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[issued:2006.01.04]

特集:BCMに取り組む

事業継続管理に織り込む施設計画

スペシャリストインタビュー

 企業にとって施設は事業を営む上でのための道具であり、スタッフやサプライチェーンの集結する場として、経営を支える需要なリソースの一つであると言えます。大成建設のBCMソリューションを提供する設計本部副本部長の町井さんに、その取り組みについてのお話を伺いました。

町井充ポートレイト大成建設(株)
設計本部
副本部長
町井充

2. 

BCを実現するファシリティとは?


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BC設計手法と周辺技術

■いまBCMに関する技術の活用について触れられましたが?

町井:
当社は免震システムなど建物自体に組み込む減災技術は最高峰のレベルだと自負していますが、ここでは、私が設計を専門としていることもあるので、BCMに役立つ「設計技術」についてお話したいと思います。


■設計技術とはどういった技術なのでしょう?

町井:
お客様にとって最適な施設を設計段階で検討・評価し、絞込み、提案する技術です。耐震基準などの法規制をクリアすることはもちろんですが、お客様の要望に応え、事業継続を確実にするための施設をつくろうとすれば、法規制以上の性能を持たせなければいけない場合があります。
それは、どういうハードをつくるかという「仕様」だけで検討するのではなく、目的・要望を満足させるために必要充分な施設の「性能」を基準に設計するということでもあります。


各機能に必要な耐震性能を設定して言うためのチェックシート
震災対応設計は、「守りたい施設や機能」を提示していただくだけで、それに関わる機能とそのシステム全体に対して詳細な検討と対策を行い、施設、設備面における事業継続性を確保していきます。


■「性能」というのは必ずしも目に見えるものではないし分かりにくいのではないかと思いますが?

町井:
そのために性能指標を設け数値で表現したり、例えば地震など様々なリスクから建物がどのような影響を受けるかを解析し視覚化するというシミュレーションなどが重要になります。
お客様の要望に応えるために必要な施設の性能を明確にする基準や説明できる技術をもっていないと、過剰な構造や設備としたり、逆に条件を満たさない性能のものになったりすることもあります。性能とそれを実現する施設計画と矛盾が生じたり、これまでなかった新しい要望、新技術には対応できないといったことも起こります。


■具体的にはどのようなことなのでしょうか?

町井:
当社は、阪神淡路大震災のわずか1年後の1996年、従来の耐震設計基準の枠をこえ、事業継続を目標とする「震災対応設計指針」を発表しました。「地震対応」ではなく「震災対応」であるのは、指針の目的が地震という現象が引き起こすあらゆる有形、無形の被害=震災という事象に対し、いかに備え、被害が発生した場合でもいかに最小におさえ、最短時間で事業回復を行い事業継続性を確保することができるか? という点にあるからです。



■内容についてもう少し詳しくお聞かせください。

町井:
この指針では施設の機能継続レベルに応じて目標とする性能を震災対応グレードとして3段階に分けています。
建築基準法に準じた上で阪神淡路大地震における教訓をプラスした性能をCグレード(人命保護、倒壊防止、避難確保)とし、これを実現する仕様を(必要最小限の)ミニマム基準として当社設計・施工物件のすべてに適用しています。
そして、最上位をAグレード、中間をBグレードと呼んでいます。それらを基に病院、学校、データセンター、工場、オフィスなど施設用途やそこで行われている主要業務に求められる耐震性能を、費用対効果も含め検討し対策を図ることを可能とした手法を確立しました。


■シミュレーション技術にはどのようなものがありますか?
町井:
これも当社の得意とする分野の一つです。
地震による建物の状況を分析しバーチャルに表現する技術はもちろんですが、特に都市部の地震の際、多くの生命を奪うと言われる火災に関しても、火災発生時の煙の流れも可視化することで適切な排気や避難のための計画に役立てています。
また、地震の被害を軽減する手法のひとつとして最近注目されているものに「損傷制御」というものがあります。

地震動による影響解析の例
建物の挙動を把握することで、それぞれの機能を構成する要素への影響を知ることができる


■建物が受ける被害を制御できるのですか?

町井:
これは誤解のないように説明しなければいけないのですが、構造体以外の設備や外壁などにあえて弱いところを設け、構造体や最も重要な生産設備に重大な損傷を引き起こすような負荷をかけないという考え方です。
生産設備で言えば、パイプの一部を壊れやすくておくことで、それと接続している機械自体の損傷を防ぐといったことです。こうすることで、修繕のための準備はパイプを用意しておけば良いことになりますし、高価な機械設備の損傷も防ぐことができます。

そのためには、どこをどのように壊れやすくするかのシミュレーションが不可欠なのです。これも建物や設備の「性能」を設計しているということになります。設計図書にも現在では、地震の想定加速度(地震の威力)と発生時の想定変異(建物の受ける影響)を明記することが義務付けられていますが、その減災対策として損傷制御が注目されているのです。

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復旧対応の充実に向けて


■ということは、損傷制御は復旧対策とも直結しますね?

町井:
わざと弱いところをつくっておき損傷がそこに限定されることにより、その部分のパーツ・部品を備蓄しておけば、迅速な復旧対応も可能になります。
BCMの前提は、被害は必ず起きる、だからその被害を最小限にする、ということだと思います。施設機能やそこで展開される業務を継続させるBCMを実現するため、設計技術としてだけではなくBCPの構築や準備計画としても活用できると考えています。


■復旧対策という面ではこれまでにはどんな取り組みを?

町井:
95年の阪神淡路大震災でもインフラの復旧などあらゆる対応を行ってまいりましたが、お客様へのサービスとして復旧対応を意識的にはじめたのは、2003年5月の宮城沖地震からだったと思います。
当時は、応急措置や緊急連絡網による連絡を中心に社員の安否確認を行い、なんとか応援も含め応急措置に対応する人員の確保はできました。現在では、お客様への対応体制をより充実させ、出来るだけ早く復旧にあたることが出来るよう全社をあげた課題として取り組んでいます。
また、今後は代替施設やバックアップ機能の確保も含め、企業間の連携、海外との連携も視野にいれた体制づくりも検討していきたいと考えています。


■工事中の作業所の対策については?

町井:
建設業界を代表する団体である(社)日本建設業団体連合会でも、作業所をどうするか、安全性確保や工事を継続するのかしないのかの判断のための基準や方策の検討を進めています。
今年8月に内閣府中央防災会議で検討され公表された「企業継続計画(BCP)ガイドライン」(第1版)など、国全体の動きとも連動していくことになります。
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