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[issued:2007.02.15]

免震レトロフィットの採用ポイント

∼安全、安心。そして、その一歩先へ∼

免震レトロフィットは単に耐震性能を確保するだけでなく、経営戦略、BCPなどに大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。

杉崎良一ポートレイト大成建設(株)
営業推進本部耐震推進部
部長
杉崎良一

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こんな方へおすすめのコンテンツです
・ 都市部に本社をお持ちの企業経営者の方
・ 本社ビル等拠点施設の耐震補強をご検討中の方
・ 10階建て以上のビルで耐震補強をお考えの方
・ 補強量が多く耐震補強が難しいとお困りの方
・ 免震化はコストが高いのではとお考えの方

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はじめに

 大成建設が1997年に湯河原研修クラブで日本初の基礎免震レトロフィット、世界初の中間階免震レトロフィットを実施してからちょうど10年になります。近年、「免震」という言葉も一般的になり、病院などの医療施設や美術館等では「免震」は着実に普及しているといえます。
 この「免震」を既存建物の地震対策として利用し、建物を使いながら免震建物に生まれ変わらせる「免震レトロフィット」。その適用には敷地や建物の立地条件やコストの問題がある様に見えますが、実はそのハードルはそんなに高くはないのです。

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耐震補強と免震レトロフィット

 耐震補強は壁や柱を補強することによって地震に対する建物の強度および粘りを高めます。
 これに対して免震レトロフィットは、既存の建物と地面の間に免震装置を設置し、地震の揺れそのものを減じるものです。
 激しい地震の場合でもゆっくり大きく揺れるので、建物そのものの被害だけでなく、内部の設備や什器の転倒、損壊を防ぐことができます。そのため、免震レトロフィットを施すことで、地震後も建物の機能を維持することができるのです。

 建物の機能維持は、被災後も安心して居住できるだけでなく、近年、経営課題として注目されている「事業継続(BC)」の中心施策ともいえるもので、耐震改修を考える際には単なる安全性だけでなく、建物の用途や目的に合わせて耐震改修で十分なのか、免震レトロフィットが必要なのかを検討することが大切です。
耐震構造 構造体の粘りや強さで、建物の崩壊や東海を防ぎます。

耐震構造
構造体の粘りや強さで、建物の崩壊や東海を防ぎます。



免震構造
免震装置が地震揺れを緩和し、建物に伝わりにくくします。


免震装置の設置場所 免震装置は周辺状況や建物の使用状況などを考慮して設置位置を選定しますが、基礎下部に設置する「基礎免震」と地下または地上部分の中間階に設置する「中間階免震」に分けられます。
免震は様々な場所に設置することができます
免震レトロフィットでは周辺状況や建物の使用状況などを考慮して免震装置の設置位置を選定します。基礎下部に設置する「基礎免震レトロフィット」と地下または地上部分の中間階に設置する「中間階免震レトロフィット」に分けられます。

RC造の耐震補強

耐震補強とは不足している耐震要素を補完するということ。大成建設は「やさしい」をキーコンセプトに、費用対効果の高い耐震補強をご提供します。

免震レトロフィット(免震補強)

今ある建物を使いながら免震建物に!
免震レトロフィットは、建物を使いながら基礎部分や中間階の柱等に新しく免震装置を組み込むことによって、既存の建物を免震建物に生まれ変わらせる「免震補強工法」です。


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耐震補強の課題と免震レトロフィット

一般的な事務所使用の建物でのコスト比較 耐震補強:20万円前後/延坪 免震レトロフィット:300万円前後/建築坪

一般的な事務所使用の建物でのコスト比較
免震レトロフィット 300万円前後/建築坪(中間階免震でエレベーターなどの対応が不要な場合は200万∼300万円前後)
耐震補強 20万円前後/延坪
耐震補強の対象は延坪(延べ面積)なので、10階建て程度以上から施工コスト面でのメリットもでてきます。


イニシャルコスト
 耐震補強の場合、必要に応じて各階に耐震補強材を設置する必要があります。高い階層を持つ建物ほど、それにつれて施工箇所や必要となる補強部材も増えていきます。
 免震レトロフィットでは、工事範囲としては基礎または特定の中間階とその周辺と行った様に、免震装置を組み込む免震層野周辺のみで済むため、おおよそ10階以上の建物であれば耐震補強よりもイニシャルコストが低く抑えることが可能になってきます。

特定箇所の施工で「使いながらの補強」
 耐震補強は複数階、複数箇所で工事するため、工事中にもそれぞれについて作業スペースの確保と周辺への影響(埃や水、火気、騒音)対策などに十分な検討が必要です。場合によっては一時的に移転しなければならないケースもあるなど、移転等のコストや事業への影響を考慮する必要もあります。

 これに対して、免震レトロフィットでは基礎、あるいは中間階など特定箇所のみの施工で済むため、工事中の使い勝手に対して与える影響は最小限に抑えることができ、建物を使いながらの施工が可能です。
 大成建設では、国内初の免震レトロフィットに取り組む際、騒音や振動に対するさまざまな測定、検証を行っており、影響を最小限に抑えるノウハウを蓄積しています。
変形構造やピロティ構造の建物は使い勝手を変えることなく耐震改修が可能です。

