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[issued:2009.04.15]

はじめての人のための「耐震診断と耐震補強の進め方」─基礎知識編─

耐震診断や耐震補強など、建物の耐震性の問題に取組むにあたって多くの人が抱える不安や悩み、数々の疑問に実務ベースでお答えします。

杉崎良一ポートレイト大成建設(株)
LCC推進部 耐震推進室
参与
杉崎良一

1. 

「耐震診断」まず最初に確認する事は?


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建物の耐震性に不安がある場合、専門家に相談するということが最初に頭に浮かぶと思いますが、その前に確認しておくべき重要な事柄があります。

耐震診断の対象としているものは1981年以前の古い基準で建てられているものになります。
このため、まず竣工年代を見て診断の対象となっているのかを確認します。
ところが、中には竣工したのが80年末だったり81年の始めだったりで、なかなか判断がつきにくい場合があります。
 こういった変わり目の時期は「基準の移行期」にあたるため新基準に準拠している可能性もあるのですが、それを確認するには専門家の判断が必要になりますし、やはりある程度の診断が必要になります。

 81年以前の竣工である事が明確な場合、次に確認するのは建物の構造形式です。建築構造にはS造系(鉄骨造系)のものと(S)RC造(鉄筋(鉄骨)コンクリート造)系のものがあり、それぞれに耐震基準や診断の方法が定められています。なかでもRC造系は構造形式に大きく分けてラーメン構造と壁式構造があります。壁構造形式のものは過去の地震でも大きな被害に至ったものはあまり無く、比較的耐震性が高いと言われていますが、それを証明したり正しく判断するには、やはり耐震診断を行います。
 

ラーメン構造
ラーメンとはドイツ語で「枠」という意味です。RC造、S造等で主要な構造が柱と大梁で構成されいる剛強な構造形式のことをいいます。
 


壁式構造
鉄筋コンクリート造で、柱や大梁がなく、壁と床だけの構造のことをいいます。




検査済証(例)
建築物及びその敷地が建築基準関連規定に適合していることを証する文書です。(自治体によって書式が違うことがあります)

その他、ピロティや吹き抜けなども耐震性に大きく関わる事項となります。しかしながら、壁があり一見してピロティとは見えなくとも構造的な壁でない場合はピロティ扱いになるなど、見た目と構造的な判断が異なる場合もあります。こうした意味でも実際には耐震診断による判断で正確な耐震性を算出する事が重要になります。

こうした内容は設計図をはじめとした「設計図書」に記載されています。設計図書は「意匠図」「構造図」「設備図」等の図面類の他に「構造計算書」等が含まれます。また、基準法に準拠している建物である事を証明するため、管轄行政庁の捺印がある「確認済証」と「検査済証」が付随しています。

設計図書は建物の全ての情報が記載された重要な書類であり、耐震診断や補強設計の際には必須の書類です。建物の耐震性についての検討を開始する時には何よりも設計図書、確認済証、検査済証がそろっていることを確認するのが最も最初に行うべき事でありもっとも重要なことです。

また、長い間建物を使用していると途中で増改築を行っている場合があります。増築や改築はその内容で耐震性を大きく左右する場合がありますので、それらの図面もあわせて整備されているかを確認して下さい。「図面が無い」、「もとの図面と異なる」といった場合は、現状を把握するための調査やそれらを反映した図面の作成等が必要になります。

なお、増改築が当時の容積率やその他の基準を満たし適正な手続きによって行われている場合は、現行の容積率や基準などをオーバーしていても、合法である「既存不適格建物」となります。
しかし、「増改築の届け出をしていなかった」、場合によっては「当時の基準からも外れていたようだ」など「違法建築」となる可能性がある場合は、そのままでは耐震診断も改修も進めることができなくなります。こうした場合は詳細な現状調査と法に準拠するための改修計画も含めた協議を所轄官庁と行い、その指示に従うことが必要となります。
こうしたことからも、最初に相談する先としては元の設計事務所が最もふさわしいといえます。
耐震診断と耐震補強を考える

なぜ1981年以前の建物には耐震診断が必要なのか?
詳しくはこちらのコンテンツをご覧下さい。

耐震診断を受けたい

耐震診断を受けるには、費用や時間はどのくらいかかり、どのような点に注意して準備すればよいのでしょうか?


「耐震性が心配だが図面が無いのでわからない?」「元の設計事務所や施工会社が廃業してしまった。」など、耐震診断に関してのお困りごとはこちらからも受け付けております。

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