リアルタイム防災への取り組み
井上:
地震にリアルタイムに反応するという意味では、当社はリアルタイム地震防災システムの研究会などにはいり利用の可能性を検討しています。
BCMにおいて地震発生時を、このシステムでは前倒しすることができるわけです。従って初動までの時間が長くなります。もし事前対応時間が長いほど、被害の大きさは少なくなるので、社内のある施設で実証実験を検討しています。
杉崎:
当社でもシステムを開発し、運用し始めています。
井上:
しかし、リアルタイム地震防災システムは諸刃の剣なのです。もし警報が間違っていて、工場の稼動をとめた場合、その責任は工場長になります。リアルタイムシステムの信憑性が高まることが、導入の条件になるでしょう。
この警報から対応までのところで考えられるアプリケーションには様々なビジネスチャンスが潜んでいるのではないかと思います。
碓氷:
被災後、復旧の初動時ですべきことに安否や被害状況の確認がありますね。最近は携帯の利用が多いようです。
気象庁が配信する緊急地震速報を利用して、地震による大きな揺れが到達する前に、様々な方法で警報を配信します。
安否確認と被害把握
井上:
当社は、阪神淡路大震災の起こった10年前に電話専用線をもっておりそのおかげで被害情報の収集がスムーズでした。発生後、約4時間たった10時には被害を把握、11時に本社内で緊急対策会議を開いています。
現在は、VPN回線を利用しており、データ通信と同じように、どこかの回線がダウンしても迂回してつながる仕組みとなっています。
発生時の被害状況確認手段は、このほかファックスや電子メール、衛星携帯電話も活用します。また従業員の安否確認は、固定電話とモバイルの171番の災害用伝言ダイヤルと社内イントラのメールで確認します。平常時から、社内に連絡先のアドレスを公開し即時の対応を行います。
施設部門では緊急時通報訓練は、年に3、4回テストをし、メールアドレスの確認や所属移動の確認もあわせて行います。
とはいえ、メールを使えなければ何もなりません。
もっとも重要なのは確認し報告する人なのです。
松下電器産業株式会社
施設管財グループ
参事:井上英夫 様
碓氷:
福岡沖地震では、支店になかなか連絡がとれず困ったことがあります。
ガラスの落下なども伝わってきていましたので困惑しました。それと震度の把握は難しいんです。気象庁などの情報が公開されないと、はっきり分かりません。
実は
安否や被害に関する情報はトップが一番知りたい情報なのですね。状況を把握し適切な指揮をとる立場としてです。
塩入:
当社ではお客様が当社の機械をつかって怪我をされた場合など、地震に限らずあらゆる事故は最速でトップにつながるルートを決めています。
リスク管理の1本化はBCMのポイントです。
井上:
また、誰が誰に連絡するのかなど、連絡する基準を決めています。
これまでの実績では概ね20分以内で各事業部門の地震被害状況が連絡されてきます。極端に言えば、被害状況の把握が遅くなるようでしたら発生情報で「詳細確認中」でもかまわないのです。
被害状況は逐次入れてもらうことでよいですし、状況も変わります。塩入さんのおっしゃるとおり、連絡ルートチャネル1本化ですね、大切なのは。
事業継続と地震対策のあり方をテーマに、2005年11月1日に開催いたしました「大成建設エグゼクティブフォーラム2005」の内容をご紹介します。