[issued:2006.01.10]
米国におけるBCM事情
米国における事業継続管理(BCM)への取り組みと施設運営管理(FM)
当レポートは、2005年10月25日から30日までの10日間、(社)日本ファシリティマネジメント推進協会(JFMA)の米国調査団の団長として、ビジネスコンテュニティ(BC)をテーマに関連企業やコンサル等訪問するとともに、フィラデルフィアで開催されたFMの国際大会であるワールドワークプレイス(WWP)へ参加した概要である。

大成建設(株)
FM推進部
FM室 室長
成田一郎
Sungard Availability Services 訪問(BCコンサル、データセンター)
at フィラデルフィア
サンガード社
フィラデルフィアでは、BC(ビジネスコンテュニティ)のコンサルタントであり、データセンターを保有する、サンガード社を訪問しました。
9・11の時も復旧にモバイルオフィスの提供等を行ったサンガード社は、こうしたバックアップオフィスやディザスター・リカバリー等のビジネスコンテュニティサービスと金融業のサポートを25年もビジネスとして実践し、ISO9001の認定も受けているということでした。
訪問したメガセンターは、岩盤の上に建ち地震にも安全で地域的にもハリケーンもこないという、立地的に大変優れた場所あり、敷地内に2箇所の変電所、ディーゼルの自家発電を4基持っています。また、建物は、1920年代に建てられた自動車製造工場を、1978年にスケルトン状態からリニューアルしたもので、十分な床荷重と階高がデータセンターへのコンバージョンを可能にしています。
世界中に点在するメガセンターは、内装、カラー、サインなどは統一されていて、非常時の分かりやすさや担当者の移動にも配慮されているということでした。
Jones Lang Lasalleほかの講演(BCコンサルほかクライアント企業)
at サンフランシスコ
サンフランシスコでは、ジョンズ・ラング・ラサールのコーディネートにより、サンフランシスコ郊外サンマテオのシーベルシステムズ社にて講演会を開催していただきました。
シーベルシステムズ社の周辺はIT企業のメッカ、シリコンバレーに似ていて、低層の建物で広々としていて気持ちのいい環境です。ここでは、ビジネスコンテュニティのコンサルタントの立場でジョンズ・ラング・ラサールが、ソフトシステム会社の立場では、シーベルシステムズ社が、 銀行の立場ではユニオンバンクが、さらに メーカーの立場としてシスコシステムズ社がそれぞれ講演をしていただけるという願ってもない、すばらしいプログラムを組んでいただけました。
シーベルシステムズ社
まず、ジョンズ・ラング・ラサールの講演からは、世界最大の資産管理会社としてビジネスコンテュニティに取り組んでいる姿勢を示し、特に、
事業継続計画(BCP)と緊急時対応(ER)と災害時復興(DR)の違いについて話されました。
さらにBCPがなぜ必要か、BCPを行う上でのポイントと地域によるリスクの優先順位の違いなどが説明されました。
続いて、シーベルシステムズ社がシステム会社の立場で講演。ビジネスコンテュニティへの取り組みは
業種によるポイントの違いを明確にして計画を進める必要性があること。それとともに、自社事業目標にどのような影響があるかという視点からのシナリオだけでなく、
社会・周辺環境・地元への対応などさまざまなシナリオを考えることが大切であることが強調されました。
強靭なプログラムを作っても、そこで働く人が、家族のことが心配ではうまくいかない等々対応のディテールの大切さを話されました。
次に、銀行の立場で、ユニオンバンク・カルフォルニアは、すべての危機から生き残るために
経営トップから社員まで一丸となって進めていること。BCPはIT機器のトラブル等が中心に考えられるが、さまざまな部署の参加とそれらのコミュニケーションが大切であること等のお話がありました。
ビジネスインパクト分析を行い、
業務内容を6段階に分け、復興時間、組織別対応等をまとめている。必要な部分にはホットラインが結ばれているということでした。
最後にメーカーの立場でシスコシステム社からご講演をいただきました。
シスコシステムは、
BCPを入札条件に入れており、サプライチェーン全体が機能するように、それも、政府の協力がなくても稼動できるように考えているとのことでした。
また、非常時の対応マニュアルは、Web上でもバインダー(書類)でも直ちに表示できるようになっていて、
世界中の支店等でトラブルが起きると即座に情報が本部で把握できるようになっていることなど、実際的なお話をお聞きすることができました。
Deloitte & Toucheの講演(BCコンサル)
at サンフランシスコ
監査・経営コンサルタントでビジネスコンテュニティのコンサルタントであるデロイト・テゥシュからご講演をいただきました。
デロイト・テゥシュは、ニューヨークのWTC(ワールドトレードセンター)の隣にあって、実際に自ら9.11からハリケーンまでを経験した企業でもあります。
9.11での体験では、避難計画はうまく作用したが、避難後のスペース確保に苦労したこと。ニュージャジーとデトロイトの支社、そして近くのマリオットホテルのすべてを借りて48時間後にはビジネスを再開したお話を聞くことができました。
・ビジネスインパクト分析で大切なことは、主幹業務でありビジネスの要である「そのサービス」ができなくなったらどうするかということで、どのリスクが原因できなくなったらということではない。
・ビジネスの優先順位を最終決定するのは、経営執行部の役目であり、費用対効果で決めるものではない。
・その決められた順位の中で、どれほど費用をかけるかは、その企業の状況・環境によって判断されるものである。
など、テロなどに負けてたまるかというアメリカンスピリットも覗かせた印象的な講演でもありました。
講演後メンバー全員で
訪問を終えて
以上、訪問先の一部を紹介しましたが、IFMAの国際大会であるWWPのセッションでも、フォード社等からビジネスコンテュニティに関する大変興味ある発表がされていました。
その中の一節を紹介して今回の締めくくりとさせていただきます。
「人類史上初のBCP担当者は、ヘブライの長老ノア(旧約聖書の洪水伝説の主人公)であった。ノアは未曾有の大洪水を乗り越え、この世のあらゆる生き物の生存を可能にした。ノアは優れた連携体制(神様とコネクションがあった!)を持ち、事前の対策も十分であった。しかし、我々にはとてもそのようなことは望めない。そこで、非常時のBCPの意味とその責任者について、様々な議論が展開されている・・・」
これらの内容については、JFMAから報告書が出版される予定であり、2006年1月25日(水)にはJFMAにて報告会が開催される予定です。詳しくは、JFMAのホームページ等をご覧ください。

報告会及び報告書は日本ファシリティマネジメント推進協会 より発行の予定です。詳しくはJFMAのホームページをご覧ください。