[issued:2007.03.15]
総まとめ!ソリューションセミナー2006
全4回お送りしたソリューションセミナー2006。
今回のTaisei's EYEでは、セミナーの総括として、セミナー後いただいたご質問や新たに判明したこと等、お伝えきれなかった情報とあわせてお届けいたします。

大成建設(株)
営業推進本部耐震推進部
課長
小野眞司
ソリューションセミナー2006、全4回にはあわせて200名ほどの方にご参加いただきました。
お忙しい中,また遠方よりお運びいただき誠に有り難うございました。
1.促進法の改正とその周辺施策
ー改正のポイントと地震対策への取り組みー
6月に開催したこのセミナーでは、06年1月に改正された「耐震改修促進法」について、改正されたポイント等を中心に、基準法や宅建法等の関連施策とあわせての解説セミナーとなりました。
「促進法」の改正ポイントとしては、
●特定建築物の対象が拡大
●具体的な促進計画を自治体(都道府県)が作成
●指導、指示に関する規定強化
などが挙げられます。
また、住宅・建築物耐震改修等事業での支援も拡大されています。
道路閉塞対象の建物
対象の道路は各自治体で指定されますが、既に「緊急避難道路」「緊急輸送道路」等として指定されたものが多いようです。
最近の情報では、
■促進計画の策定について
06年11月に国土交通省より発表されたアンケート結果から見ると、都道府県が策定する「耐震改修促進計画」に関しては、この3月末までにはすべての自治体で完了の予定。静岡県等,策定が完了した自治体では,既にホームページ等での公表も行われている。
■道路閉塞建物について
促進法の改正により、「道路を閉塞させる恐れがある建物」が特定建築物の「指示対象」として追加されたが、具体的な対象道路に関しては,やはり上記の「自治体の耐震改修促進計画」に記載されているケースが多いようである。
■自治体の指導について
現在,いくつかの自治体から,特定建築物のオーナーの方へ「耐震診断、補強実施のお願い」等の要請書類が届いている模様。これは、促進法で規定されている「指導」の運用によるもの。また,基準法で定められている「定期点検」(対象と点検頻度は各自治体で規定されています)の報告とも連携し、指導を実施して行くという計画の自治体も見られる。
■支援制度について
住宅・建築物耐震改修等事業の運用についても、その基本的な部分が自治体の促進計画に記載されている。自治体によっては、すべてが対象となるのではなく、優先順位を付けて実施をしたり,期限を決めているケースもある。
計画を策定済みの自治体では、既にいくつかの施策を実施し始めているようです。間もなくすべての自治体で策定が完了します。年度も改まるということもあり、より具体的な施策も実施され始めるのではないかと思われます。
地方公共団体における耐震改修促進計画の策定予定及び耐震改修等に対する補助制度の整備状況について
トップ/報道、広報/報道発表資料/平成18年/11月6日
2006年1月26日より施行された改正耐震改修促進法について、建物の所有者にとってポイントとなる部分を中心に解説します。
2.経営視点から考える耐震補強
ー補強/建替えの判断ポイントー
耐震補強をご検討される際に、総合的なリニューアルとあわせて実施したい。あるいは逆に、リニューアルにあわせて補強をしたい。とお考えのお客様が多くなってまいりました。耐震補強は緊急課題ではあると同時に、施設価値の重要な評価軸ともなってきました。
しかし、ファシリティ全体の価値は決して耐震性だけで評価されるものではありません。
このセミナーでは、そんな視点から、大きく変化しつつある施設評価の捉え方と、耐震補強そのものの評価軸について考えてみました。ここで、いくつかのポイントを挙げてみましょう。
ファシリティ評価のための診断も拡大してきている
物理的な性能評価をもとに、ファシリティを「いかに活用するか?」をはかるための診断への要請が急増中
■社会の変化とファシリティの位置づけの変化
成長ー消費型の工業社会からグローバル化ー安定型の情報社会へ大きく変化している。これはやがて「知識社会」「知価社会」となり、企業にとってはCSRへとつながって行く。こうした中で、企業内でのファシリティ(建物、設備、什器、情報機器等)と関連組織も、従来の「管理、受け身的組織」から「活用、戦略組織」へと大きく変化して行く必要がある。
