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[issued:2006.03.15]

特集:BCMに取り組む

BCMの向かう先

ユーザー企業様_BCMリーダー特別座談会(後半)

実際に企業での事業継続に取り組まれているリーダーの方々にお集まりいただきお話を伺いました「特集:BCMに取り組む」特別座談会。いよいよ最終回となる後半をお届けいたします。


1. 

プライオリティと対応のレベル


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前回は各企業におけるBCMや地震対策への取り組みの現状についてお話を伺いました。
今回は、そういった現状を踏まえ、各企業様ではどのような課題に直面し、今後どのような展開をはかっていくのかについてのお話をお聞きしました。
前回以上に、様々な視点からBCMのこれからについて、リアルな議論が展開されています。ご担当されてい方々ならではの示唆にとんだお話をいただき、改めてBCMの重要性を再認識いたしました。

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多様なリスクへの対応とプライオリティ

杉崎:
所属されている企業の業種業態やお客様との関わりの中で、皆さんそれぞれにご苦労や挑戦をされているのですね。ではこの後はフリーディスカッションでこれからのBCMにどう取り組んでいくかなどについて、議論していただければと思います。


井上:
自社のBCMや減災対策をできない企業はどうなるのか?
災害自体もどこでいつ起こるかわからない、同じ地震でも施設によって被害が違う、国や自治体の防災対策も完璧ではありません。
避難勧告が遅すぎたり、米国政府のハリケーンカトリーナのように避難勧告も車保有者のみが対象といった不平等や不確定性が必ず存在すると思います。


塩入:
私も同じ事を感じます。
実際の地震で建物の構造によって揺れが違うことを実感しました。いったん体験すると減災対策の重要性は分かります。
しかし、どこから耐震補強をするか。工場なのか、意思決定者の入る施設か、コストも含め優先順位が難しいと思います。すべて平等にはできないですね。



大成建設(株)
耐震推進部
部長:杉崎 良一



井上:
当社は耐震指標であるIS値の低いところ、被害が大きそうなところから補強するというように社内ルールを明確化しました。かかえる施設が多いため、明確な基準を確立しないと、全社的に徹底するのは難しいのです。


碓氷:
当社も同じですね。


杉崎:
他にも「地震による物的損失額の再調達費に対する割合」を表すPML(Probable Maximum Loss:予想最大損失率)の大きなところから補強すればいいという考えもあると思います。復旧にかかる費用やその間の営業停止損失までも含めた判断も必要ではないでしょうか。


碓氷:
最近は、テナントが社員の安全や事業継続性を考え耐震補強など地震対策をしてあることが入居先の選択の基準になってきました。


塩入:
耐震性能の重要性は、構造計算疑惑でさらに関心が高まっていますね。


地震応答解析システム

地震時の建築構造物の挙動をリアルに再現するシミュレーション技術です。


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代替措置とバックアップ


東京建物株式会社
取締役:碓氷辰男 様


碓氷:
オフィス、マンション、商業施設を問わず、インフラの電気系が機能や人命維持、情報システムのためには不可欠です。
しかしここは費用対効果、発電機まで必要か、多重化をどこまでするか、施設の価値と価格のバランスが重要になっています。


町井:
ニューヨーク、パリ、ロンドンあたりでは3系統による多重化が常識となっているようです。

大成建設(株)
設計本部 副本部長:町井 充


井上:
BCMのためのハザードの考え方が日米ではぜんぜん違いますね。
昨年、視察に訪れた米国サンガード社のデータセンターでは、データ、アプリケーションすべてをバックアップしており、災害やテロの発生時などにはホスティングを依頼している企業がそのデータセンターで情報システムオペレーションすることができるような環境を整えています。
ユーザー企業がその中で緊急時のオペレーションの訓練もしていました。


町井:
国内にある外資系企業からはテロ対策も求められるようになってきています。


碓氷:
本拠地はどんな地震が来ても大丈夫なように対策を施す。それ以外は代替拠点を準備するというような、優先度を明確化することも必要ですね。


井上:
本社など重要拠点については3番目まで代替拠点を想定しています。
また工場などは事業ごとに複数拠点なので、あらかじめ製品の優先度を決めておけば、一定の期間で生産ラインを替えて優先度に応じた生産を再開できると思います。
これがBCMの意義でもあるわけですが、このボトルネック分析の過程で、金型の保全だけでなく移動や代替をどうするかが問題として発覚しました。

いずれにしても、MCA(*1)、RTO(*2)を明確化することがBCMの大きなポイントだと思います。

言い換えれば、ビジネスインパクトと言われる被災時の事業への影響度を明確化することを通じて自社の業務を見直し、再構築にまでいたる推進力がBCMにはあると思います。


塩入:
当社の場合は、お客様のところにある機械に関してですが、被害の大きさや内容の差が大きいので、メンテナンスの専門家が、直接機械を見て被害状況を把握することが、何度かの地震を体験して組織にしみついています。しかもベテランに行かせることがもっとも有効です。


碓氷:
被害の程度によって対応にも差がでるということですね。

新日本機械工業株式会社
取締役:塩入 健 様


塩入:
被害の程度にあわせて対応にはもちろん時間差がでます。
製造機械はすべて受注生産ということもあります。
残念ながら、すべてのお客様のすべてのパーツの在庫をかかえることは困難です。


町井:
当社では損傷制御という技術を開発し、導入しようとしています。
設備のジョイント部や非構造部材にあえて脆弱なところをつくり、壊れるところに限定しモニタリング用センサーを埋め込んで行い、迅速な復旧に結びつけようとしています。
老朽化にともなって新築する札幌支店に導入される予定です。


碓氷:
制震システムなども揺れに応じて反応するということですから、それに近い発想ですね。

(*1)MCA:Mission Critical Activities:業活動において停止しないことを要求される基幹業務
(*2)RTO:Recovery Time Objective:災害、事故により業務中断後、復旧をどれくらいの間でするかの目標時間

米国におけるBCM事情

当レポートは、2005年10月25日から30日までの10日間、(社)日本ファシリティマネジメント推進協会(JFMA)の米国調査団の団長として、ビジネスコンテュニティ(BC)をテーマに関連企業やコンサル等訪問するとともに、フィラデルフィアで開催されたFMの国際大会であるワールドワークプレイス(WWP)へ参加した概要である。


[フォーラムレポート]事業継続管理に活かす震災の教訓

企業と地震リスク、事業継続をテーマに、2005年1月14日に開催いたしました「大成建設エグゼクティブフォーラム2005」の内容をご紹介します。

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