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[issued:2010.07.21]

医療サービスの維持と建物の使いながらを両立した免震化プロジェクト

財団法人 温知会 会津中央病院様の新築館増築工事・既存棟(新館)改築工事

国内でも数少ない病院の免震レトロフィット。 施工中も外来・入院患者さんへ医療サービスを提供しつづけたプロジェクトとはどのようなものだったのでしょうか?


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24時間稼働する医療施設。
計画段階より入院・外来患者さんへの細心の配慮が求められる耐震改修には技術的なものだけでは解決できない課題も多くあります。会津病院様では患者さんへの負担を最小限に抑えるべく、自ら専門のプロジェクトチームを立ち上げ、工法への理解、関係者、現場との密接な連携を図りながら計画を進めていきました。

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患者さんへの影響を抑えるのが一番の課題でした。 細やかなコミュニケーションと綿密な連携で、 お客様の声 病院を使いながらの免震化を実現しました。


名所旧跡が多く、平日にも観光客の姿が絶えない福島県会津若松市。会津中央病院様は898床25科の診療科目を持つ、地域有数の総合病病院であり、災害拠点病院にも指定されています。
地域住民への医療サービスを維持しながら、取り組んだ免震レトロフィット改修について会津中央病院の総務部部長である渡部満様、同係長の成田尚也様にお話を伺いました。
 
患者さんへの影響が一番の心配でした。
 
渡部様:


右:既存棟(新館)改修工事(免震レトロフィット・地下中間階免震) 左:新新館増築工事(基礎免震)

右:既存棟(新館:W1棟)改修工事
  (免震レトロフィット・地下中間階免震)
左:新新館(W2棟)増築工事(基礎免震)


期間中は2つの工事がありました。新新館増築工事と既存棟(新館)改修工事です。
新新館増築工事は施設解体から施工するということで、特に心配事はありませんでした。心配だったのは免震レトロフィットを採用して改修する既存棟(新館)改修工事でした。
病院ですから、入院患者さんがいるので施設を空にして改修することができません。患者さんがいながら工事をするということが一番心配な点でした。具体的にいえば、音や振動で患者さんに影響があってはいけませんし、1階に外来部門が集中しているので診察に影響が出てしまわないかと心配していました。

我々がとても心配していたので、免震レトロフィットで既に改修工事が進んでいた「明治屋銀座ビル」の施工現場を外来機能再構築委員会メンバーで見学させてもらいました。実際に行われている免震レトロフィットの施工過程を見たことで、その工法を理解することができました。
 
 
独自のプロジェクト委員会を立ち上げ、準備と課題解決に取り組みました。
 
渡部様:


フロア案内図


外来待合

フロア案内図と外来待合


外来機能再構築委員会というのは病院の増築・改修を考える際、医療におけるサービスという側面も含めて検討していくためにつくられたものです。リーダーを務めさせてもらった私をはじめ、主要部門担当者(看護師長、経理管理部長、施設課長等)9名の構成です。

基本設計当初は、院長を含めた先生方も加わっておりましたが基本方針が固まり、施工が始まった時点で実務担当者が中心に行うようになりました。病院現場からの問題点などは委員会でいったん受けてから、大成建設さんとの定例会議(2週間/回)で解決を図っていきました。

 
成田様:


会津若松地域は、冬場の11月〜3月にかけて雪が降るので、その時期は入院患者数が非常に増加します。
たとえば、冬は農作業が無いのでこの期間に治療をされる方、治療を行っている方でも冬は自宅で診ることが難しいという方が入院されるので、夏に比べて冬の方が病床稼働率が高くなります。新新館増築工事では、ベッドの使えない時期をできるだけ短くすることができるように夏の時期に工事を進めて、冬の時期にはベッド数を確保できるよう計画を立てて行きました。その結果、引き渡しが早くなったので良かったです。
 
 
関係者全体へ細やかなコミュニケーションに気を配りました。
 
渡部様:


