こんな方にお勧めのコンテンツです。
・耐震診断や補強について検討を開始したいと思っている方
・耐震診断を行ったが、その結果について、もっとよく理解したいという方
・補強目標について、どのように考えればいいかとお悩みの方
1981年以前の旧の耐震基準で設計された建物は、設計法が異なるため、現在の基準に基づいた検証では耐震性を正しく把握することが困難です。このため、耐震診断では柱や壁の強度を計算し、構造耐震指標Is (Seismic Index of Structure)という指標を用いて耐震性を判定します。
過去の地震被害の研究から、診断の結果、耐震指標である
Is値が0.6以上ある建物は、震度6強程度の大地震に対しても、建物が倒壊や崩壊する
危険性は低いと考えられています。逆にIs値が0.6未満の建物の場合は大きな被害を受ける可能性が高くなり、そのため耐震補強が必要とされています。
大成建設では、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート構造物の場合、(財)日本建築防災協会による「耐震診断基準」などに基づいた診断を行っています。診断の結果、Is値が0.6を下回り、補強が必要となった場合は、診断結果と共に
補強に必要な壁枚数など概略の補強計画案をご提示しています。
その際の補強目標としては、一般的な建物ではIs値を0.6以上としていますが、建物の重要度により目標のIs値を大きな値とする場合もあります。また、後述しますが、診断方法が1次診断であった場合はIs値=0.8が基準値となります。
このように、耐震指標:Is値=0.6は、旧基準の建物の耐震性を評価する上での判断ラインとなっており、補強を考える上でも満たすべき最低限の目標値となっています。これは、「Is=0.6」の建物は「必要な耐震強度に対し100%の強度を持っている」ことを意味しており、「耐震強度が60%」ということではありません。
では、このIs値と耐震強度について、もう少し詳細に解説しましょう。
耐震基準に関する変遷
1981年の改正で耐震基準の基本的な考え方が変わり、それ以前を「旧耐震」以降を「新耐震」という
過去の地震におけるs値別の被害分布
(Is値が0.6を越える建物では中破以上の被害がほとんどない)
右の図は、既存の鉄筋コンクリート造建築物のIs値の分布に、1968年十勝沖地震(M7.9、震度5)と1978年宮城県沖地震(M7.4、震度5)で中破以上の被害を受けた建築物のIs値の分布を重ねたものです。また、中破とは、柱や耐震壁にせん断ひびわれが生じている状態です。
このIs値は2次診断により算定しています。「(財)日本建築防災協会の耐震診断基準」には1次、2次、3次の診断方法がありますが、2次診断はその中の一つで、構造部材の一つである「梁」は十分な強さがあると仮定し、柱と壁の強度からIs値を計算する診断法です。一般的に「耐震診断」という場合は、この2次診断を指すことが多い様です。
この図から、Is値が0.6を下回るとIs値が低くなる(左方向)に従って被害を受ける割合が高くなることがわかります。
実際の大地震では、地震動や地盤の差異などにより建物被害にはばらつきがあります。Is値の低い建物の全てに被害が生じるわけではありませんが、逆にIs値が高くとも大きな被害を受けたものもあります。
「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」の告示(旧建設省告示 平成7年12月25日 第2089号)によるとIs値の評価については以下の様に定めています。
■Is値が0.3未満:地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い。
■Is値が0.3以上0.6以下:地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある。
■Is値が0.6以上:地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性か低い。
つまり、Is=0.6が持つ耐震性能とは、下記の表の様に中地震では中破以下、大地震では大破以下の被害にとどめ、崩壊や倒壊にはいたらないと言う現行基準法の耐震基準に準拠するものであるといえます。
*Is=0.6の性能では、建物の被害を小破や中破程度以下にとどめ、崩壊・倒壊等の大きな被害を受ける可能性は低くなります。