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Taisei's Eye >> ファシリティとの密接な連携で活かす「緊急地震速報」
[issued:2007.08.22]
ファシリティとの密接な連携で活かす「緊急地震速報」
∼業務回復の鍵を握る即時対応∼
地震襲来の数秒前の告知。この貴重な時間を人命確保や早期復旧へとつなげるポイントは何か。
現状の課題も含めて考えていきます。

大成建設(株)
リアルタイム地震防災システム
開発チーム
こんな方へおすすめのコンテンツです
・企業の防災計画やリスクマネジメントを担当している方
・ 耐震補強を行い、さらに事業継続性を高めたい方
・ 情報システムやLANの強化、リニューアルをご検討中の方
緊急地震速報のしくみと残されている課題
大成リアルタイム地震防災システム 開発チーム
技術センター防災研究室
長島一郎
技術センター情報技術部
末田隆敏
エンジニアリング本部ITソリューショングループ
渡辺 誠司
地震の恐ろしい点は、いつどこで起こるかわからない点にあります。そこで気象庁では2004年2月、地震による被害の軽減(減災)を目的とした緊急地震速報の試験運用・配信を開始しました。
地震が起きると、P波と呼ばれる小さな揺れ(縦波)とS波と呼ばれる大きな揺れ(横波)が同時に発生します。P波とS波は伝搬速度が異なります。緊急地震速報は、伝搬速度の速いP波を観測し、後から来る遅いS波の伝播の予測を瞬時のデータ転送で目的地に送ることによって、地震の到来を目的地に事前に知らせるものです。
大成建設でも、試験運用・配信開始1年後の2005年より「大成リアルタイム地震防災システム」の技術センターでの実証試験をスタートさせています。
「大成リアルタイム地震防災システム」は気象庁からもたらされた震源情報(震源位置、規模など)を受け、揺れの大きさと到達時間を予測、様々な形で配信するシステムです。
予測計算は瞬時にして行われますが、想定地点における地盤のデータや過去の地震観測記録を分析し、揺れの予想精度を高めています。
また、東海地震等の各地で想定されている大地震については、震源情報から地震名を瞬時に推定し表示する「シナリオ地震判定機能」を有しています。
しかし、速報は地震が発生してからでないと発信できないので、実際の到達までの時間的余裕は震源からの距離に左右されてしまいます。震源付近ではP波とS波はほぼ同時に地表に到達するため、速報が間に合わないこともあることを念頭に入れておく必要があります。
また、多くの場合で第1報は震源近傍の少数の地震計による計測情報が元になるため、より多数の地震計が計測する第2報、第3報の方が予想の精度は上がりますが、その分速報性が犠牲になるという問題もあります。
まず身の安全を確保する避難行動をとるためには第1報を用い、より正確な情報が必要になるシャットダウンなどのためには第2報、第3報を採用する、あるいは必要に応じて現地でのセンサーを併用する等、適切に活用するには、このような特性や限界を十分に理解し、目的に応じた工夫をすることが重要です。
検討地域、想定地震および被害予測項目を選択するのみで、地震動強さ(最大加速度値や震度など)や液状化危険度等の地震被害予測を高精度に行い地図上に表示します。
気象庁が配信する緊急地震速報を利用して、地震による大きな揺れが到達する前に、様々な方法で警報を配信します。
最優先すべきは人命の安全確保
技術的あるいは原理的な限界はあるものの、前もって地震の到来を知ることができるというのは防災、減災にとって非常に有益といえます。
たとえ数秒から数十秒の時間であっても、あらかじめ行うべき行動を決め、訓練や予行演習を行っておくことで、それは余裕となりパニック状態になるのを防ぐことができると考えられるからです。心の余裕はそれだけ避難や必要な安全措置を施すことができる可能性を高めます。
可搬型無線警報システムは通常の無線LANよりも遮蔽物の影響を受けず遠くまで電波が届きます。
