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[issued:2012.04.18]

特集:免震のこれから

ー東日本大震災を受けての免震建物の課題と展望ー

これからの日本の建築を考える上で、免震がどのようにあるべきか?また免震の課題はどこにあるのか?今後の免震建物への展望について日本免震構造協会・可児常勤専務理事にお聞きしました。

可児長英 ポートレイト一般社団法人 日本免震構造協会(JSSI)
常勤専務理事
可児長英

1. 

日本における免震建物の状況


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東日本大震災を受け、再び免震構造に注目が集まっています。
しかし、一方で、コストなどの問題も含め免震の普及にはまだ多くの課題が残っているとも言えます。
また、この地震でも多くの免震建物がその効果を発揮したという声を多くお聞きする一方、思いもよらないところでの建物の被害も生じているとの報告もありました。
こうした背景を受け、実際の状況はどうなのか、これからの日本の建築を考える上で「免震」がどのようにあるべきなのか、また、免震の課題はどこにあるのか?について、「東北地方太平洋沖地震に対する応答制御建築物調査」を実施された、 一般社団法人 日本免震構造協会(JSSI)常勤専務理事 可児長英様 にお話を伺いながら、日本における今後の免震建物への展望を探っていきたいと思います。

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普及してきた免震建物

 
―免震のルーツというのはどこの国になるのでしょう?
歴史的に見て、先端的な免震工学発祥の地はニュージーランドです。
しかし、資金的な問題もあり、実際にニュージーランドに建設された免震建物は10棟程度とそれ程多くないのが実情です。
こうした事情から、優秀なエンジニアは研究の盛んな米国のカリフォルニアへと渡り活動していました。 サンアンドレアス断層がある地域は地震の多発地帯となっている背景があるためです。 そこには現在100棟ほどの免震建物が建設されています。
欧州の場合はラクイラ地震に代表されるように、地震国イタリアに免震建物が多く建てられており、その数は約300棟にのぼっています。

一般社団法人 日本免震構造協会(JSSI) 常勤専務理事 可児長英様

一般社団法人 日本免震構造協会(JSSI)
常勤専務理事 可児長英様


―日本では免震が随分と普及してきたと思います
ここ日本では、ご存じのとおり「地震大国」という現実があることから、現在、約3,000棟と世界から見ても数多くの免震建物が建てられています。また、棟数実績や技術レベルの高さから、近年では他国への技術輸出も模索しています。例えば、イタリアでは日本で設計された免震構造と装置が現地での検査基準をパスし、1棟の建物へ導入が予定されています。完成すれば日本の免震技術が海外移転される初めてのケースとなるでしょう。

―今後、注目すべき国がありますか?
今後注目されるのは中国でしょう。建設棟数も今年度中に日本に追いつくだろうと言われているほどです。
日本なら免震装置が300台も設置されればばかなりの規模の免震建物と言えますが、雲南空港では数千台が使用されるなど、そのスケール感には圧倒されるものがあります。
実際、免震装置メーカーの数も日本のメーカー数を上回り、中国政府も自国技術の発展に大きな力を注いでいます。
 
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日本免震構造協会について


 
―日本免震構造協会はどのような役割を担っているのでしょう?
免震構造協会(JSSI:The Japan Society of Seismic Isolation)は1993年に設立されました。現在では約100社の一般企業と約200名の学識経験者から構成されています。
当協会の役割は免震・制振構造の推進における研究と普及です。具体的には9つの委員会のもと、様々な調査研究活動を行っています。例えば、技術委員会では免震・制振構造の設計法・施工法に関する調査研究や技術課題の検討を担い、普及委員会では各種メディア向けに出版物やWebサイトを通して免震建築関連のPRを行っています。また、国際的にはCIB(建築研究国際協議会)に所属し、国際委員会のもとで世界各国と情報交換を行い、地震工学の研究・調査結果を共有しています。

その他、免震構造の普及促進を担う大きな役割として、主に下記のような業務を行っています。日本免震構造協会は来年には設立20周年を迎えますが、当協会はまさに日本の免震構造研究と歩みを一にして発展してきたと言えます。
 
性能評価業務
国土交通大臣指定性能評価機関として、建築基準法に基づく免震構造および免震装置に対する性能評価を行っています。

資格制度
免震構造の普及促進に向けた資格制度として、「免震部建築施工管理技術者」の資格認定を行っています。これは当協会が定める資格認定制度に関する規定に基づき、免震工事に関わる施工計画の立案、免震部材等の品質管理、免震部工事の施工管理を行える技術者を認定するものです。
また、建物の定期点検を実施する際に、免震建物に要求される免震性能と性能品質を確保するために、免震層及び免震廻りの点検を行う「免震建物点検技術者」の資格認定もあわせて実施しています。

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