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[issued:2006.12.20]

事業継続の視点から見た天井の地震対策

-室内の安全性と事業継続性の確保-

天井の耐震性については国土交通省からも大規模天井を対象に技術的助言などが行われるなど、安全面における様々な取り組みが始まっています。この取り組みを一歩進めて事業継続の観点から考えてみましょう。

高山正春ポートレイト大成建設(株)
設計本部 構造計画グループ
グループリーダー
高山正春

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こんな方へおすすめのコンテンツです
・企業、団体のBCP担当者の方
・企業、団体の防災担当者の方
・大規模空間の建物の管理者、運営者の方

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天井の耐震性能における課題



技術的助言の概要
(国土交通省:平成15年技術的助言より)


 
 01年の芸予地震をはじめとして、近年の地震における体育館や公共施設等の大規模な空間を持つ建物での天井の破損・崩壊が相次いで報告され、その安全性が地震対策における1つの課題として取り上げられるようになりました。

 国土交通省では、これらの地震における天井被害について、それぞれの原因究明と落下防止指導(技術的助言)を行っています。2005年8月には「大規模空間を持つ建築物の天井の崩落対策について」を各地方公共団体に通知し、特に安全性が求められる不特定多数の人々が利用する大規模空間(500平方メートル以上がめやす)を持つ建築物の所有者、管理者に対して、その天井について実態調査を行い、その結果に基づき適切な崩落対策等の措置を講ずることを要請しています。
 一方、これに対して一般的なオフィス等では対策はどのように考えればいいのでしょうか?
 一般的にオフィスの天井は高もさほど高くなく面積も限定されるため、安全性の面においては特に大きな被害が発生すると考えられません。
しかしながら、事業継続という観点から見れば「オフィスの天井」とは、

1.天井には空調、照明、有線・無線の各種LANといった設備が設置されており、業務内容によっては不可欠なインフラとして機能維持を図る必要がある

2.天井の損壊やボードの落下などが生じた場合、オフィス内のパソコンや机上の書類等に損傷が発生する可能性がある

3.その後の後片付けにより、業務再開時間が遅れる要因となり得る


といった検討要素が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

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天井耐震の考え方

一般的に建物の揺れは上階にいくに従って増幅され、強く揺れることになります
建物内の揺れの増幅
一般的に建物の揺れは上階にいくに従って増幅され、強く揺れることになります。

天井面の揺れの増幅
天井は上階の床からボルト等により吊り下げられています。このため天井面に伝わる揺れはさらに増幅されたものになります。

 
 従来の鋼製下地天井の構成は、天井材を吊りボルトで支える構造になっています。また、それらの接続方法もクリップによるなど、施工性に優れ、コスト的にも優れたものとなっています。

 天井材の重量を吊り支えるという点では在来の構法で基本的に問題はないので、後はいかにして地震による揺れ(水平力)に対応するかということが課題といえます。


 建物内の天井の揺れは、構成上建物本体の揺れよりも大きくなる傾向があります。このため柱や梁といった「構造体」には被害がなくとも天井ボードの破損や天井に取り付けられた照明、空調設備への悪影響をもたらす場合があります。

 天井の耐震性を向上させるには、天井構造全体の剛性を確保することが一つの解決策といえますが、いずれにしてもその建物の揺れ方を分析した上で、その特性に合わせた対策が必要となります。


大成建設では在来工法による天井の振動実験をいち早く行い、この問題に取り組んできました。


 大成建設では実証実験を重ねて来た結果、経済的な観点からも在来の構法を変更するとのではなく、それに「耐震」という+αの要素を加えることによって必要に応じた耐震性を付加させる耐震天井「T-ceiling(ティー・シーリング)」を開発しています。

 T-ceilingは在来の鋼製天井下地はそのままに、耐震要素を必要に応じて追加していく「アドオンシステム」のため、大幅なコストアップをおさえ、既存天井の補強にも適用が可能です。
大規模な天井
防災拠点、事業継続のボトルネック施設には

天井支持要素と耐震要素を明確に分離することで耐震性の高い天井を構築します

  • 耐震天井 T-ceiling
クリーンルームには

クリーンルーム等のように天井内に高度な空調システム等が組み込まれ、システム化された重量天井には、効果的なエネルギー制御が可能な「制震システム天井」をお勧めいたします。

  • 制震天井システム

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安全性を前提に事業継続性の確保へ

 より高い耐震性を持つ天井が求められるのは、まず安全性という点で「不特定多数の人々が利用する大規模空間」があり、これに加えて事業継続性の観点から適切な対策が必要な施設や居室が考えられます。
 特に学校の体育館や公民館といった地震時に避難場所や防災拠点となる建物の場合は、大規模な天井である場合も多く適正な対策が必要であるといえます。
また、病院や保育園、老人ホーム等の被災時に災害弱者となる可能性の高い人々が利用する建物も、通常よりも高い安全性が求められます。さらに病院等においては衛生面からも、損傷が出ないレベル、バリアが破れないレベルまでの耐震性が必要になる場合があるでしょう。



建物内部で考えられる被害の状況(例)
構造体だけでなく、建物内部の被害全体に注目する必要があります


 企業においては、まず一次避難場所や災害対策本部となるべき建物や居室が考えられます。
 これらの施設がダメージを受け、すぐに使用できないという状況が発生する場合があれば、それは従業員の安全確保とともに、BCPにおけるRTO(業務回復時間)の実現に対しても大きな脅威としてとらえる必要があるのではないでしょうか。
 災害拠点機能を担う施設が被害を受けるということは、PR4の初動段階「緊急対応」のフェーズから大きな障害となり、その後の業務再開に向けての阻害要因となり得るためです。

 これは事業継続上のボトルネックとなる業務を行っている部署とその居室に対しても同様なことがいえます。地震被害の初期インパクトを最低限とするためにも、必要に応じて天井の耐震性能の確保していくことは重要な減災対策の一つといえるでしょう。


 これに対して一般的な執務を行うオフィス等の場合は、天井の規模も小さく高さもさほど高くないため、利用者の安全性という観点からでは特に大きな問題がある訳ではありません。過度の耐震性能を持たせる必要も無いともいえます。安全面で考えれば、むしろ居室内におかれた背の高いキャビネットの転倒防止やコピー機等の重量物の移動防止など、とるべき対策は他にも多く残っている場合があります。

 こうした安全性を確保した上で、どの施設のどの居室の天井にどの程度の耐震性が必要なのか?天井の耐震性能を考える場合も、BIA(業務影響分析)に基づき、プライオリティを考えた総合的な判断が最も重要といえます。
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「日本版BCPガイドライン」に準拠した「事業継続計画書」を短期間に策定するための支援サービスです。

事業継続(BC)のためのファシリティ構築

事業の継続性を確保するためには、施設設計で何を行わなければならないか、「震災対応設計指針」を中心に解説します。


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