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[issued:2006.04.17]

生産施設の耐震化プロジェクト

トータルエンジニアリングを考えた工場施設の地震対策とは?

そこで生産されるモノや規模により異なるワークフローやプロセスを持つ生産施設。
地震対策についても、一般のオフィス等とは異なる「トータルエンジニアリング」の視点での計画が必要となります。

寒河江淳二ポートレイト大成建設株式会社
設計本部
先端生産施設ソリューションリーダー
寒河江淳二

1. 

生産施設における「耐震性」の考え方


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ある程度の標準化が可能なオフィスの地震対策に対し、工作機械や部品等を生産する工場や食品工場等の生産施設においては、生産する品目や生産規模などがそれぞれ異なり、機能を維持するために必要な対策も、建物、設備、生産装置それぞれの特徴や機能を把握した上で適切に行う必要があります。工場の地震対策を実施するには施設の構造面だけの地震対策では不十分であり、生産機能全体をとらえたエンジニアリングに対する知識と理解が不可欠になります。

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生産施設における地震対策の目標とは?

 企業活動において地震リスクは「まさか」への備えではなく、「当然起こりうる」マネジメント課題として事業継続計画(BCP)の重要性が認識されつつあります。特に製造業にとって生産施設は事業の中心であると同時に、サプライチェーンの一環としてその供給性能が問われつつあることからも、事業継続に視点を置いた地震対策が求められるようになっています。

 逆に、十分な地震対策を施しておくことにより、損失を最小限に抑えることができることはもちろん、市場の維持やサプライチェーンの面で大きなアドバンテージを獲得することになります。



地震規模別の耐震目標


 一般的に生産施設では建物や生産設備の被害もさることながら、操業停止に伴う損失も非常に大きいものがあります。地震によるリスクを最大限に回避するには直接の被害をおさえるだけではなく、いかに迅速に生産の再開が行えるかを主眼とした包括的な対策の検討が必要となります。業務回復の目標復旧時間であるRTOを設定することは、その実現に必要となる耐震性能の確保を検討する上でも非常に重要な第1ステップとなります。

 RTOの設定においては、想定する地震規模の各レベルに対して、どの程度機能を維持しなければならないかを判断し、必要な耐震グレードを決定していきます。
 震度6以上の強大地震においても機能維持が可能な「Sグレード」を実現するには、現在のところ免震が最も有効なソリューションとなりますが、費用対効果を十分に検討する必要があります。


平屋工場の補強施策別の地震リスクの低減事例
構造体の補強は、最低条件として必要であるが、設備への対策を併せて行うことで大幅な低減効果を産む結果となっている。

 また、耐震性を検討する場合、主に構造体のみに注意が向きがちですが、事業継続を前提に生産施設の耐震性を考えたとき、構造の補強だけでは不十分です。生産施設は、施設内での生産機能に重点があるため、被害の防止の観点からも「設備機器」の耐震性も十分に検討しておく必要があるからです。
 最近発生した地震においても、中規模で建物自体に損傷がなかったにもかかわらず、設備配管や機器の破損により内容物が流出してしまい、操業停止をやむなくされた被害事例も見受けられています。
 生産施設ではわずか1本の配管の数ミリの損傷であっても、結果的に全体の機能がマヒする可能性があります。場合によっては、施設内だけでなく周辺への影響も考慮する必要があります。
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耐震化プロジェクトのワークフロー



生産施設における耐震対策のワークフロー


 生産施設の耐震プロジェクトにおける課題としては、
・現状の空間をそのまま維持されること
・補強を行っている場合も、生産ラインが稼働できること
・補強後は事業継続が可能であること

などがあげられます。
これらの要件を満たすためにも、生産施設の機能全体をとらえた広いエンジニアリング知識とノウハウが要求されます。

 耐震対策を進めるにあたっては、まず現状を把握することが重要です。
 想定されている地震の揺れに対し、現状でどの程度の耐震性があるのか? 建物はどの程度揺れるのか?といった、建物の性状についての分析が基本となります。
 その結果、構造体の耐震性が不足している様でしたら、最低限必要な補強として構造補強を計画します。この場合、補強により同じ地震であっても建物の揺れ方(応答加速度等)が変化する場合があるため、想定地震によっては補強後の建物性状を把握しておく必要もあります。

 次に、目標とするRTOに対して、生産機能を構成する「内装や建具等の建築部材」「一般的なユーティリティ設備」そして「生産装置及びライン」等の要素それぞれに必要な耐震性能を判断し、適切な対策を決定していきます。
 これらの要素の性状判断とその対策については、建物やそれに準ずる設備関連には「建築基準法」や関連の指針等といった、一般化された耐震基準が存在しており、それらを指標とした対策の検討が可能になります。
 しかし、生産施設における主要要素である生産装置や搬送装置については、こうした一般的な耐震基準が明確になってないためというのが現状です。
 生産環境はこれらの構成要素全てが揃って初めて機能するため、全ての要素に対する一貫した耐震対策の取組みが重要となってきます。

アリの目とトリの目、そして第3の目で取り組む事業継続

取引先から等の外部要求の拡大により、ますます必要になってきた事業継続管理(BCM)。しかしその担当者には、現実に行われている「部門や事業所単位での取り組み」だけでは応えきれないのではないか?というジレンマもあるようです。

ステップバイステップで進める耐震化プロジェクト

大成建設では目的に応じて診断メニューをご用意し、耐震化プロジェクトにおける最適な補強方法、コスト、工期の実現を支援しています。


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