塩入(新日本機械工業株式会社):
私どもの会社は、お菓子の製造機械のメーカーです。全自動でどら焼きやシュークリームをつくる機械の製造販売、さらにはお菓子製造のOEMも行っています。つまり、機械事業と食品事業を展開している企業です。
私どものお客様は日本のお菓子屋さん3,000社。機械を納めるだけでなく、24時間メンテナンスサービスも提供しており、いわば稼動保証産業です。
杉崎:
地震などで納入先の製造ラインがとまると大変ですね。
塩入:
そうです。お客様の事業継続そのものに関わります。阪神淡路大震災をはじめ、中越地震、福岡沖地震などでは、現地の工場をまわり、被害状況の把握と復旧対応を最優先させました。地震発生直後は大阪、名古屋、福岡の各支店のアフターサービスの担当者が駆けつけ、さらに所沢本社のスタッフが飛んでいくという対応をしました。
杉崎:
地震などの際の対応に関する契約などはあるのですか。
塩入:
通常のメンテナンス契約のみです。壊れたらすぐに来い、すぐ駆けつけるということでしかありません。
杉崎:
お客様の数が多いと優先順位などはどうされているのですか。当社も、お客様の施設、インフラ双方が対象となり悩ましいところです。
塩入:
優先順位はつけられません。出来るところから対応するのが現状です。またOEM部門では欠品は許されません。つまり自社のBCMとお客様のBCM の支援、双方が不可欠なのです。しかし、工場が守られてもライフラインがとまると製造できない。つらいところです。
町井(大成建設):
これまでの地震ではどんな問題が起こりましたか。
塩入:
たとえば、自動化の製造ラインは、ラインを構成している機械がずれて、生産できなくなるといったことが起こります。それをいかに迅速に修復するか、業務再開の時間をいかに早くするかが問われています。しかも、被災時には被災地への食品供給がきわめて重要になります。多くの人の食料となるパン屋さんなどの復旧が優先されることになります。
町井:
弊社は建物をつくる会社であるために、これまでは製造ラインやプラント本体にはなかなか対応できませんでした。
しかし、いまお話になったような課題に対応するため、お客様や機械メーカーさんと情報交換し、地震時に建物がどのように動くのかを解析することで、機械への影響を最小限にとどめるため要求仕様を設計条件に織り込めるようになっています。また、免震等によって建物に影響する地震の影響そのものを制御するような対策は得意とするところですので、こうした技術を機械振動や微振動の制御が必要な生産施設へ展開する取り組みも実用化されてきたところです。
塩入:
重要な点だと思います。建物がもっても、機械が転倒したり、設備系が切れたり、機械が建物の外に飛び出したりもします。大きな機械であれば、従業員の方々の生命を奪うことにもなりかねません。建物と機械・設備すべての機能を保全できる方法があるといいと思います。
町井:
一口に地震と言ってもそこから生じる現象としては想定しきれないリスクがあるものですね。
塩入:
稼動保証産業でもある私どもとしては、自分たちが生き残っていないとお客様への対応はできません。しかし、小さな会社では耐震補強などへの対応のための資金が足りません。施設規模も社員も限界で工場を操業しているので、耐震補強の工事中も操業はとめられないという事情もあります。そこで、当社では、2004年にクライシスコミュニケーションに関するプロジェクトを立ち上げ、社内で地震、SARS、鳥インフルエンザなどの想定リスクを洗い出し、建物、機械・設備、情報システムの見直しと整備に順次着手しています。
そこで生産されるモノや規模により異なるワークフローやプロセスを持つ生産施設。
地震対策についても、一般のオフィス等とは異なる「トータルエンジニアリング」の視点での計画が必要となります。
画期的な長周期化を実現し、高い免震効果を誇るハイブリッドTASS構法。
今回はその効果を実際の地震で計測されたデータを基にご紹介します。