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[issued:2013.04.03]

特集:レジリエンス

日本企業のレジリエンスと事業継続性

―困難に強いレジリエントな組織づくりにむけて―

日本企業のこれからを考える上で重要なキーワードとなってきた感のある「レジリエンス」。そのあるべき姿について、これからどのように取り組んでいけばいいのかなどについて、インターリスク総研の小林主席研究員に話を伺いました。

小林誠ポートレイト株式会社インターリスク総研
総合企画部
主席研究員
小林誠

1. 

レジリエンスの真意


anchor flag

「しなやかさ」「回復力」など、さまざまな意味合いで訳される「レジリエンス」。
その概念は企業組織のみならず、個人から社会全般にわたって備えられるべき能力であり、その役割は今やますます重要な意味合いを持ちつつあります。
すでに日本でも取り組みが始まっている事業継続、あるいは危機対応といったマネジメント含め、今回は「レジリエンス」という視点から困難な状況を乗り越えていくための新たな取り組みについて解説します。

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─ちょうど3.11の前くらいからだと思いますが、「レジリエンス」という言葉を目にする機会が増えたように思います。従来からある「事業継続性」という言葉と混同されているという印象があるのですが、この点についてどうお考えですか?─

レジリエンスはカーペットの品質を表す言葉が由来

レジリエンスはカーペットの品質を表す言葉が由来


レジリエンスという言葉は元々カーペット業界の用語から来ているらしいのですが、例えばカーペットを押した時に弾力があって元に戻る、これを「レジリエンスがいい」と言っていたんですね。それを人間に当てはめて、心理学では「打たれ強い」という意味合いからレジリエンスを向上させるという使い方が一般用語として使われ始めた経緯があります。

それが今度は組織や建物などに適用されていき、米国のASISインターナショナル(1955年に設立された世界最大のセキュリティ団体)が「組織レジリエンスマネジメントシステム」として普及に取り組んでいます。


─ 組織としてのレジリエンスとはどんなイメージになるのでしょうか? ─

レジリエンスには組織・企業が打たれ強い、何かあってもすぐに回復するなど、いくつかの要件があります。
地震のケースで言えば、震災で業務レベルがゼロになってしまうのではなく20くらいで留まる、BCPだと復旧期間が短くなる、というイメージです。ダメージがゼロに近づかず、かつその戻り方も早い。まさにカーペットのように押しても凹みにくく、凹んでもすぐに元に戻る、こういうイメージなんですね。
「へたりにくい組織」と言えばわかりやすいでしょうか?組織に限らず人間や建物にもこういう考え方が適用されるようになったという感じです。
 
─ これまでの「事業継続性」とはどんな点が異なるのですか?─

レジリエンスと事業継続で何が違うのかと言うと、事業継続の場合は災害等のアクシデントが起きてしまった後に事業をどう進めるのかという点だけに着目しています。こうした場合は、例えば別のところで事業を再開しさえすればそれで事足ります。一方でレジリエンスのケースでは業務レベルの低下を抑える、もしくは早期の復旧を目指すなど、もっと広い観点が必要になってきます。それはインシデントの予防から計画づくりの準備、何かあった時の対応など、事業継続と復旧に対して全ての段階で対応しないと組織のレジリエンスは成立しないという考え方なんですね。
つまり、防災、緊急時対応、事業継続、復旧という全てのステージに対応してレジリエンスを確保する、それが組織レジリエンスの考え方なんです。事業継続はレジリエンスに含まれる概念なのです。



─ BCMがISO化されるなどグローバルな動きが見られます。両者の間に関係はあるのでしょうか?─

組織レジリエンスの背景にあるのがISO 22301(BCMS:事業継続マネジメント-Business Continuity Management System-)とも関係するソシエタル・セキュリティ(日本では社会セキュリティと呼ばれる)です。
もともとはそれまで国の安全保障を念頭に置いた規格だったのですが、東西冷戦終了後は国土を中心にした考え方から、地域や社会において災害等にどれだけ適応できるのかという視点へとシフトしてきました。冷戦終結によって従来の国家アイデンティティが確保できなくなってしまったことも原因にあります。

もう一つは、9.11により国家の安全保障と同時に社会の安全保障を考えていかなくてはならなくなったことから、セクター別に何をすべきかを考えるようになったことでした。こうした中で、企業がやるべき保障が事業継続だったというわけです。だからISO 22301は企業というセクターがやるべき社会セキュリティ対策といってもよいでしょう。
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