その点で速報システムを利用する第一の意義は現場レベル、個人レベルでとにかく危険を報知して、今行っている作業を「止め」避難行動に移り、安全を確保するということになるのではないでしょうか。危険な作業を行っている現場であれば即座に中止することが、自らの安全はもちろん、その後の被害拡大を防ぐことにもなります。また、日常的に使用されているエレベーターなどでも、揺れが来る前に緊急停止することでその後の閉じ込めなどの被害を防ぐことができ、安全の確保に加えて確認作業や救出に費やす時間の削減にもつながります。
しかし、こうした「緊急行動」はいきなりできるものではありませんし、心構えだけでも行動にはなかなか移せないものです。システムの導入は、それだけでなく、あらかじめの計画と日常的な訓練とセットで行うことが肝要です。
耐震補強とは不足している耐震要素を補完するということ。大成建設は「やさしい」をキーコンセプトに、費用対効果の高い耐震補強をご提供します。
一般的な工場施設はほとんどが長方形をしており、中に広い空間を確保する必要があり、耐震補強もこうした特性を考慮して計画します。
重要となる事前の行動計画と訓練
事前の地震情報により、作業や生産ラインを停止するのは人命の安全を確保し、早期復旧を果たすのが目的です。それゆえ、ただ停止するだけではなく、それを受けてどのように行動するのかが重要になります。
特に安全を確保するための回避行動は、とにかくその場を離れることが優先される場合もあれば、そこに止まることがベストであるケースもあり、その時にいる場所や状況によって異なります。状況に応じて緊急避難マニュアルを整備しておくとともに、前もって避難場所の確保やその誘導について計画しておくことが必要です。
また、生産ラインを停止する場合も、「再開のための停止」であることを前提に、いざ地震といった場合に適切に行動できるよう準備しておくことがポイントとなります。
災害対策支援システム
システムで最新のデータを整備しておくだけでなく、緊急時に必要な資料はストプットとしてもすぐに手に届くところにも整備しておくことが重要です。
・どのレベルでどこが停止したのかの把握
現状を正確に把握することは早期復旧の第一条件でもあり、再操業の手順とその期間を確認します。
・安全確認の方法と手順
地震の規模や停止した装置により、安全を確認すべき場所や順番が異なります。
・再開手順や必要な人員、材料、工具等の場所
これらの情報は常に最新の状態に保ち、いつでも誰でも引き出し、利用できるよう日常的に管理しておくことが重要です。
・連絡手段、非常通信手段の確保
社員の安否確認はむろんのこと、本社や各支社等に現状を正確に報告できるかどうかが、企業全体の事業継続性を左右します。
また、こうした事前の対策に加え、想定外のことが起きた場合のBCPを備えておくことも無秩序な行動を避け、安全確保や早期復旧を果たすために非常に重要であるといえます。
ただし、いくら事前に対策やマニュアルを整備しても、実際の地震時に機能しなければ何の意味もありません。事前に訓練を行い、とるべき行動や対策を徹底すると同時に、訓練によって問題箇所が発見されたならば是正するなど「いざという時に機能する」ものとすることが必要です。
緊急警報のシステムも行動のマニュアルや訓練も人命を確保し、早期普及を目的として行うものです。しかし、その前提には建物の安全性が確保されていることが条件となります。
何よりも、人命の確保のため、倒壊、崩壊を防ぐための最小限の耐震補強は必須であり、早期復旧を果たして事業継続性を実現するためには設備対策も欠かすことができない条件となります。特に設備対策では先に述べたように危険物を取り扱う場合、人命にも影響を及ぼす可能性があり、その対策をないがしろにするわけにはいきません。
その上で、非常時に行動計画がスムースに機能するように、単なる報知だけではなく緊急行動につながるような警報システムと施設機能との一体化を図っていくことが安全性、事業継続性の向上にとって非常に有効であるといえるのではないでしょうか。
企業の存続のため、被害を最小限にとどめるとともに業務回復時間を早期化するための行動計画書でもあるBCP(事業継続計画書)。対応リソースが限定されてしまう災害時にも有効に機能し、事業継続性が確保できるBCPを策定し運用していくにはどのようなポイントに注意すればよいのでしょう?
