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[issued:2011.04.01]

鉄筋コンクリート建物の注意すべきひび割れ

ー一見して大きな被害が認められなくてもー

大きな地震のあと繰り返し発生する強い余震。一見して大きな被害が見受けられなくとも、ひび割れの有無やその程度をよく確認し、発見した場合は専門家による診断と適切な処置を行うことが重要です。


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鉄筋コンクリートの建物では、強い地震で大きな力を受けると明確な破壊がなくともさまざまな部位にひび割れが生じる場合があります。
また、大きな地震の後は強い余震も長期にわたって繰り返し発生する場合があります。こうした余震による被害の拡大を防ぐ上でも、一見して大きな被害が見受けられなくとも、ひび割れの有無やその程度をよく確認することが大切です。以下で解説するひび割れは構造的な要因によって発生したものであり、発見した場合は専門家による確認と判断を受け、補修などの適切な処理が必要となります。程度によっては一時的な建物の立ち入り停止も視野に入れた対応が必要となります。

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ひび割れ確認にあたっての注意とPOINT
 

ひび割れを確認する前に
ここで取り上げているひび割れのチェックは、一見して危険が疑われるような被害が認められないことを前提に、自己チェックとして行う場合のPOINTを示したものです。
基本的に地震被害を受けた建物は、応急危険度判定が必要です。まずは可能な限り専門家による応急危険度判定を受けてください。
状況により専門家による調査が待てない場合は前章の「鉄筋コンクリート建物の地震被害損傷度チェック」を参照に損傷度の自己チェックを行い、建物内部での調査が可能な場合に限り行ってください。
なお、自己診断で行うひび割れの確認には限界があります。また、ひび割れは仕上げの内側や天井裏など、隠れた所にも存在する可能性もあります。
 
クラックスケール
クラックスケール
ひび割れ幅の測定には「クラックスケール」をご用意ください。
(「クラックスケール」のキーワードでメーカーや通販、画像などを検索できます)

ひび割れを確認したら
基本的に構造的なひび割れには、適切な補修が必要です。その建物を建てたた施工会社や設計事務所に依頼するなど、専門家による詳細な診断を受け、必要に応じた補修を速やかに行うようにしてください。

・幅2mm以上のひび割れ:構造的にも影響があったと考えられ、注意が必要です。
このようなひび割れではコンクリートを軽くつつくと破片が落下し、鉄筋が見えるような破壊が生じている場合もあります。破壊も大きく、ひび割れとしては確認が難しい場合もあります。
全体的な損傷度チェックの判定もあわせ、建物の継続使用を控えるなどの措置をとり、早く専門家による診断を受けましょう。
 
マーキングによる経過観察
マーキングによる経過観察
経過観察の場合は、測定する場所をマジックなどでマーキングしておきます。

・幅1mm程度以下のひび割れ:現時点で建物への構造的な影響は少ないと考えられます。
しかし、大きな余震が発生することを考え こちらも早めに専門家による診断と補修を受けましょう。
放置しておくと余震などによって影響が出てくる恐れがあります。補修が終わるまでの間は建物の使用は必要最小限にとどめるとともに、ひび割れが大きくならないかなど観察を続けましょう。
(観察はモルタルなどの仕上げを剥がし、柱のコンクリート本体を対象に行います)
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柱に生じるひび割れパターンと確認のPOINT
 

【共通事項】
・ここでは確認しやすい柱のひび割れについて解説します。
・説明をわかりやすくするために図では片側方向のみのひび割れを赤線で記載していますが、実際には両方向にひび割れが入る場合があります。(灰色の線で記載しているものもあります)
・また、これらのひび割れは別々に入るのではなく、複合的に生じるケースもあります。その場合は複雑な力が大きく働いたことになりますので、ひび割れ方が小さくともその周りの状況や経過観察などを続けるようにしてください。損傷の程度によっては建物の使用を一時停止して、早急に専門家による診断を受ける必要があります。
 
凡例

凡例
 




曲げによるひび割れ
柱の上下の付け根近くに、天井や床に平行に、水平方向に入るひび割れがあります。あるいはもう少し下の部分から斜め上や下に入るひび割れは、柱の付け根に強い曲げの力が働いた時に発生します。

これらのひび割れは柱の3方向を取り囲むコの字の形で現れますので、柱全周を確認することが大切です。(柱の全周にわたって現れることもあります)


斜めにずらす力(せん断)によるひび割れ
柱の中央部に斜めに入るひび割れは、柱を斜めにずらすような力(せん断力といいます)が入ると現れます。こちらも片方向だけでは無く両方向から入り、X字型になる場合もあります。(グレーのラインで表しています)


主筋の付着割裂ひび割れ
柱垂直方向に、図のような細かなひび割れ(あるいは繋がって見える)ひび割れは、内部の鉄筋との付着部分で発生しているひび割れです。これが進むと鉄筋を覆っているコンクリート部分が剥がれ、鉄筋が露出してしまいます。
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ひび割れに伴うコンクリートの剥離について
 

それぞれのひび割れでコンクリートの剥離が発生するパターンを下図に示してあります。
モルタルなどの仕上げがある場合では、仕上げのモルタルのみが剥離している場合もありますので、柱本体のコンクリートが割れているのか、注意深く確認することが重要です。
 
曲げひび割れに伴う剥離

曲げの力が加わるとひび割れの反対側に剥離や圧壊が生じます。

せん断ひび割れに伴う剥離

せん断ひび割れでは、割れに沿って剥離が生じます

付着割裂による剥がれ

角の部分から鉄筋の外側を覆う(かぶりコンクリート)コンクリートの剥落が生じます
 


太い柱や壁のひび割れ 剥離



太い柱や壁の場合は、上部、下部、または対角線上にひび割れが生じます。
コンクリートの剥離や圧壊は、ひび割れの両端から発生します。
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注意すべき柱:短柱について
 

短柱
注意すべき柱の一つに「短柱」があります

連窓形式など柱の上下部分が壁と接合されている場合は、地震の力が柱の中央部分に集中的にかかってしまうため、大きな損傷を受けやすい部位になります。
こうした箇所がある建物では、まずここから確認をしましょう。
*構造体の状況は表面がモルタルやボード類で仕上げられ、コンクリート本体の状況が確認できない場合があります。また、仕上げのモルタルのみがひび割れていたり、剥離している場合もあります。これは仕上げ材が剥離したり破損しているのであって、必ずしも構造体が破損しているわけではありません。こうした場合は、覆っている仕上げ材を剥がすなどして、構造体本体のコンクリートの状況を確認する必要があります。

*今回取り上げた「ひび割れの確認」は 一見して大きな被害が見受けられない事を前提に、一般の方が緊急避難的にご自分で確認をするための情報として解説したものです。
ひび割れには適切な処置が必要になります。専門家による詳細な診断を受け、必要に応じた補修を行うようにしてください。

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