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[issued:2015.12.28]

特集:免震レトロフィットの現場

福井市庁舎別館

大規模改修工事・耐震改修工事

福井市庁舎別館で実施されている「庁舎を使いながらの大規模改修工事・免震レトロフィット工事」の様子をご覧頂けます。


4. 

構造設計者からのコメント


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今回、構造設計を担当した豊田祥之シニア・エンジニアから、お話を伺います。


 


●耐震補強構法として「免震」を提案されましたが、どうして「免震」を選択したのですか?「免震」にする利点を教えてください。
福井市から提示された要求水準書では、改修工事に関して「耐震」、「制震」、「免震」等の補強工法は特定されませんでした。提案に先立ち、現地の状況と既存設計図書、耐震診断報告書を確認したところ、「耐震」では改修後の建物の使い勝手が大きく制限されます。 
また、「制震」では効果的な補強が困難であると判断しました。大成建設は耐震性の低い建物に対するレトロフィット免震の実績も多く、技術的に十分対応可能であると判断し、「免震」を提案することにしました。
「免震」のメリットは、最も高い耐震性能を確保することが可能であるということです。改修後の建物の使い勝手や市民の方が見慣れた建物の外観が、改修前と比べて大きく損なわれる心配もありません。BCPの観点からも、大地震時に市庁舎としての機能を維持することが可能となります。

●どうしてプロポーザルで「地下1階柱頭免震」を提案したのですか?
レトロフィット免震には、「基礎免震」と「中間層免震」があります。既存建物の下に免震装置を入れる「基礎免震」を採用する場合、掘削土量が増えてしまいコストがかかってしまいます。
今回工事対象となる別館は、本館と大手駐車場が隣接しており、それぞれ渡り廊下で接続していますが、既存基礎への影響が大きくなります。「使いながらの工事」を考えた場合、別館の中を使い続けることは可能ですが、建物周辺の場内道路は使用が大幅に制限されてしまいます。別館の地下1階は機械室と倉庫であったため、「中間層免震」を提案することにしました。地下1階の柱上部に免震装置を設置する「地下1階柱頭免震」です。地下1階に工事範囲が集約されますので、工事中も1階より上の空間は今まで通り使用することが可能となります。
 
●地下1階の梁補強を提案していますが、一般的な基礎梁補強を避けた経緯を教えて下さい。
地下1階柱頭で免震を行う場合、既存の床を壊して床下ピット内で基礎梁の補強を行うのが一般的です。
今回は地下1階の階高が5mであるため、エレベータの着床に気をつければ、床上で補強部材が出ても問題はないと判断しました。床上で基礎梁補強を行うことにより、ピット内工事では避けられない「腰をかがめながらの作業」を減らすことが可能になります。また、既存床の解体が減りますので、解体時の騒音を大幅に削減できます。

●エレベータの更新について教えてください。
今回、エレベータも免震対応とします。2台のエレベータのうち、工事中も最低1台は使える状態とします。床上梁補強により地下1階の床レベルが1mあがりますが、着床レベルを合わせましたので、使用勝手の変更はありません。

●屋根の積雪対策について教えてください。
福井市の内規で「常時、2mの積雪に耐えられるようにしなければならない」という基準に変更されました。新設当初の設計基準では満足していた屋根の仕様も現行法規によればNGとなる、いわゆる「既存不適格」な状態となりました。対応策は既存梁を補強するか、雪荷重が屋根に直接かからないようにするかしかありません。別館5階の大講堂上部屋根下天井内はアスベスト封じ込めが完了しているため、屋根受け梁の補強は困難と判断し、屋根の上に金属製の「覆い屋根」をかけて、雪が既存屋根に積もらないようにしました。それによって既存屋根の補強は不要となります。
屋上防水のやり替えに加えて、雪除け屋根と合わせて二重の防水対策にもなります。

●ドライエリアを構築する際に、どのような工夫をしたのか教えてください。
別館北側にはドライエリアがありました。既存の擁壁を内側から壁を増し打ち補強することで自立型とし、不要な掘削工事を省略しました。残りの3面はドライエリアを新しく構築しますが、地下1階柱を建物の内側のみで補強する計画としたことで、掘削土量を大幅に減らすことが出来ました。

●最後に、設計者の立場から、豊田さんのコメントをお願いします。
2015年11月現在、第三者耐震判定委員会による耐震評価取得のため、構造検討を継続しています。市の要求水準を全てクリアする設計をしましたので、まもなく評価取得する予定です。工事中の安全性についても検討を開始しました。
今後もお客様、作業所長をはじめ、協力業者のスタッフとコミュニケーションを密に取りながら、工事が円滑に進むように対応していきたいと思っています。最終的に、福井市の皆さんから「免震改修してよかったな」と言われるように頑張りたいと思います。
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