TOP >> Solution >> Taisei's Eye >> 新潟県中越地震はどのような地震だったのか?
[issued:2005.09.01]

新潟県中越地震はどのような地震だったのか?

-地震動分析と免震効果-

新潟県中越地震の被害と教訓を基に、震災から生活、事業を守るためにはどうするべきかを考えます。

久野雅祥ポートレイト大成建設(株)
営業推進本部耐震推進部
部長
久野雅祥

anchor flag
anchor flag

震源地と地震の規模

 2004年10月23日17時56分頃、新潟県中越地方を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生し、新潟県川口町で震度7の揺れを観測しました。また、同日18時11分と18:34分に最大震度6強の余震が発生しています。
 本震を含む一連の地震は、北東-南西方向に走向を持ち、西側の地盤が東側に乗り上げる逆断層の地震です。気象庁によると、今回の地震は、
1.本震を起こした断層
2.18時34分の地震を起こした断層
3.10月27日10時34分の地震を起こした断層の3つの断層によって発生したこと
が指摘され、これら3つの断層が活動したことが、活発な余震活動につながっていると報告されています。
逆断層の概念図

▲逆断層の概略図
(国土交通省・建築研究所ホームページより)


anchor flag

現地の状況と対応は?

 大成建設では、地震発生直後から直ちに対応を開始。最も迅速かつ有効な手段で対応すべく、緊急事用の「災害情報システム」や作業所間と全社を結ぶ「作業所ネット」を駆使。現地での社員の安否確認とともに、お客さまの被災状況を確認し、対策にあたりました。
 さらに、実際の被害状況を確認し適切な措置をとるため、本社から「応急危険度判定士」の資格を持つ技術者を順次派遣し、現地での対応強化を図りました。
大成建設の地震後対応チャート

日刊工業新聞 2004年10月26日 朝刊より

(日刊工業新聞 2004年10月26日 朝刊より)


anchor flag

震災としての特徴と事業継続への影響

 今回の地震でも被害のあった建物の多くは、81年以前の旧耐震基準により設計されたものでした(木造住宅を除く)。現地では大きな余震が続いており、こうした建物の修繕工事や応急補強等の対応も思うように進まないという状態が続いています。
 また、建物の構造体には被害がなくても、設備機器やシステム、生産ラインへの被害が生じており、電気、水道、ガス等のライフラインの断絶も、それらの代替え機能を持たない施設では機能面で大きな影響を与えています。
 さらに、支援活動を妨げ復旧を遅らせる大きな要因となっているのが大規模な道路や交通の断絶です。これは企業活動の視点から見ると「流通の断絶」であり、事業の継続のためにはオフィスや工場の復旧だけでなく、これらの復旧または代替えのルートや調達先の確保などの措置を併せて行うことが必要となります。
 最近話題の「事業継続性管理(BCM)」では、リスク発生時における事業継続のための構成要素として1.ファシリティ、2.社員、3.サプライチェーンをとりあげ、それぞれの脆弱性について分析し、お互いの関係性を考慮しながら「補強」と「バックアップ(代替え)」の両面での検討が必要であるとしています。

anchor flag

事業継続計画(BCP)とインフラ代替機能

 事業継続計画(BCP)の点から地震による災害リスクを考えた場合、建物の耐震性においては「安全」だけではなく、その機能の維持が重要な意味を持ってきます。インフラが停止してしまった場合等は、業務に必要な機能が確保できなければ、建物は単なる「シェルター」に過ぎなくなります。
 とはいえ、電気やガス等の全てのインフラ機能をそのまま確保すべきというのもコストやメンテナンス等を考えると難しいものがあります。自社のファシリティにおいて業務継続にとって本当に必要な機能とは何か? それはいつまでに回復しなければならないのか? などの洗い出しを行い、必要かつ可能な範囲で事前の補強策と同時に代替機能を用意しておくことが、事業継続性を考える上で最も基本となる対策といえます。


震災による各インフラネットワークへの影響(例)
(出典:神戸大学工学部 兵庫県南部地震緊急被害調査報告書(第1報) ガス、水道共)


anchor flag

免震建物の効果

 新潟県中越地震において震度6強の揺れを記録した小千谷市。市内の建物の9割が何らかの被害を受けたといわれるこの地震において免震建物である小千谷総合病院の介護老人保健施設「水仙の家」(設計:三菱地所、施工:大成建設)では一般の建物と比較し、さまざまな効果が確認されています。
 地震計の測定では地震の揺れの強さをおよそ1/4にまで低減しており、構造体への被害が無かったばかりか室内の状況も地震前とほとんど変わらず健全な状態を維持しました。そのため、ホール、食堂など空いているスペースが避難所として活用されました。さらには、本震をはじめ、その後の震度5を超える余震の発生に対しても、住人や避難者の恐怖心を和らげることができました。

建物や内部の様子


anchor flag

対策の第一歩は、まず現在の状態を知ることから



 地震がもたらす被害は、まず物理的な現象として建物が揺れた結果、モノが壊れるというところにあります。このため、日常の業務の場である建物の耐震性が低いほど、強い地震が発生した時の事業への影響は、大きなものになっていきます。
 ファシリティの耐震性はどの程度のものなのか? 耐震性と事業計画はマッチしているのか? あるいは経営計画が災害による影響を想定したものになっているのか?こうした現状を正確に把握することが、事業継続性をふまえた地震対策を考える上でのはじめの一歩です。
 建物の構造体の耐震性を判断するため「耐震診断」を行いますが、大成建設では、その他にもご要望に応じてさまざまな診断メニューをご用意し、企業における地震リスクに対する事業継続計画の構築をバックアップしております。
お問い合わせ

印刷