[issued:2006.07.15]
特集:デザインと耐震 序章
-Start of architecture reformation-
建築のストラクチャー(構造)は建築のデザインを実現する手段であり、その整合性が建築の完成度や美しさだという見方がある。
一方でストラクチャーの新しい試みがユニークな建築デザインに展開することもある。
この特集では、建築設計者と構造設計者の対話を通じ、デザインとストラクチャーの豊かで多様な関係性の中でイノベーションを続けていく建築の可能性を探って行きたい。

特集:デザインと耐震
プロローグ座談会
構造のわかる会
4.
論議2:ストラクチャーのデザイン、デバイスのデザイン
デザイン要素としての耐震
構造:
開放感のある空間もつくりたいが地震に耐える空間もつくらなければいけない。そのためには地震から建物を守るためのストラクチャー、また免震装置、制震ダンパー、耐震補強材のようなデバイスに対し一層の工夫が求められるということです。
その性能の高さももちろんですが、ストラクチャーやデバイスも隠すばかりではなく、見せることで、利用者への安心感や建物の安全性を目に見えるようにしたり、空間の魅力を高める装置として利用する方法もあると思います。
建築:
見せるということは、ストラクチャーもデバイスも建築デザインの要素としてしっかりデザインしなくてはいけないということですね。そのためには、つねにデザイン、構造双方が連携して取り組んでいかなければいけません。
構造:
当社設計・施工によるプロジェクトの中でも、ストラクチャーやデバイスを見せるように意識し、建築としてトータルにデザインしている作品もいろいろと出てきていますが、もっともっと考えなければいけないでしょう。
例えば、ファッションショウを見ていると、人間の体の構造は同じだが、あんなに千差万別なデザインが生まれているということに気づきます。つまり耐震性能を向上させるための、ストラクチャーやデバイスによる構造技術的なソリューションは同一であったり、似通っていても、その建築デザインとしてのソリューションはもっと多様な可能性を持っているはずです。
建築:
制震のためのブレースや間柱などは、細いほうが開放感も浮遊感も感じられていいと思われているようですが、細すぎると不安定な感じもあり、建物全体のデザインとのバランスも重要でしょう。
構造:
超高層ビルなどで、内部空間の開放感を重視するための一番手っ取り早い方法は大きな窓など開口部を出来るだけ確保することですが、利用者が外部からの視線や日射をさえぎるためにブラインドを閉めて使っている場合も多々ありますね。完全にオープンにするのではなく、耐震性、採光、外からの影響の遮断、外観デザインなどをトータルに考える必要性があります。
建築:
そうですね。そのために、制震装置であればブレース部材を細くしたりカラーリングを考えたり、取り付け部を工夫するなど、デザイン面でまだまだ取り組んでいないアプローチは多いと思います。また、例えばコンクリート壁に代わる透光性の高い新素材等が開発されれば、これまで完全な遮蔽要素でしかなかった耐震壁の配置にも新しい考え方がでてくると思います。ストラクチャー自体でもデバイスでも、アトラクティブな建築デザインとして検討すべきことはまだいっぱいあると思います。