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[issued:2012.11.22]

天井の地震被害とその対応に向けて

─ これまでの地震被害と国交省試案について ─

天井の脱落は、時として人命にも係る重要な問題でもあります。
これまでの地震による天井被害や、現在出されている国交省試案(2012.7.31)などをもとに、天井の地震対策について考えてみましょう。

鈴木貴博ポートレイト大成建設株式会社
LCC推進部 耐震推進室
課長
鈴木貴博

1. 

東日本大震災における天井の被害状況


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東日本大震災における天井被害のまとめ

(大成建設 地震被害調査結果より)

東日本大震災では、最大震度7という揺れが発生し、多くの建物が甚大な被害を受けました。一方、天井や設備など構造体以外の被害については、こうした強い揺れを受けた所だけではなく、震度5強や震度5弱という地域でも広範囲にわたって発生しました。
これは、大きな震源域で破壊が3回に分かれて進行したことにより、比較的大きな揺れが長時間続いたためと言われています。
ここでは、東日本大震災の代表的な天井被害について分類し、簡単な解説を行うことにしましょう。

(1)大規模空間の天井被害
大型の天井は、地震時にその形状や固定方法に応じて複雑な揺れが生じることがあり、また一般的に重量も大きくなることから、大きな被害につながることがあります。
プール天井の被害:複雑な形状で水平補強の不十分な天井が揺れ、接合金物が外れた

ホール天井の落下被害:重くて複雑な形状により、変形の異なる部分で大きな力が生じる

プール天井の被害:複雑な形状で水平補強の不十分な天井が揺れ、接合金物が外れた

プール天井の被害:複雑な形状で水平補強の不十分な天井が揺れ、接合金物が外れた



 
(2)取合い部の衝突等による被害
地震時に天井が揺れた場合、天井の揺れと建物の揺れとが合わさり、大きく変形することがあります。この時、天井周辺部のクリアランス(隙間)が不足していたり、天井の振れ止めが不十分であったり、壁との固定部分の強度が不足している場合等は、衝突部で破損することがあります。

2-1 エキスパンションジョイント(変形追従接合部)の天井被害
天井のクリアランスの不足によりパネルが破損

天井のクリアランスの不足によりパネルが破損


建物の変形に対して、天井のクリアランスが不足していたため、天井パネルに被害が生じました。
2-2 段差部の天井被害
天井の段差部分は、固定が不十分であったり、クリアランスが不足している場合、変形差により歪みが生じ、接合金物が外れる等の被害が生じることがあります。
 
折り上げ天井部分等の不十分な補強と変形の違いにより接合金物が外れた

折り上げ天井部分等の不十分な補強と変形の違いにより接合金物が外れた

折り上げ天井部分等の不十分な補強と変形の違いによる被害


 
2-3 壁や柱との干渉による天井被害
天井の外周部は、固定が不十分であったり、クリアランスが不足している場合、周囲の壁や柱等に衝突し、被害が生じることがあります。
 
壁との干渉では、ボードのみの落下と、下地と一体で落下するケースがあった

壁との干渉では、ボードのみの落下と、下地と一体で落下するケースがあった

柱との干渉では、主にボードのみの破損が生じた

柱との干渉では、主にボードのみの破損が生じた


 
2-4 天井と設備機器の被害
天井と設備機器との取合い部は、設備機器との衝突や、設備機器の落下により、被害が生じることがあります。
天井と設備機器との干渉、または設備機器の落下による天井の被害

天井と設備機器との干渉、または設備機器の落下による天井の被害

天井内のダクトが落下し、天井を突き破っている


 
東日本大震災における天井被害は、大きな面積の天井や、天井同士、天井と周囲のものとの取合い部など、地震時の動きが異なる部分で数多く発生しました。
一度被害が生じると、安全面でも、業務継続の面でも、大きな問題となり、また、復旧するには多大な時間と費用が生じる場合があることから、その対策の必要性が再認識される結果となりました。

※出典:写真は全て「東北地方太平洋沖地震報告書」(平成24年3月 大成建設株式会社一級建築士事務所)より

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