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[issued:2015.02.25]

特集:レジリエンスの未来_5

新たな文明の基本コンセプトとしての「レジリエンス」

巨大災害の頻発で、社会の「レジリエンス」が問われている昨今。「国連防災白書」のコンセプト・デザインも手がけ、地球感の文脈の中で「レジリエンス」を“創造的な適応力”として捉える竹村真一教授がその本質を語る連載第二回目です。

竹村真一ポートレイト京都造形芸術大学
外苑キャンパス Planetary Design講座
教授
竹村真一

1. 

事前に描く「復興の青写真」


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異常気象と巨大災害の頻発で、都市や社会のレジリエンス(強靭さ)が問われている昨今。災害の規模を大きくする根源的な理由に迫り、そのリスクをリセットするすべとは?
人類史、生命史、地球史といった大きな文脈の中で、「レジリエンス」を“創造的な適応力”として考える竹村真一教授がその本質を語るシリーズ二回目の特集です。

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「予期」「予測」、そして「青写真」
 

この巨大な気象災害が常態化したNew Normalな時代、そして地震や津波、火山噴火などの大きなリスクが近未来に確実に想定されるいま、災害の「予測」と「予防減災」はもちろんですが、さらに前もって被災後にどのようなコンセプトで街や国全体を再興・再設計するのか?を考えておくことが重要になります。その「災害後の未来への青写真」を描いておけるかどうかで、実際に災害を受けた後の復興の速度やそれにかけるエネルギーが大きく変わってくるでしょう。
それこそが柔軟な復元力・再生力を意味する「レジリエンス」という言葉の本質に見合った、真の防災・減災概念ではないかと思います。

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新たな「つながり」が導く新たな解決スキーム
 

レジリエントな国土の再設計という意味では、従来の縦割り行政に基づいた「治水」「防災」の枠組を超えた発想、もっと横断的で総合的なアプローチも必要となります。
たとえば日本の水田のもつ膨大な貯水力・洪水緩和機能を活かして、何十億円もの災害経済損失を未然に防ぐことに成功した「田んぼダム」という新たな試みも、新潟などで始まっています。下流の沿岸低地でも、たとえば有名なスカイツリーは、2600トンもの巨大雨水貯留タンクを備えています。きれいごとでの雨水利用でなく、集中豪雨のピークカットによって少しでも沿岸低地ならではの洪水リスクを減らそうという試みで、私は海外では”Sky Water Tree”(天水を集める樹)として紹介しています。



「流域経営」という概念も、これからのレジリエントな国土・都市デザインでは重要でしょう。これまでは水系の上流〜中流〜下流とそれぞれ別の自治体がバラバラに管理してきましたが、上中流での「田んぼダム」のような試みと下流域でのスカイツリーのような動きがセットになって初めてトータルな治水も可能になる。
こういった発想は河川に限ったことではなく、普遍化してさまざまな分野に応用できるのではないでしょうか。そして、それを一つの社会的OSとして多くの人たちがコモンセンスにできるかどうかが問われているのだと思います。

例えばエネルギー問題についても震災当時、電力会社が地域ごとに区分けされていて、お互いに融通し合えないというような構造的な問題がクローズアップされました。東京や日本という地域単位で考えたとき、一番電力を使う昼間の時間を乗り越えるために、ピークカットというピーク時に電力を使わないという方策しかありませんでした。
しかし日本やインド、中東などがほとんど送電ロスのない電力網「スーパーグリッド」で結ばれたと仮定すると、日本がお昼のピーク時で電力消費が逼迫している時にインドや中東ではまだ朝で電力が余っているなど、時差によって発生するピークのずれを利用してお互いの電気を融通し合うことができるでしょう。
このように、ローカル単位で考えていると解決しない問題が、リージョナルな、あるいはグローバルなスケールでなら解決し得ることも出てくるのです。
 
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