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[issued:2009.04.15]

はじめての人のための「耐震診断と耐震補強の進め方」─基礎知識編─

耐震診断や耐震補強など、建物の耐震性の問題に取組むにあたって多くの人が抱える不安や悩み、数々の疑問に実務ベースでお答えします。

杉崎良一ポートレイト大成建設(株)
LCC推進部 耐震推進室
参与
杉崎良一

4. 

困った時のQ&A


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今テナントで入っているビルの耐震性が不安です
分譲マンションに住んでますが、耐震性が不安です


重要事項説明書(例)
重要事項説明書(例)
宅建法では平成18年の改正で、アスベスト調査とともに耐震性に関わる項目が追加され「耐震診断の有無及び耐震診断に基づく耐震性の状況について記載する」ことになっています。

 
 不安だからといってテナントや分譲マンションであっても個別の住人の方が勝手に耐震診断を行う事はできません。
耐震診断は必ず建物の所有者または正式に代理として委任を受けた方が委任状を持って申し込みを行う必要があります。分譲マンションの場合は理事会の決議等の所定の手続きを経た上での実施となります。

なお、竣工年月日を確認するため等のために設計図書の閲覧などは可能です。
また、テナントや賃貸マンションの場合は法改正により重要事項説明にも「耐震診断の有無とその結果」を記入する事になっていますので、そちらを確認する事も可能です。
法改正、ガイドラインの策定で進む防災施策の整備

建築基準法の一部改正案で何がどうかわるのか? そのポイントを中心に地震対策に関する各施策の方向性を俯瞰します。

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元施工、設計の会社がすでに無いのですが?


 
 各自治体では耐震改修に関わる相談を受け付けています。まずはその窓口へ行き、指導を受けるのがよいでしょう。都道府県の窓口(リンク集)は下記のリンク先からご利用いただけます。
2006年度改正:スタートした耐震改修促進計画

多くの自治体では「耐震改修促進計画」で相談窓口を設ける事を計画しています。
こちらのコンテンツの2ページ目には、各自治体Webサイトへのリンクと「促進計画」の掲載先への案内が記載されています。
(「促進計画」の策定が義務となっている都道府県のほか、市区町村レベルでも策定している自治体もあります。)

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設計図書がない場合はどのようにすればいいのですか?

図面がない場合の現場調査計画(例)

図面がない場合の現場調査計画(例)
構造体への影響を最小限に抑えることと正確性のバランスをとるよう、破壊検査と非破壊検査を併用して調査を行い、図面を再現します。
*認定の取得や助成等を受ける場合は調査方法の検討段階から所轄行政庁と協議を行う必要があります。


 
 構造計算書だけが無い場合は、再度構造計算をやり直し、計算書を作る事で診断を行う事ができます。
設計図そのものが無い場合はまず現地調査を行って図面を復元する事が必要になります。調査によって鉄筋の本数等を調べる場合は、部分的にコンクリートをはがしたり、X線や超音波を使ったりしますが、全てを調査すると大変な手間と期間、費用がかかることになるため、どこまでの調査とするのか工学的判断が重要となります。
復元図面をもとに耐震診断を行い耐震化を進める場合で、特に認定や助成等を考える場合は、初期の段階から所轄の行政庁とも相談し、調査方法の妥当性等を協議して進めます。
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古い建物なので耐震性が不足するのは明確だから、診断の費用を充ててとりあえずピロティ等の弱そうなところだけでも補強しておきたいのだが?



 
 建物の構造や状態正確に把握せず、当てずっぽうに補強を行っても効果がないばかりか、かえってバランスを損なって危険性を高める可能性もあります。経年計画で補強を行う場合も耐震診断の結果に基づき、全体のバランスをはかりながら工事を行う必要があります。
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サッシの更新やガラスフィルム等の対策も同時にやる必要があるのでしょうか?



 
 ガラスの落下や飛散等の被害は中小地震でも生じる可能性があるため、まずこれらから先に手をつけるというのはひとつの方法です。当然のことながらこうした対策を行っても耐震性そのものが向上するわけではないので、耐震診断、耐震補強を行い安全を確認、確保していくことが必要です。
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耐震ドアへ取り替えると、建物の耐震性はどの程度向上するのでしょう?



 
 耐震ドアというのは、地震によって建物が変形してドアが開かなくなるのを防ぎ、避難等を円滑に行う事を目的としています。つまり耐震性が確保された建物に取り付ける事が前提となっています。
耐震性が不足した建物に耐震ドアを取り付けても建物の耐震性が向上する訳ではなく、大きな地震による崩壊や倒壊の危険性が低減される事はありません。
ただし、崩壊や倒壊に至らない地震で建物が変形した場合、耐震ドアであれば閉じ込めなどの危険性が低減される可能性はありますが、その他の部分の被害が低減出来る訳ではないので、コストの掛け方としてはやはりまず建物の骨組みである構造体の耐震性を向上させる事が先決であり、基本であると言えます。
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耐震補強を行うと建物はどれくらい持つようになるのか?

主な設備機器の耐用年数

主な設備機器の耐用年数
(計画更新年数は「建築物のライフサイクルコスト(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)」によるものです)
画像クリックで「ビルの力を創造する:大成建設のオフィスリニューアル」のページが別ウィンドウで開きます。


 
 建物の寿命は劣化に関する事柄であり、耐震性とは分けて考える必要があります。
コンクリートや鉄が腐食して劣化して自重を支えきれなくならない限り、建物は何年でも物理的に存在し続ける事ができます。劣化に伴い耐震性は低くなっていきますが、耐震補強それ自体には劣化を防止したり、遅らせるような効果はありません。中性化による劣化が見られる場合は、別途その対策を行う必要もあります。
建物の寿命を延ばすには日々のメンテナンスが重要です。今後も長く建物を使用するならば耐震診断の機会に建物全体の診断も行い、劣化等についても調査し、適切な対応を取るのがよいと思われます。

大成建設では建物の耐震化に関する様々なご相談を受けてけております。
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