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Taisei's Eye >> 新しい耐震技術が生み出すフロントオフィスのイノベーション
[issued:2006.07.19]
新しい耐震技術が生み出すフロントオフィスのイノベーション
-スーパーエコビルに組み込むハイスペック耐震性能-
免震ではなく、制震でもない。耐震カテゴリーの概念を一新する「TASMO」。新たな耐震技術が環境配慮建築と一体になり新しいワークプレイスを生み出しました。
機能性、快適性、安全性、コスト、エコ etc・・・、トータルソリューションが求められる、これからのオフィス・ファシリティに対する、ひとつの解がここにあります。

大成建設(株)
設計本部建築分野統括グループ
グループリーダー
橋本緑郎
1.
新しい耐震技術が生み出すフロントオフィスのイノベーション
こんな方へお勧めのコンテンツです
・知的生産性を高めるための新しいワークプレースをお考えの企業経営者の方
・ローコストだが高い耐震性能を持つ中規模オフィスの改築をご検討中の施設部門の方
・免震を検討中だが、敷地境界いっぱいまで建物を建てたいので採用は難しいと感じている方
・環境配慮建築としてエコビルや省エネビルをご検討中の方
・フリーアドレスやユニバーサルレイアウト等、新しいワークプレイスをご検討中のFM部門の方
フロントオフィスの要求課題
6月に竣工を迎えたばかりの「大成札幌ビル」は
CASBEE(建物総合環境性能評価)で最高の
Sランクとなる
「環境配慮建築・スーパーエコビル」であると同時に、市場や顧客との最前線となる
「フロントオフィス」として重要な役割を持つ施設になります。また、北海道地区においては道内に散在する各事業所を統括する拠点機能を持つオフィスでもあります。
設計の初期段階で実施された
T-PALETによる、ユーザーニーズの収集分析でも、
「北海道エリアの拠点として、事業継続性が確保できる高度な地震対策の導入」
が大きなテーマとして取り上げられました。
また、ワークプレースのコンセプトとして取り上げられた
「フロントオフィス」というテーマには、「ビジネスの最前線」であり「ファシリティの最先端」であるという意味が込められてており、高度なフレキシビリティを維持するために広い空間の確保も必要とされました。
大成札幌ビルでは、ワークプレースにおけるこれらの課題を、経営方針の一つでもある環境配慮を具現化する「スーパーエコビル」という基本姿勢のもと検討が進められました。

大成建設のファシリティマネジメント
企業にとって、施設は大切な経営資源です。
企画立案からリニューアル計画まで、大成建設のFMは、お客様の立場になってきめ細かくサポートします。
フロントオフィスに必要な耐震性能
TASMOの壁柱
LOYALを使った境界梁
一般的には、事業継続性の実現には、施設機能維持を図るため「免震」という選択肢が第一に挙げられます。
しかし、本プロジェクトでは札幌のビジネス中心街の一角にあるという立地性を活かすため、建ぺい率や容積率を最大限に使用することが必要でした。また、コスト面、工期面でも「可能な限り一般的なオフィスビルの域を出ない」ことが目標とされていました。
このため、建物周辺に大地震時の挙動吸収空間が必要となる「免震」の採用は難しいものがありました。
そこで検討されたのが、地震エネルギーを集中的に吸収することで
免震に匹敵する耐震性能を実現することが可能な
「TASMO」の導入でした。
TASMOは建物を縦方向に貫く複数の
「壁柱」、
「境界梁」およびオイルダンパーで構成され、
「境界梁」は
「壁柱」をつなぎ合わせると同時に地震エネルギーを吸収する役割を持っています。
境界梁には極軟鋼を使った制震装置「LOYAL」を使用し、壁柱の足下は完全に固定しない「ピン構造」となっており、制震と免震を併せ持った、これまでに無い、新しい構造形式といえます。
TASMO、免震、耐震の性能比較
極めてまれにおこる(レベル2)地震を想定したシミュレーションによる結果
TASMOはこれらの構成全体で、建物に入る地震エネルギーのほとんどを集中的に吸収/制御します。このため建物の揺れは、強さ(加速度)、幅(変形)ともが大幅に小さくなります。
各種の地震波によるシミュレーションでも、良好な結果がでています。
きわめてまれに発生する大地震を想定したレベル2地震を想定した場合でも、大成札幌ビルでは、最大加速度でおよそ250ガル以下と一般的な免震に近い低減効果を得ています。また、建物の変形も大幅に小さくなるので、設備配管やサッシ、ドア等の建具やボード等といった建築2次部材への影響等も最小限に抑えます。
TASMOは建物にかかる風や地震のエネルギーをすべて吸収し、揺れを緩和する究極の制振機構です。
極軟鋼を用いた制震システム
広くフレキシブルなワークプレイスを、ローコストで
TASMOの壁柱で覆われた内部は無柱の大空間となっており、フリーアドレスのユニバーサルレイアウトを実現しています。
PCロングスパン梁
(18.5m うちPC部分は15m)
地震時のエネルギーを
TASMOに集中させることにより、従来の柱は建物の重量を支えるだけで済む様になります。このため、柱の大きさを大幅に細くすることや長いスパンを
無柱にすることなどが可能になります。
大成札幌ビルではTASMOの壁柱を外壁に使用するとともに高強度鉄筋を使用したPCa-PS(プレキャスト-プレストレストコンクリート)梁を採用することで18.5mの大スパンを無柱とし、フレキシビリティの高い空間を構築しました。
TASMOと免震、耐震構造とのコスト比較(当社比)
さらに、TASMOの採用はコスト面でも有利に働きます。
大成札幌ビルの場合、外壁としても使用している壁柱に建物の荷重も負担させることで、荷重受けの柱が不要になる等、構造体面での大幅なコストダウンを実現しています。
同程度の性能を免震で発揮させようとすれば、この規模の建物の場合、イニシャルコストはどうしても数%のアップが見込まれてしまいます。しかし、大成札幌ビルの場合、一般的な耐震構造の建物の標準コストと同程度となっています。