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[issued:2014.04.30]

特集:レジリエンスの未来_2

レジリエンスの向上とBCM

「レジリエンスの未来」第2回目は、BCPから見たレジリエンスへの取り組みです。BCMの導入を通して業務の全体像を「見える化」することは、レジリエンスにも繋がる。そんな取り組み事例や考え方を名古屋工業大学 大学院の渡辺教授に伺いました。

渡辺研司ポートレイト名古屋工業大学 大学院工学研究科社会工学専攻 教授 リスクマネジメントセンター 防災安全部門長 工学博士 MBA
渡辺研司

1. 

儲かるBCP


anchor flag
― システムの全体像を可視化(見える化)するには、労力やコストへの効果が認めにくいということもあってか、BCPの取り組みに消極的な企業が少なくないという現実があります。―

そうですね。中小企業庁もこの問題を少しでも解決しようと、なかなかBCPの策定に手を付けようとしない中小企業に対して、今年の普及啓蒙用のパンフレットでは「儲かるBCP」という言葉を使い始めました。
そこには、なぜ「儲かる」のかが例を挙げて紹介されています。

売上げが増進する
自社のホームページなどで「BCPを始めました」と告知することで、安定した製品を供給しようとする企業努力をしているという点が評価される。そのおかげで問い合わせが来て、実際にビジネスへと発展。取り組みを告知することで売上げ増進に繋がった。

人材が育成できる
人は少ないけど、やることは多々ある。専門性の高い仕事があると他に代われない。そんな中小企業ならではの悩みも、緊急時に備えてクロストレーニングを実施したことにより、業務の幅が広がり、しかも自分の仕事の位置づけも俯瞰して把握できるようになり、結果として人材育成や事業継続にも繋がった。

業務効率化に繋がる
工作機械の操作など、専従者にしかわからない作業内容を紙に貼って誰もがわかるようにした結果、その担当者のミスも減り、また誰が使ってもある程度の作業ができるようになり、業務の効率化に繋がった。

後押しをして「いざという時に備えよう」といくら言っても、実際は中小企業には人も時間もお金もないのが現実です。BCPだけのためにこうした活動をやるというのはやはりムリがあるため、実践するにあたっては、このように日常の企業活動における課題解決にうまく噛みあわせていく必要があります。
 


東日本大震災から3年経ち、中小企業も必要性を感じている企業とそうでない企業に二極化してきています。

取り組まなくても、これまで何とか対応ができた企業はやはりBCPなど必要ないと感じてしまい、それよりも「後継者問題の方が大切だ」という企業も少なくないのが現状です。
 
―本来、BCMは業務の流れやビジネスモデルをうまく可視化し、災害というインパクトを使って矛盾や弱点を改善してくためのものでもあると思うのですが、日本の企業活動はなかなかこうしたロジカルなマネジメントシステムに落とし込めません。管理されたマネジメントというよりも、阿吽の呼吸で「何となく業務が流れている」というものを多く感じます。
オペレーションでも後工程の従事者が普段やっていない前工程を見ると、もっとこうやればいいのにと感じたりするケースも多々あります。―


実際、BCMの導入は効率性や改善に繋がっていきます。
ビジネスにおける業務が可視化されていないと、業務と業務の間にあるグレーな部分で何かが起きても、それがわかっている担当者がいなければもう全てが回らなくなってしまいます。

これは日常時だけのことではなく、緊急時に非常時用のシステムや業務フローに切り替える際にも危険なグレーゾーンが潜んでいます。たとえば、非常時だけを想定した設備・機器や段取りは本番時には実際に使えないことが初めて発覚するようなケースもあります。

そうならないように、日常業務の中で非常事態に対応できるような対応を行っている企業もあります。例えばある企業では、電力供給や通信を確保できるようにあえて自家発電装置やMCA無線(業務用無線システム)、衛星無線などの災害時用の機器を通常業務で使っています。

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