■ファシリティを取り巻く様々な評価
時代の変化に応じて、需要なビジネス資産の一つである「ファシリティ」の性能評価も変化し拡大しつつある。とくに建物に関しては従前の「物理的」「経済的」指標に加え「採算性」「コンプライアンス」「説明責任」「事業継続性」「ブランディング」など多様な評価軸でとらえることが重要になってきた。
■耐震診断の考え方
こうした状況にあわせて、施設の耐震性能に対する考え方も変わってきている。
特に、法律を守ることを最低限とし、施設で行われている業務の重要度に応じて必要な性能を確保するための耐震性能が問われたり、補強工事費等のイニシャルコストでの比較から壊れたときの修理費やその間の停止損失といったリスクをふまえたライフサイクルコストでの検討が行われるようになってきた。
こうした検討を行い、意思決定をはかる手法として「確率論的アプローチ」を取り入れる動きが見られる。
会社が違えば、働き方が異なるように、ファシリティを活用するための評価軸も企業ごとに様々です。重要なことは「自社にあった評価軸」をどのようにして作って行くのかということではないでしょうか。
耐震補強は、建物の骨組みを強化するという根本的な改修となり、その影響も少なくありません。耐震改修をご計画の際には、是非こうしたご検討もあわせて実施されるよう、お勧めいたします。
ファシリティマネジメント
企画立案からリニューアル計画まで、大成建設のFMは、お客様の立場になってきめ細かくサポートします。
地震リスクを計算し、最も効果的な対策を経済指標の面からも評価します。
地震保険で保険料の算定基準にもなる「PML」(予想最大損害率)の算出も可能です
3.実効性のあるBCP、その構築と運営
ー地震リスクに備える事業継続計画ー
第3回目では、急速に普及しつつある「事業継続」への取り組みを背景に、「いかにして実効性のあるBCP(事業継続計画)を策定して行くのか?」をテーマに、日本版BCPガイドラインの概要や「減災」目標のあり方等などとともに考えてみる、BC入門セミナーとして開催いたしました。
BCの取り組みの課題
大成建設アンケートによる
被害想定の例
大成建設のBCP策定支援サービスによる、被害想定結果の例
■BC取り組みのメリット
「事業継続管理:BCM」への取り組みは現在多くの企業でなされるようになってきた。そのきっかけとしては「取引先からの要請」「企業責任」「リスク会計反映」等様々だが、それは逆に「取引上の優位性確保」「市場の信頼性確保」など、直接的なメリットともなり得ることを示している。さらに、「内部統制の確立」「事業リソースの再確認」等も行われることで、より効率的な経営資源の再配分が可能になる等、経営戦略にも大きな恩恵があるとされている。
■BC取り組みの課題
既にBCPの策定を済ませた企業が出てきている一方で、まだ多くの企業が「検討中」あるいは「取り組んでいない」というのも現状。当方の調査では、その理由として「重要業務の特定ができていない」以上に「被害想定ができていない」ということを多くの企業が挙げている。
■身の丈に合ったBCのP策定
事業継続計画:BCPを策定して行く上で最も重要なことは「あまり大上段に構えず、わかる範囲、できる範囲からはじめる」ということにつきる。そのためには「目標と対象範囲」「策定単位(全社?事業部?)を明確にしておくことが重要である。また、重要業務の特定も明確にし、文章化しておくことが求められる。重要業務を特定するには、売り上げや収益の高いものを優先しがちだが、停止した際の他業務やサプライチェーンへの影響範囲を加味しておく必要がある。
■BCPの運営
BCPは実践に使用されてこそ意味があるため、「一度策定してしまえば、それで終了」というものではない。常に現状を反映し、いつでも使える状態にしておく必要がある。当初は、わかっている範囲、手の届く範囲に留めるにしても、PDCAの実践を通してスパイラルアップさせ、より実効性のあるものに成長させていくことが重要である。
