TOP >> Solution >> Taisei's Eye >> 長周期地震動と超高層ビル
[issued:2008.07.17]

長周期地震動と超高層ビル

∼その課題と対策に向けて∼

都市の超高層建物にとって新たな課題となってきた長周期地震動。 その発生のメカニズムは?建物にあたえる影響は?そして、私たちはどの様な対策を取ればいいのでしょうか?

細澤治ポートレイト大成建設(株)
設計本部 副本部長
構造設計プリンシパル
細澤治

2. 

超高層建物への影響とその対策


anchor flag
 日本の超高層の建物はしなやかで粘り強い構造となっており、建物を変形させることで地震のエネルギーを吸収するしくみになっています。そのため、長周期地震動に見舞われても建物自体の倒壊、崩壊の恐れはありませんが、固有周期が長いため長周期地震動と共振することになります。このため、通常の地震時と比較して、


周期による揺れの違い
長い固有周期を持つものは、長周期の震動に共振して大きく長時間揺れることになります


大きく変形する
50階建ての建物の場合、大地震時に最上階での加速度は最大300gal程度、左右2m程度の揺れ幅になる事が予想されます。

揺れが長く続く
地震動が終息しても建物自体は共振によって長時間揺れ続けます。

という特徴があります。
 また、建物の構造体そのものに影響はなくても、長時間続く大きな揺れは内部の人や、仕上げ材設備等の非構造部材などに様々な影響が出る可能性があります。揺れ方が強い場合は家具や什器の転倒や移動も起こりうるでしょう。
 また、建物自体にも大きな変形が長く続くことによって部材が疲労し、その結果、耐震性能の低下を招く恐れも出てきます。余震や連続して地震が襲来する可能性も考えていくと、これらの点をふまえた対策を考えていく事が必要になってきます。
 


 長周期地震動は、その「大きくゆったりとした長時間の揺れ」によって建物やその内部に様々な影響を及ぼします。そのため、揺れのエネルギーを吸収し、できるだけ変形を小さく(*層間変位角で1/100以下)し、揺れを早く収めることが全ての対策の基本となります。

 それには建物に制震装置を組み込み、より高いエネルギー吸収能力をもたせる「制震レトロフィット」の手法が効果的です。

 建物の変形量が小さくなれば、それによって生じていた内装のひび割れや配管等への影響も小さくなります。また、エネルギーを吸収する事で、結果的に加速度を抑える効果も期待できるものもあり、例えば加速度が最大200ガル以下になれば、転倒の可能性は大幅に下がります。

(*層間変形角:地震時の一階の高さあたりに対する水平方向の変形の割合のこと。水平変位/階高。)
 
制震レトロフィット(制震補強)

一般的には制震レトロフィットは、耐震性が不足している建物の耐震補強に制震装置を適用する事を指しますが、この場合は、制震装置の増設によりエネルギー吸収能力を増加させることで保有している耐震性をさらに向上させる「バリューアップ」としての制震レトロフィットとなります。

  • お問い合わせ:セキュリティにプライベート認証を使用しているため、アラートが出る場合がありますがそのままお進みください。
  • メールマガジン:「コミュ二ケーション」にジャンプします。詳細をご覧の上お申込ください。

印刷