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[issued:2014.03.05]

特集:レジリエンスの未来 1

レジリエンスの視点で日常を見直す

危機を契機とした、より能力の高い社会に生まれ変わるという意味を内包する「レジリエンス』。その視点での取り組みの事例や現在の課題、今後必要なことなどについて、名古屋工業大学 大学院工学研究科社会工学専攻 教授 の渡辺先生に伺いました。

渡辺研司ポートレイト名古屋工業大学 大学院工学研究科社会工学専攻 教授 リスクマネジメントセンター 防災安全部門長 工学博士 MBA
渡辺研司

1. 

日常の積み上げとしてのレジリエンス


anchor flag
― 災害への対応には、防災や減災、あるいはBCP(事業継続計画)など、様々なアプローチがありますが「レジリエンス」という観点から考えるとどのようなことになるのでしょう。―

自然災害は起こること自体は防げないというところから出発し、そこで「減災」という発想がだんだんと浸透してきました。しかし減災はことが起こるまでその効果が発揮できません。
レジリエンスも来たるべきことに対応する弾力性を上げ、「事が起きた時に効果を発揮するもの」ではあるのですが、もともとのレジリエンスの発想は、心理学でも使う「打たれ強さ」、やられて打ちひしがれてもまた戻っていくし、ポイントはその間により強くなっていくという発想でいくと、それは普段から持っておくというべきものであるといえます。

レジリエンスを考えるには、結果事象から事前と事後の両方を考えることが重要

レジリエンスを考えるには、結果事象から事前と事後の両方を考えることが重要


レジリエンスの根本は、日々の柔軟性の積み上げであると思います。
これまでの「防災」に根ざした「災害を防ぐ」という観点からだけでは、実際に行う施策がハード的な強化ばかりに目線が行ってしまい、対策の出口が変わってしまうように思います。
とはいえハードの強化を否定するわけではありません。
ダメージのレベルを下げるという点では、なぜ、そこに、どれくらいのものがいるかというハードの発想は必要です。しかし、リスクが発生してしまった時に、何をどのようにして行動に移すかというソフト面からの発想も同じ以上に必要なのです。そこで重要になってくるのが「日々の柔軟性の積み上げ」という考え方なのだと思います。
 
― 確かに災害は日常の中で起きるものですが、それを積み上げて行くのは大変なような気がします。―

ちょっとした事件・事案に対して火を消すという対応は経験値の積み上げでも対処でき、過去あったことから対応できます。それを訓練や演習などで同時多発的、期間長期化と言った変化をつけながら、うまくそれを使ってストレッチをかけ、実際に起きそうな想定を広げていくことで、段々と大規模な同時多発的なものにも対応できるようになってきます。

また、こうしたことは実際に対策を実施する立場から積み上げていかないと、リアルなものになってきません。
また、極端な被災想定から考えようとするとレジリエンスどころの話じゃなくて、思考停止に陥ってしまいます。



例えば、私のいる名古屋の地下街などでは、たまに台風や豪雨で浸水・水没したりするわけです。しばしば起きるそうした事態に対して何とかうまく対処できたならそれでよしと終わらせてしまうのではなく、そうした被害をもとに「これが長期化した場合はどうすればいいのか」、「水位がさらに上がった場合にはどうなるのか」ということを考えていくと、相当レジリエンスは高くなっていくと思います。
最も高い想定に基づいた対策だけではなく、こうした日々の対処との間に柔軟性を積み上げていくことこそがレジリエンスを高めていくことになっていきます。
 
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