BCPを実効性のあるものとして構築、運営していくには、前述のように「できる範囲からはじめ」「いつでも利用できる状態」で「PDCAを回し、現状を反映しながらスパイラルアップ」して行くことが重要です。また、緊急時に「必要な部署で」「必要な情報が」「必要なときに」すぐに取り出すことができることも重要ですが、それにはやはり日常的な業務に織り込んでおくことが必要です。策定したBCPは緊急時だけに使用するのではなく、平常時の業務に展開することでこそ活かされるからです。
防災情報のページ
現在、企業等の事業継続・防災評価検討委員会が開かれ、ガイドラインの解説や企業の自己評価、防災白書作成手引き等について論議されています。
事業影響分析のための被災想定をはじめ、それに基づく効果的な減災対策、そしてBCPの構築から運用までをトータルにサポートいたします。
4.BC実現のための処方箋
ー免震レトロフィットの採用ポイントー
06年度最終回となるこのセミナーでは、これまで大成建設が取り組んできた「免震レトロフィット」の事例をもとに、その意味と採用にあたってのポイント等を解説させていただきました。
減災、BCPと業務回復時間
訂正な減災対策により、初期影響を最小限にすることで回復時間は早くなる。適正なBCPの運用でさらなら短縮を実現する。
補強方法別のRTOシミュレーション例
構造体だけでなく、建築2次部材や設備機器や配管への被害状況と復旧影響を考慮してシミュレーションを行った例。大成建設の「BCP策定支援サービス」に組み込まれている。
■BCと免震レトロフィット
一般的な耐震補強が、建物に入ってきた地震の揺れに対し建物の強度を高めることで被害を防ぐ。これに対して既存建物を使いながら免震建物にする「免震レトロフィット」は、強い地震の揺れそのものを建物に伝わりにくくする。このため、建物の構造体だけでなく、収容されている什器や人に対しても影響が小さくなり、事業停止影響を大きく軽減することが可能となる。
■免震レトロフィットのスケジュール
一般の耐震補強で「耐震改修促進法」の認定を取る際には、補強設計が完了したあと構造評定の取得等認定の審査期間に3ヶ月程度が必要である。免震レトロフィットの場合は、免震構造に対する「大臣認定」を取得する必要がある。しかし、これは促進法の認定手続きと同時にスケジュールを進めることができるため、結果的には構造評定とあわせて3ヶ月程度の審査となり、一般の耐震補強と同程度の審査期間となる。なお、設計に要する時間は免震レトロフィットの方が多少長くなるケースが多い。
■免震レトロフィットの検討ポイント
耐震補強にするか、免震レトロフィットにするかを検討するには、いくつかのポイントがある。
「コスト」については、イニシャルコストを考えると、初期の計画段階では10階建て程度以上でほぼ同程度となるが、実際の計画には「施工中の移転」やそれによる「売り上げやサービスの低下」などを考慮し総事業費で考えることが重要である。また、地震による修繕費や営業停止可能性等リスクを考慮したライフサイクルコストの視点も必要と思われる。
こうした点から、最近はPMLの算定も行われ、耐震性が施設価値の重要な要素となってきている。
この他、検討すべきテーマとしては「施工中の建物利用」「施工中の地震対策」「施工中、施工後の使い勝手」「耐震性以外の価値向上要素」などが挙げられ、何れも慎重な検討が求められます。
地震対策については「事業継続性の確保」に注目が集まってくるようになった現在、その主要対策の一つである「耐震補強」については、「生命の安全確保」を最低限の基準とした上で、施設の目的、重要度に応じた対策を検討して行く必要が出てきているといえます。
大成建設では、地震対策を積極的に経営戦略に取り入れていきたいとお考えのみなさまをバックアップするため、今後もこうしたセミナーを継続的に行っていきます。
ついては、今後のセミナーで取り上げて欲しいテーマや内容について、ご意見、ご要望を承り、より実践的でみお役に立つものとしたいと考えております。
ご意見、ご要望は画面右側の上下にある「お問い合わせ」ボタンからお寄せいただけます。ぜひ、お声をお聞かせください。
日本で始めての基礎免震レトロフィットと世界初の中間階免震レトロフィットが行われました
東京都豊島区役所本庁舎では、庁舎としてはじめて「建物を使いながらの免震レトロフィット」を採用しました。