「日本版BCPガイドライン」に準拠した「事業継続計画書」を短期間に策定するための支援サービスです。
ファシリティとの連動で最大限の効果を目指す
地震の到達時間や規模により、アラートの内容や表示の方法を変える。これだけのことでも、どのように行動すべきかの選択をより正確に行うことができると考えられます。
また、避難誘導のサイン計画をこうした緊急行動を前提に見やすく整備しておくと同時に、スムースな避難を妨げないよう机や什器のレイアウトも見直し、避難経路を確保しておくことは最低限必要でしょう。
そして大きな地震が予測されたときには、サイレンや警報の音を替えたり、照明を赤に切り替えたりすることで危機の認識を促し行動の迅速化をはかる様な工夫も重要です。
より確実な避難誘導を行うためには、適切な文言での誘導放送を自動的に流す、避難経路の表示を照明と連動させるなどして明確にする等様々な方策も考えられます。
復旧の段階でも警報あるいは地震を感知したことで自動停止した装置やバルブ等があれば、その停止箇所を表示させることで、その後の復旧作業はよりスムースなものとなります。
トリガーレベルの検討例
※トリガーレベル設定法は「篠塚研究所」との共同開発
必要機能チェックリスト
リスクの掘り起こしとあわせて、業務単位でそれを構成するファシリティ要素を分解し、対策を施すべき部分を洗い出します。
機器や装置を「止める」ことは、生産施設において機器はもちろん、製品の破損を低減させる点においても早期復旧につながるものでもあります。また、有毒あるいは発火性の高い薬品等、危険物を取り扱っている場合、その流出を防ぐことは2次災害防止のために必要な措置といえるでしょう。
しかし、半導体製造装置などいったん止めてしまうと再度の操業まで時間のかかるものもあり、停止期間中の損失や等を考えると闇雲に停止すればよいというものではないのも事実です。安全の確保という大前提のもと、それぞれのケースに合った対応を取ることが必要になります。そのため、地震の規模と生じる被害の予測をレベル分けし、最適な停止トリガーを設定することが必要になってきます。
大成建設では確率論的地震リスク評価法を用いて、緊急地震速報の不確実性(精度のばらつき)を反映させたトリガーレベル(緊急停止を実施する地震動の大きさ)を設定する手法を開発しました※。また、事業継続上のプライオリティに沿って施設及び設備の機能確保性能を体系化したチェックリストご利用いただくことで「止めるべき装置や機器のレベル」を明確になります。これらの技術を組み合わせ、地震による事業インパクトを可能な限り押さえる各種対策提案をしております。
今日の企業活動は、その大部分が「ファシリティ」と密着した関係にあり、業務の多くがファシリティ機能に依存しています。つまり、地震による事業の影響度を分析するということはファシリティ機能を分解して、その危険度、影響度を把握するということとほぼイコールの意味であるといえます。
しかしながら、地震による危険度や事業に与える影響を普段から意識していることは少ないため、その把握は通常困難なものといえます。大成建設では、こうした点においても環境心理学の評価グリッド法を応用したT-PALETを用いて、隠れたリスクを掘り起こし、ファシリティの機能診断を行っています。
地震によるファシリティへの影響をできるだけ正確に把握することは、よりきめ細かな対応、対策を考えることにつながり、人命の安全確保と早期復旧への可能性を高めていきます。
地震に備え、何をどの程度守るのかは、事業内容や業務によって異なります。そのため、より効果の高い地震対策を行うためには関係者の認識とコンセンサスを確立し、全社一丸となって各自の役割、対策の意義を理解し、取り組むことが求められます。
大成建設はシステムの導入はもちろん、将来を見据えて事業継続と連携したファシリティ全体に至るまでのソリューションをご提供し、お客様の事業を守るお手伝いをいたします。
高度な微振動制御が可能な画期的な免震構法です。
天井支持要素と耐震要素を明確に分離することで耐震性の高い天井を構築します
事業継続のカギを握る設備や非構造部材の地震対策。その効果を最大限に発揮するにはどのように取り組むべきかを検討していきます。
企業にとって施設は事業を営む上でのための道具であり、スタッフやサプライチェーンの集結する場として、経営を支える需要なリソースの一つであると言えます。大成建設のBCMソリューションを提供する設計本部副本部長の町井さんに、その取り組みについてのお話を伺いました。

大成建設(株)(社長:山内隆司)は、9月1日より、気象庁の緊急地震速報を利用した、当社独自の地震予測速報「大成リアルタイム地震防災システム」を、全国の内勤者全員のパソコンに導入します。本システムの展開拡大により、大規模地震時における社員の安全確保をより確実にします。また、BCP初動態勢の早期確立にも活用してまいります。