして、今回の地震では強い揺れが長い時間続いたことが、その要因の1つとして考えられると思います。
 
生産装置の被害
生産装置の被害─耐震金物強度不足による装置移動
生産装置を固定していた金物の強度が不十分だと装置が動いてしまいます

同様にOAフロアや2重床の被害も多くありました。
例えば、OAフロアでは支柱が転倒したり、支柱とパネルを固定していない場合はフロアパネルがめくれあがるなどの被害も多く発生しています。こうした症状は、サーバルームなど支柱が高い場合に多く発生し、その場合OAフロア上部に設置されている機器類なども転倒してしまうリスクが懸念されます。

また、生産装置を2重床に固定している場合、固定金物の強度や固定した床の強度などが不十分であるとそこが破損し、OAフロアの場合と同じように機器の移動や転倒などの被害が発生する恐れがあります。
 
ラックからの落下による被害

ラックからの落下による被害


自動倉庫では地震によるラック自体の構造的な被害は少なかったのですが、保管された荷の落下による被害が報告されています。
この場合は、落下した積荷自体の破損だけでなく、ラックのフレーム破損や移動機器への影響も見受けられました。また、積荷が上部に集中し、いわゆるヘッドヘビーの状態になっている場合は、ラックも大きく揺れたことが予想されます。また、荷崩れは棒積み品や嵩高品の場合に多いという傾向にありました。

その一方で、免震建物の自動倉庫では、ラック上の荷が多少ずれた程度で、運用への影響はありませんでした。これらの事から、自動倉庫の地震対策にはラック自体の耐震性に加え、荷の落下による被害をいかに少なくするかが大きな課題となると言えるでしょう。
 
事業継続の視点から見た天井の地震対策

天井の耐震性については国土交通省からも大規模天井を対象に技術的助言などが行われるなど、安全面における様々な取り組みが始まっています。この取り組みを一歩進めて事業継続の観点から考えてみましょう。

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ボトルネックを探る

このように、工場の生産機能の継続に着目した場合、構造体が堅牢なだけでは十分とはいえません。生産装置、天井や壁といった非構造部材、建築設備等、企業にとって重要な業務に必須の機能を見極めてバランスよく対策を施すことが重要になります。
さらに、生産の流れとして原材料の搬入から製品・仕掛品の出荷までを考えた場合、生産施設以外にも、様々な構内インフラや施設が使用されています。
 
構造体以外の工場内の被災イメージ

構造体以外の工場内の被災イメージ


 
例えば…

もし「構内で共用のユーティリティが被災」すれば、そこがボトルネックとなり、
生産が停止するかもしれません。

もし「サーバが被災」すれば、生産管理・出荷管理ができなくなり、
生産が停止するかもしれません。


以上のように、複雑で絡み合った構成で運営されている生産施設の場合、その構内全てに目を配り、最終的には重要業務に必須のリソース全てに対策を施す必要があるわけです。ところが、減災対策といっても発生するリスクは多様で、すべてのリスクを特定しその発生確率を下げるには大変な作業量と投資が必要になります。
これを効果的に実施するには、生産機能に必須のリソースが被災した場合の生産機能へのインパクトを評価し、優先順位をつける事が重要です。減災対策の第一歩、それは重要業務と目標復旧時間を決める事から始まると言えるでしょう。
 

リスクに強い製造業のための処方箋

起りうるリスクの明確化、可能なリスク対策の実施と周知があってはじめて、BCPは実効性のあるものとなり、BCMの目的が達せられます。 その鍵は、まず社内での「コミュニケーション」にあります。

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このセクションのまとめ

構造体以外の建築二次部材、生産装置、建築設備などの被災に留意する
生産に必須の経営資源(リソース)をもれなく特定し、その被災リスクを低減する
生産機能停止のインパクトを評価し、減災対策実施の優先順位付けを行う

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