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[issued:2007.11.21]

あきらめない地震対策

∼建物を「使いながら」の補強を実現するために∼

建物を使いながら耐震補強を行うには、どのように計画を進めていけばいいのでしょう?
「設計から施工まで一貫して行う総合建設業ならでは」のメリットを最大限に活用していただき、日常的な業務、活動を維持しながら、或は補強後も維持出来る耐震補強を計画・実施するためのポイントを解説します。

勝倉靖ポートレイト大成建設(株)
設計本部 耐震計画Gr
シニア・エンジニア
勝倉靖

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こんな方へお勧めのコンテンツです。
・耐震補強すると、どのような状況になるのか知りたい。
・耐震補強を検討しているが、使いながらの施工が難しいとお考えの方。

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Keep Your Activityで臨む耐震補強



 
 一般的な補強では、必要なブレースや壁の増設にともなう「使い勝手への影響」や工事にともなう「騒音、振動などの影響」があり、場合によっては一時的な移転や補強後のレイアウト変更なども検討する必要がある場合があります。
 大成建設は、耐震補強計画の立案において、こうした建物の使い勝手や施工中の使用性を維持する、いわば「Keep Your Activity(補強中、後の施設での活動を維持する)」という姿勢を大事にしています。

 建物の用途はオフィスビル、商業施設、工場でそれぞれ違うように、そこでのActivityも異なったものとなります。また、同じ用途の建物であってもそこでの活動が定時に限られるものもあれば、24時間365日稼働しているものもあるといったようにビジネスのありかたによってもActivityは異なっています。

 このように「建物を使いながら」を実現するためには「何が解決すべき課題となるのか」を正しく把握することがポイントとなり、それは大きく次の3つに集約することができます。

時間  24時間活動しているオフィスや工場、商業施設などではいつ施工するかが重要なポイントとなり、最も影響の少ない時間や時期に工事することが求められます。
場所  補強する場所について、補強後の使い勝手はもちろん、工事計画(動線や足場の設置、資材の置き場等)においても配慮する必要があります。
状況  施設の使われ方や環境を考慮し、施工中の影響(振動、騒音)を排除する工夫や工法を選択します。

 こうした時間(Time)、場所(Place)、状況(Occasion)の3要因(TPO)の視点からお客さまのActivityをひもといていくことで、どこにプライオリティを置くべきかを判断し、日常活動に対するインパクトを最小限に押さえる計画を検討していきます。
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補強設計の段階から織り込む「使いながら」

確保すべき「耐震性」をベースに、コストや工期もあわせベストバランスの計画を構築します

確保すべき「耐震性」をベースに、コストや工期もあわせベストバランスの計画を構築します


 
 具体的な補強計画を立案するにあたっては目標となる「耐震性(補強場所のバランスや数)」をもとに「コスト」についても併せて検討していくことになります。「使いながら」を優先すればコスト、工期に影響が出るといったように、これら3つの項目は互いに関連しています。限られたコスト、工期の中で必要な耐震性能を確保するには、何をどこまで行うのかを決定し、バランスの取れた計画を構築していく必要があります。
 建物のおおまかな用途は、建物の種類と設計図面等から知ることができます。しかし、実際に人々がどのようにして建物を使い日常的な活動を行っているかを図面のみで把握することはほとんど不可能といえます。

 お客様にとっても日常的な活動は「当然のこと」として特に意識することなく行っているため、具体的な形で条件として挙げることも困難なことといえます。また、多くの場合、既存の建物に大規模な施工を行うことは初めての経験であり、工事によって具体的にどのような影響が出るのか知っているということはほとんどありえません。
 そのため、補強計画の初期段階で、ある程度日常的な使用を想定したたたき台をもとに、施工後の使い勝手はもとより施工中に日常的な活動を妨げることはないか検討を加えていきます。


耐震診断の結果に添付する耐震補強計画のたたき台案(例)

耐震診断結果に添付する耐震補強計画の原案(例)
たたき台レベルの計画ですが、既にこの段階から「使い勝手」や「施工性」などある程度の必要条件を盛り込んだ計画となっています。

 
 それには、ユーザーであるお客様からの声が不可欠であり、何を優先すべきか、そしてどのような計画、技術が最適なのかをお客様とともに検討していきます。

 例えば工事中の騒音発生を押さえる必要がある環境のプロジェクトでは、低騒音工具の適用はもちろんのこと、最も影響の大きい工程の一つである「あと施工アンカー」を省略したアンカーレス工法タフシステム(R)の適応などを検討することになりますが、「使いながら」をより重視するプロジェクトでは外部補強や免震レトロフィットの適用も検討対象としていきます。

