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[issued:2008.07.17]

長周期地震動と超高層ビル

∼その課題と対策に向けて∼

都市の超高層建物にとって新たな課題となってきた長周期地震動。 その発生のメカニズムは?建物にあたえる影響は?そして、私たちはどの様な対策を取ればいいのでしょうか?

細澤治ポートレイト大成建設(株)
設計本部 副本部長
構造設計プリンシパル
細澤治

3. 

バランスの取れた包括的な対策が重要


anchor flag
 制震による対策は揺れそのものを抑える、いわば根本的な対策であり、超高層建物への影響全体にわたって効果があるものといえます。その上で、建物の揺れの状況と目標とする安全性や機能維持レベル等を照らし合わせて、それぞれ個別に必要かつ適切な対策を取っていく事が、効果的かつ経済的な対策へとつながっていきます。

家具、本棚の転倒対策
固定など転倒防止(固定先を含めて検討)
倒れにくい背の低いものに変える

コピー機、プリンタ等重量什器の移動対策
輪留めを徹底するなど、すべりや転がりを防止

天井の落下対策
落下により人命等に影響の出る場合
長い吊りボルトには振れ止めとなるブレースを設ける
周囲の壁や段差等により剛性が異なる部分にクリアランスを確保
エレベータの対策
超高層ビルでは地震後の縦動線の確保は特に重要となります。
一般的な建物と同様、安全のため、まずは最寄りの階に停止させ、閉じ込めを防ぐ事が基本となります。
長周期地震動は到達までに時間がかかるので、
従来の管制運転に加え「緊急地震速報システム」とも連動させ自動的に停止させる
のが即効性の高い方法となります。
しかし一時停止させるだけではロープの共振自体を防ぐ事は出来ないため、引っかかりなどの発生を回避する事にはなりません。早期のエレベータの稼働再開をはかるには、根本的な対策として
ロープへの振れ留めを施す
ことが最も有効となります。
 これらの個別の対策は個別に行う事も出来ますが、制震による全体対策とのバランスを考えて行う必要があります。そのためには、まずは建物全体がどのように揺れるのかを検証することが重要です。
 制震は段階的な対策を図る事も可能です。予算等にも限りがある場合は、揺れの状況や目標にあわせて「徐々に制震材を組み込んで段階的な性能向上を図る」といった対応も可能です。

 特に大成建設が独自に開発したT-RESPO構法は軸力制御オイルダンパーを用いることにより、通常の制震装置では必要となる柱や梁の補強が基本的に不要です。さらに設置スペースが小さく配置しやすいため、より柔軟に対策をプランニングし、全体対策と個別対策のバランスを取ることが可能になります。

 これらの対策は長周期地震動のみならず、通常の地震に対しても有効かつ必要ですが、これで万全というわけではありません。
 地震に対する安全性を確保するためには、上記に挙げたハード面における対策のみならず、

緊急地震速報を利用して、回避行動や避難をスムースに行う
避難、誘導のためのサインの整備
避難、誘導マニュアル整備

といったソフト面の計画、整備を同時に行い、包括的な対策を進めていくことが極めて重要であるといえます。
 
非構造部材や設備の地震対策を考える

事業継続のカギを握る設備や非構造部材の地震対策。その効果を最大限に発揮するにはどのように取り組むべきかを検討していきます。

ファシリティとの密接な連携で活かす「緊急地震速報」

地震襲来の数秒前の告知。この貴重な時間を人命確保や早期復旧へとつなげるポイントは何か。
現状の課題も含めて考えていきます。


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