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[issued:2015.02.05]

特集:レジリエンスの未来_4

New Normalな時代に求められる“創造的な適応力”

巨大災害の頻発で、社会の「レジリエンス」が問われている昨今。「国連防災白書」のコンセプト・デザインも手がけ、地球感の文脈の中で「レジリエンス」を“創造的な適応力”として捉える竹村真一教授がその本質を語る連載第一回目です。

竹村真一ポートレイト京都造形芸術大学
外苑キャンパス Planetary Design講座
教授
竹村真一

1. 

NewNomalの時代


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異常気象と巨大災害の頻発で、都市や社会のレジリエンス(強靭さ)が問われている昨今。災害の規模を大きくする根源的な理由に迫り、そのリスクをリセットするすべとは?
人類史、生命史、地球史といった大きな文脈の中で、「レジリエンス」を“創造的な適応力”として考える竹村真一教授が、2回にわたってその本質を語る。

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異常気象の常態化
 

近年、世界中で気象の極端化や巨大災害が「常態」になってきています。毎年のように巨大な台風が日本列島を襲い、アメリカでもブッシュ政権を傾けたとも言われる2005年のハリケーン・カトリーナやサンディをはじめとして、毎年のように大きなハリケーン災害が起きています。また、一昨年のアメリカや2010年のロシアでは干ばつが5カ月も6カ月も続き、穀物生産にも大きな打撃を与えました。

これは、地球温暖化の影響で、本来冷たい極地と熱帯地域の温度差で駆動されるはずの偏西風が停滞しつつあるのに伴い、異常気象も同じ場所に停滞しがちになりつつある、そうしたグローバルな気候変動の兆候かもしれません。北極の温暖化で影響を受けるのはシロクマだけでないのです。
こうした「異常気象の常態化」「もはや異常気象とは呼べない」という状況を踏まえて、国連ではこれを「New Normal(新たな常態)」と呼んでいます。

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すべての災害は本質的に「人災」である
 



とはいえ地球温暖化や気候変動と同時に、もっと本質的な、私たちの内部にある問題にも眼を向けねばなりません。というのも自然災害、外からくるhazard(天災)を、大きなdisaster(災害)にするかどうかには、われわれ人間の側の要因が大きく関係しているからです。

たとえば日本企業も大きな損害を被った、3年前のタイの洪水。大型台風の襲来が続き、例年の1.4倍の降雨量があったという意味では、確かに外的な要因もあった。でもそれ以上に、過度の森林伐採による保水力の低下、あるいは急速な経済の発展や人口の増加に伴って沿岸低地部への人口集中が進み、それまでは住宅も工場も建てなかった氾濫常襲地帯にも工場を誘致するようになって、結果的に人間の側が災害リスクを高めてきた面も大きい。

世界的にみても、ここ数十年のグローバル経済の進展で、世界貿易を支える港湾都市への人口集中が進み、世界中で洪水や海面上昇の影響を受けやすい「沿岸低地」のExposure (災害に曝される人口・資産)が飛躍的に高まりました。さらに農村地域の疲弊と気候難民の増加が、沿岸都市への人口集中に拍車をかけています。当然スラム化が進み、都市文明のVulnerability(災害や変動に対する脆弱性)が増大しています。

かつて都市は人類を自然の猛威から保護するシェルターだった。しかし今や、都市そのものが人類にとって最大のリスクとなりつつある。人類は社会の発展や技術文明の進歩によって自然の猛威から解放されたように見えて、災害や気候変動などのさまざまな外的要因に対してかえって脆弱になりつつあります。
だから「巨大災害の常態化」は、異常気象や気候変動だけでなく、つまるところ人類社会の根本的な「Bad Design」が生み出していると言わざるを得ません。
 
2014年度外苑キャンバスPlanetary Design講座

本講座では、レジリエンスを人間の“創造的な適応力”と捉え、その本質を掘り下げてみたい。(竹村真一教授)
ーー2014年のシリーズを締めくくる最終講座は、2/18、24の夜に開講の予定です。

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