 耐震診断は単に現状の耐震性が判明すればいいというものではなく、その結果に応じて次の段階でどのように計画を進めればいいのかを見据えた上で結果をみていくことが重要です。
 そのため、大成建設では耐震診断をお受けした段階から設計担当者が加わりお客様との打合せを行っております。そして診断結果にはいただいたご要望に基づいた「耐震補強計画原案」を添付させていただくなど、初期の段階から常にプロフェッショナルな立場で様々なご提案をさせていただいております。
補強計画診断

ローコストかつスピーディに耐震性能評価を行い、耐震化プロジェクトにおける建物オーナーの方の素早い意志決定を支援します。

RC造の耐震補強

耐震補強とは不足している耐震要素を補完するということ。大成建設は「やさしい」をキーコンセプトに、費用対効果の高い耐震補強をご提供します。


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「使いながらの補強」現場でのソリューション

 
 施工においては、補強計画に基づいてその意図を理解し、TPOの視点から建物利用者への影響を極力抑えた細やかな対応を行っていきます。
 しかしながら、既存の建物で工事を行う場合には新築に比べて計画、設計の各段階で予想外の問題、解決すべき課題が多く生じます。
 
 特に毎日変化するビジネスの現場では、例えば予定していたスペースが急に使えなくなるといった状況が生じることも決して少なくないからです。
 その時々の状況に応じて、適切かつ柔軟な対応を行うためには技術と経験に基づいたノウハウの蓄積は欠かせませんが、何よりも確認、打合せを定期、不定期にかかわらずこまめに行い、相互のコミュニケーションを通わせることこそが、迅速で最適な課題解決へと導くものではないでしょうか?
設計段階と施工段階の連携でTPOの課題

設計段階と施工段階の連携でのTPOの課題解決(例)
設計段階と施工段階それぞれの施策を選択、組み合わせて最適なソリューションを構築していきます。


アンカーレス耐震補強 タフシステム(R)

あと施工アンカーをなくした、静かな耐震補強です。

クロスウォール耐震壁

デザイン性にすぐれ、建物を使いながらの耐震補強も可能にする、プレキャストコンクリートの耐震補強です。


制震レトロフィット(制震補強)

地震エネルギーを吸収する制震装置を使った耐震補強は、建物の変形をおさえ、耐震性能を高めます。

免震レトロフィット(免震補強)

免震レトロフィットは、建物を使いながら基礎部分や中間階の柱等に新しく免震装置を組み込むことによって、既存の建物を免震建物に生まれ変わらせる「免震補強工法」です。


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チームワークと「一気通貫」の取り組み

設計、施工だけではなくお客様も含めた三位一体の取り組みが課題解決を導きだします
設計、施工だけではなくお客様も含めた三位一体の取り組みが課題解決を導きだします

 
 建物を「使いながら」耐震補強を行っていくためにはご相談の段階から計画、そして施工までのプロジェクトフロー全般にわたり、お客さまと一体になってひとつひとつ課題を解決しながら遂行していく必要があります。
 日常的な活動を維持し、既存の建物を「使いながら」補強工事を行っていくということは、各段階でのプロセスを着実に積み上げていくことに他ならないといえます。

 単に補強箇所や部材仕様などを指定するだけでなく、施工段階における資材の置き場や足場等の計画、作業動線、タイムスケジュールや施工法までをあらかじめ織り込む、いわば「設計力」と、現場で起る様々な状況の変化に柔軟に対応していく「現場力」。2つの力の融合がプロジェクトにおける様々な課題を解決します。しかし、それらを支え、実現していくのは、課題や問題を発見して最適な解決法へと導く「コミュニケーション」なのではないでしょうか?

 設計力、現場力を最大限に活用していただくためには、プロジェクトを通してお客様が第3のスタッフとして加わった三位一体の推進体制が不可欠であり、これこそが粘り強く問題解決を行い「あきらめない耐震補強」を実現するものといえます。
 それゆえに「使いながら」の耐震補強は、相談から施工まで一貫して品質管理が行えるゼネコンが、その力を最も発揮できる工事のひとつといえます。
 大成建設は診断、設計、施工まで一貫体制で進めることにより、豊富な実績と独自の技術に裏付けられた「使いながらの耐震補強」のソリューションをご提供いたします。
NTT出羽町ビル

建物内で「業務を続けながら」、景観保全に配慮した外部補強を実施しました。

豊島区役所

東京都豊島区役所本庁舎では、庁舎としてはじめて「建物を使いながらの免震レトロフィット」を採用しました。


松屋銀座本店

夜間工事とタフシステムの採用で、「営業を続けながら」の補強とリニューアルを実現しました。補強ブレースが外装デザインのパーツにもなっています。

NBF虎ノ門ビル

建物内のフロア間でテナントのローリング計画を行い、「使いながら」の外壁補強を実現しました。


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