不整形な平面やピロティ構造の建物でも使い勝手を大きく変えることなく耐震改修(免震化)が可能です。


L字型平面、ピロティ等の不整形建物での適用
 平面形状がL字型や凹型等の不整形な建物や独立柱によるピロティを持つ建物などは、地震の際の揺れ方の違い等によりねじれが生じるなどの可能性が大きく、補強方法も複雑になりますが、免震レトロフィットにより、こうした問題は一度に解決することが可能になります。
 特に、ピロティ階に中間階免震を適用することで、ピロティの用途としてよく使われる駐車場の利用など、空間の使い勝手を変えることなく十分な耐震性能を確保することが可能です。
耐震補強のROI(費用対効果)

地震対策にかかる費用とその効果とは何か?
地震対策の基本ともいえる耐震補強。その費用対効果(ROI)の検証を評価手法と参考データにより行います。

耐震補強のデザインソリューション

耐震補強へのニーズの質が明らかな変化を示してきている。
既存建物の耐震性能を向上させるということが単品的に求められる段階から、リニューアルやコンバージョンなど建物のバリューアップのためのソリューションとして、外装・内装のデザイン、設備の再構築など、いわばトータル段階にシフトしてきてしている。


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免震レトロフィットの適用課題

 免震レトロフィットは、従来の「固定された建物」を地震時にゆっくりと大きく動く様にする改修です。そのため、いくつか考慮しておくべき点があります。


敷地や建物の配置の関係
 基礎免震では免震装置を設置するための掘削作業を含め敷地周囲に4m程度の余裕が必要です。
 地上中間階免震では免震外周部を掘削する必要がないので基礎免震に比べて敷地の制約が少なくなり、中間階免震では50cm程度あれば適用可能です。このため、基礎免震の適用が不可能な場合でも中間階免震ならOKというケースもあります。



免震レトロフィットに必要な建物の離れ


設備配管やエレベータの対策
 免震化された建物は、地盤に対して相対的にゆっくり、大きく揺れるようになります。そのため、外部から建物内に引き込まれている配管等にはジョイント継ぎ手を採用し、大きな変位が発生しても破損しないようにします。

ゴム継手による接続は圧力のかからない排水等に用います。

スイベルジョイント

スイベルジョイントによる接続は高温や高圧になる上水や温水、スチーム等の配管に用います


 
 
 また中間階免震では、免震装置の上下の階で建物の揺れ方が異なるため、エレベータに対しては「免震対応エレベータ」やつり下げ方式にするなどで対応します。
エレベータの吊り下げ方式による免震への対応

吊り下げ方式によるエレベータの免震への対応

中間階免震対応エレベーターによる対応

免震対応エレベーターによる中間階免震への対応


 

 そのほか、免震改修の場合は促進法の認定を受ける前に、免震建物としての承認(大臣認定や告示認定の審査)を受ける必要があります。このため、施工に至るまでの期間が耐震補強に比べて長くなることも免震レトロフィットを検討する際には考慮しておく必要があります。

よくわかる免震

地震の揺れを吸収し、建物に伝えにくくする免震。
このコーナーでは、免震がなぜ地震の揺れを小さくするのかといった、
免震の原理について解説します。

免震対応エレベーター

免震フロアの上下階間で生じる大きな変位に対応し、全ての階を1本の昇降路で運行できる、世界初の免震対応エレベーターです


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安心のその先へ

 免震レトロフィットの特徴は、安全性と機能維持性に優れている点にあります。
そのため、次のような建物には最適な対策のひとつとなります。

病院や防災拠点等
 被災後も十分にその役割を果たせるとともに、免震化によるゆったりとした揺れは余震時にも避難者に安心感を与えます。

BCP施策の中心となる施設や建物
 機能維持に優れた免震レトロフィットは地震後の補修にかかるコストや時間を抑えることができ、BCに取り組んでいる場合などRTO(目標復旧時間)に対する圧倒的なアドバンテージとなります。
 
 さらに、こうした地震に対する直接的なメリットだけでなく、平時の経営、建物の運用面での優位性を考えると、次のようなケースでも、免震レトロフィットの採用を検討する価値は十分あるといえます。

使いながらの改修が難しい場合の耐震補強
 マンション、病院、商業施設等の耐震補強で、施工中の移転や業務の中断が必要な場合でも、免震レトロフィットでは業務・事業を続けながら改修を進めることができます。

施設価値を向上させたい場合
 免震化により、地震保険で保険料の算定基準にもなっているPML(地震による予想最大損害率)が大幅に減少し、物件の証券化に有利になります。

収益率を高めたいテナントビル等
免震化により建物の資産価値が向上し、テナントビルの入居率を高め、収益率をアップさせることも可能になります。


 このように、単なる安全性だけではなく、一歩進んで経営戦略や建物の運用計画と照らし合わせてみた時、新たに免震レトロフィットが最適なソリューションとして浮き上がってくるケースも多いのではないでしょうか。
事業継続管理(BCM)を支援する大成建設のソリューション

BCM(Business Continuity Management:事業継続管理)
あらゆる災害から仕事や生活の被害を最小限にする、もし損害があっても短時間で復旧させる! これが大成建設のBCMです。
事業影響分析のための被災想定をはじめ、それに基づく効果的な減災対策、そしてBCPの構築から運用までをトータルにサポートいたします。

事業継続(BC)のためのファシリティ構築

事業の継続性を確保するためには、施設設計で何を行わなければならないか、「震災対応設計指針」を中心に解説します。


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