ローリング計画

ローリング計画
施工期間中は入院・外来患者さんに不便を感じさせないよう一時的な機能の移転計画を立てるとともに、実施していく中で問題があれば随時解決を図るために連携していきました。


免震レトロフィットによる既存棟(新館)改修工事中は、どうしても音や振動が出ていました。病院であるため、どうしても制約が多くなり、外来では、音を出す作業を外来診療の合間をぬって行ってもらうとか、外来診療の終わる5時以降に作業をしてもらうなど、作業時間をずらす配慮してもらいました。入院患者さんには、どうしても振動が伝わってしまうのですが、それはもうご理解していただくしかなかったですね。

また、工事期間中の一時期、正面玄関を変更しなければいけない期間や診察室への動線が長くなってしまう時期もありました。患者さんにしてみればご不便を感じること多くなるので気を配りました。患者さんの誘導には、職員を総動員して声掛けをしたり、パンフレットや案内書を用意して対応しました。
新新館と既存棟(新館)のエキスパンション内部
新新館と既存棟(新館)のエキスパンション内部

外来機能再構築委員会の一員として携わって思い出すことは、外来診療の時間と免震のはつり工事(※1)が、1週間から10日間ぐらいブッキングする期間があったことです。その期間が一番つらかったですね。
その時には、外来診療がすべてストップした時間帯もありました。そういった厳しい期間の対応には、外来診療の やっていない土日・祭日に合わせて、一気に工事を進めてもらったり、夕方以降はあまり音の出ない作業を行ってもらうよう工夫してもらいました。騒音の問題では、患者さんやスタッフから問い合わせがありましたが、うまく合間を見ながら調整を行い、理解していただくことが多かったです。

 
成田様:


また、工事期間中は既存外来診察室を仮診察室へどのように移動していくか考えることに苦労しました。
移動の原案を作成するのですが、パズルを解くようにそれぞれの診察室の引っ越し回数が一番少なくすむ方法、費用が少なくすむ方法を考えました。


(※1)はつり工事:コンクリートを削ったり、切ったり、壊したり、穴をあけたりする作業のこと

 
 
プロジェクトを振り返って。
 
成田様:


大成建設さんには、病院関係者の要望を聞きながら、うまく施工中のスケジュールや問題点を調整してもらいましたので、これから他の施設で施工する場合でも簡単に対応できるのではないかと思います。

渡部様:


免震レトロフィットが施されている部分

免震レトロフィットが施されている部分


施工も最後の方になると、外来機能再構築委員会を通さずに問題点が大成建設さんの事務所に直接行くようになり、作業現場の所長さん・スタッフの方々は、苦労されたと思います。竣工後、現場スタッフの皆さんが「楽しい思い出ができた」と言ってくださったので、安堵しています。非常に優秀な方々を配置してくださって感謝しています。
今後もさまざまな計画があるので、大成建設さんには期待しています。
1階ホールと地下アメニティフロアを結ぶ吹き抜け

1階ホールと地下アメニティフロアを結ぶ吹き抜け

1階ホール奥にある幅7.5mの水槽

1階ホール奥にある幅7.5mの水槽


「心と建物の揺れをおさえる」会津中央病院の免震化への取り組み

「病院を使いながら」の免震による改修が会津中央病院様が目指すこれからの病院像にもたらすものは何か?
その取り組みから、これからの医療施設に必要なものを考えていきたいと思います。

会津中央病院ウエスト棟(W1棟・W2棟)

会津中央病院ウエスト棟は、建物の基礎部分に免震装置を設置した「W2棟(新築)」と、中間階に免震装置を設置した「W1棟(免震レトロフィット)」からなっており、2つの免震建物を接続して使用しています。


ハイブリッドTASS構法の免震効果

画期的な長周期化を実現し、高い免震効果を誇るハイブリッドTASS構法。
今回はその効果を実際の地震で計測されたデータを基にご紹介します。

免震レトロフィットの採用ポイント

免震レトロフィットは単に耐震性能を確保するだけでなく、経営戦略、BCPなどに大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。


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