改正によって建物所有者が自らの問題として目標達成に向けて取り組む必要性が指摘されていますが、そのために国や自治体から、建物所有者を支援するための施策が展開されます。
改修計画認定のメリット
建築物の耐震改修を行う場合、耐震改修計画について所管行政庁に認定を申請することができます。所管行政庁は、耐震改修計画の内容が耐震改修促進法の基準に適合しているかを審査し、認定を行います。改修計画の認定を受けることによって
1)建築確認等の手続きの特例
建築確認が必要な工事であっても、確認申請手続きが不要。
2)建築基準法の特例
耐震規定以外の不適格事項の存続がやむを得ないと認められる場合の
既存不適格建築物の制限や耐火建築物に係る制限が緩和。
3)住宅金融公庫等資金の貸付けの特例
計画の認定を受けて住宅の耐震改修を行う者に対する住宅金融公庫等の低利融資。
といった各種優遇措置を受けることができます。さらには新設される予定の耐震改修促進税制の優遇措置として事業者が行う特定建築物の耐震改修工事の費用について10%の特別償却が認められることになります。
認定対象工事の対象が緩和
これまでは壁のなかったところに壁を増設する工事に対しては認定対象となっていましたが、改正により「柱を増やす、既存の柱を太くする、既存の壁を厚くする」といった工法も認定対象に含まれることになり、また形状を変更しないような小規模な改装も認定対象となる場合があります。これによりピロティ補強改修の他、炭素繊維による柱補強などが認定工事対象となります。
また、耐震改修工事については複数回に分けて行う工事について規定が曖昧でしたが、2005年6月1日に施行された建築基準法改正と同様に、「二回以上に分けて行う耐震改修工事」も認定されることが明記されています。(法第八条)
特定優良住宅への一時転居が可能
「特定優良賃貸住宅の活用に関する事項」は今回の改正におけるポイントの1つといえます。これまで都道府県の住宅供給公社などが建設した特定優良住宅については「特定優良住宅賃貸住宅法」でその入居条件が定められ、この条件に合致しない入居者を入れることは法律上できませんでした。
しかし、今回の改正よって、特定優良住宅に空きがあれば、耐震改修促進法の認定建物の「改修の実施に伴い仮住居を必要とする者」に提供することができるようになりました。今後作成・公表される都道府県の計画によっては、認定を受けて耐震改修を行う建物に住んでいる人間であれば、高所得者や単身者であっても入居できる道が開かれることになりました。
国による「住宅・建築物耐震改修等事業」についての助成がこれまで地震防災対策強化地域に限定していた地域要件を撤廃し、全国展開されることになりました。さらに緊急輸送道路沿道の建築物に関しては耐震診断、耐震改修それぞれに対して補助率をかさ上げすることとなりました。
このように事業内容が拡充されることに伴い、予算の拡大が予定され、2月末現在、通常国会で審議されています。
また、耐震化を促す経済的インセンティブとして2006年度税制改革においては
「耐震改修促進税」が創設される予定で、次のような優遇措置が適用される予定です。
「耐震改修促進税」の主な内容
1)一定の区域内において耐震改修工事に要した費用の10%相当額(20万円を上限)を所得税額から控除する。また、固定資産税額を一定期間、1/2に減額する。
2)事業者が行う特定建築物の耐震改修工事の費用について10%の特別償却とする
●共同住宅と建築物に対する耐震診断及び耐震改修の支援制度概要
耐震改修センターの設置について
耐震改修に関する情報提供のほか、耐震改修費用の貸し付けに関する債務保証などを実施し、耐震改修を支援することを目的とした、「耐震改修センター」が設置されます。(法第十九条他)
このほか、今回の改正には、これまでの自治体ごとであった耐震診断・耐震改修に関する補助・融資制度等が全国的に一本化されることなどが盛り込まれています。
しかし、これらの施策や自治体の耐震改修計画も平成18年1月26日の施行時点では検討、あるいは作成中であるため、これまで耐震化の義務がなかった建物に新たに義務が生じる、あるいは新たに補助や優遇措置が受けられるといったことが考えられます。所轄行政庁からの公表される情報に注意を払うと共に、不明な点は問い合わせるなどの対策が必要となります。
耐震ネットでも引き続き、耐震改修促進法に関わる情報を掲載していきます。