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[issued:2013.07.24]

2013年改正「耐震改修促進法」の概要とポイント

ー耐震診断の義務化と結果公表、支援緩和措置の拡大などー

左近の切迫した地震リスクの状況から、建築物の安全性向上は、これまで以上の危急の課題となっています。今回はこうした背景のもとに、2回めの改正となった耐震改修促進法について、その主な内容とポイントを解説します。

小野眞司ポートレイト大成建設(株)
LCC推進部 耐震推進室
部長(担当)
小野眞司

2. 

2013年の主な改定内容とそのポイント


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不特定多数の利用する大規模建物等に対する耐震診断の義務化などの規制強化策
 

全ての建物が努力義務対象となったほか、特定建築物の名称や範囲が改定されました。このうち、「要安全確認計画 記載建築物」に対して、耐震診断の実施と報告が義務付けられています

全ての建物が努力義務対象となったほか、特定建築物の名称や範囲が改定されました。このうち、「要安全確認計画記載建築物」に対して、耐震診断の実施と報告が義務付けられています


今回の改正では、耐震診断及び改修に関しての対象範囲を拡充させるとともに、規制緩和や支援策についても大幅に拡充することで、これまで以上に強力に耐震化の促進を図ろうとしていることが伺えます。
そのため、これまで多数の人が利用する建物として、特定建築物のみに課していた「努力義務」の対象範囲を拡大し、小規模な建物やマンション、一般住宅などを含めたすべての旧基準建物(現行基準に適合しない建物)の所有者に努力義務が課せられることになりました。

その上で、下記のような建物については「要安全確認計画記載建築物」として所有者に対する耐震診断の義務化と自治体によるその結果の公表が規定されています。

 1.下記の用途などで、一定規模以上の建物
  ○病院や劇場などの不特定多数が利用する建物
  ○小学校、老人ホームなどの避難時の配慮が必要な人たちが使用する建物
  ○一定量以上の危険物を取り扱う建物
 2.自治体が指定する緊急輸送道路などの「避難路沿道建築物」
 3.都道府県が指定する庁舎などの防災拠点、避難所など


診断結果の報告期日については、これらのうち、1の建物は「要緊急安全確認大規模建築物」として平成27年末までに、2、3については、それぞれ地方公共団体が具体的な対象建物と期日を指定することになっています。

なお、所轄官庁は診断結果の報告を受け、これを公表しなければならないこととなっていることに加え、耐震改修に必要な指導、助言及び指示が可能で正当な理由無く従わなかった場合も公表できることになっています。
 
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認定制度の充足、規制緩和や支援措置の拡大など
 

新たに認定対象となる増築工事の例(国土交通省資料より)

新たに認定対象となる増築工事の例
(国土交通省資料より)


今回の改正では、規制の強化だけでなく各種の緩和措置なども行われています。
特に、耐震改修にかかわる認定要件が緩和され、耐震改修に伴って床面積が増大する場合も認定を受けることが可能となりました。また、新たな耐震改修技術の採用などについてもハードルが下げられ、認定を受けることが可能になってきます。(加えて、「耐震改修」の定義に「一部の除却」も追加されています)

また、こうした認定建物に関する表示制度についても、これまでは「旧耐震基準建物で耐震改修済み(または、診断での合格)建物」のみが対象でしたが、新たな認定表示制度が新設され、耐震性が確保されていると認定を受けた場合は、新耐震基準による建物も含め、すべての建物がその旨の表示を行うことができるようになります。これにより、耐震性表示の混乱もなくなってくるものと思われます。

その他、支援措置についても義務化対象物件については緊急支援として、国負担分が、耐震診断は1/3→1/2に、耐震改修は11.5%及び1/3→1/3及び2/5と割増されるとともに、これまで自治体の制度規定により助成がない場合も、国負担分については直接支援されることになっています。

その他、分譲マンションなどの区分所有建物の場合、耐震改修に関する決議要件も緩和され、これまでの3/4の賛同が必要だったものが過半数の賛同で決議できるようにもなりました。住宅に関しては、これまでの耐震改修促進税制についても拡充される予定です。
 
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都道府県耐震化促進計画の見直し
 

2006年の改定時に、各自治体での促進計画の策定が義務付けられました。今回の改訂に伴い、対象建物の指定や詳細な施策などについて、この促進計画書が改定されます。

2006年の改定時に、各自治体での促進計画の策定が義務付けられました。今回の改訂に伴い、対象建物の指定や詳細な施策などについて、この促進計画書が改定されます。


2006年の改正で、各都道府県ではその区域内の建物の耐震化を促進するための具体的施策について取りまとめた「耐震改修促進計画書」を作成しています。今回の改正に伴い、特に耐震診断の義務化対象とする建物の指定や、報告の期日などについての記載を含めた見直しが求められることになります。
また、多くの市区町村でもさらに詳細な促進計画書は作成されていますが、そちらについてもより具体的な施策を含めた見直しが行われていくことになるでしょう。

促進法の改正は2013年5月22日に可決、成立しました。
法の施行は6ヶ月内となっていますので、おそらくは11月頃までに、順次促進計画の見直しが行われていくものと思われます。
 
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